皆さま、こんにちは。お元気でしょうか。今冬は東北地方や北陸地方では記録的な大雪となっている一方で、本州の太平洋側では渇水となっています。私の地元の福井県も大雪となっており、実家に住む両親は、万が一の時の移動を心配していました。一方、東京に住む私は乾燥で肌がカサカサです(毎年のことですが)。はやく穏やかな季節になってほしいと思う今日この頃です。
さて今回は、冷蔵庫を取り上げたいと思います。冷蔵庫は昭和の高度経済成長期には「三種の神器」のひとつとして、文化的な生活の代表として憧れの的になっていた(らしい)ところから、その後急速に普及して、現在ではほぼすべての家庭に普及しており、ほとんどの家庭にとって、今や冷蔵庫が無い生活が想像できない、いわば生活必需品となっています(注1)。しかし、その冷蔵庫がどのぐらいエネルギーを消費しているのか、またどのように使われているのかを考えたことは、あまりないのではないでしょうか。
まずは、冷蔵庫が1年間で消費するエネルギー消費量について調べてみましょう。
経済産業省資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ2025年版」(注2)を見てみますと、2016~2024年に一般に販売された電気冷蔵庫の年間消費電力量のカタログ値は、容量にもよりますが、1台あたり300~400kWh/年の範囲に概ね収まっています。ざっくりとではありますが、仮に電気代を35kWh/円だとしますと、冷蔵庫分の電気代は1年間で10,500~14,000円ぐらい、ということになるかと思います。結構インパクトがあると思いませんか?
この数字は新品の冷蔵庫1台あたりのものですので、古くなってくると効率が低下して消費電力量は増えます。冷蔵庫にものを詰め込み過ぎたり、設定温度を下げ過ぎたりする場合も同様です。また、1世帯で冷蔵庫を2台以上使用している場合もあると思います。そういうことも考慮すると、この数字はもっと大きくなると考えられます。
毎度お馴染みの環境省「家庭部門のCO2排出実態統計調査」(家庭CO2統計)(注3)を活用しつつ、そのあたりの実態を、十分とは言えないかもしれませんが、ある程度考慮に入れて検討した例もあります(注4)。2019年度のデータで少し古いのですが、1世帯が1年間で消費した電力量の合計(4,047 kWh/年)のうち冷蔵庫分は594kWh/年で、全体に占める割合は14.3%と試算されています。これは、家電製品の中で2番目に大きい数字となっていて、第1位のエアコン(14.7%)とほぼ同等です。
冷蔵庫は、滅多なことが無い限り24時間365日、何年間も休みなく稼働し続ける家電製品で、これは他の家電製品には無い、大きな特徴です。そういうこともあり、冷蔵庫の消費電力量は家庭全体で見ても非常に大きな割合を占めています。冷蔵庫の省エネが大事だということにお気づきいただけますでしょうか。
なお、全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA)さんは、この結果を分かりやすい図にしてくれています (図1)。
今度は、家庭CO2統計を使って、冷蔵庫の使われ方を調べてみましょう。
図2は、家庭にある一番容量が大きな冷蔵庫(つまり家庭におけるメインの冷蔵庫)の製造時期が、ここ数年でどう変わってきたかを示したものです。図の左側の青っぽい色が古い冷蔵庫を持っている世帯の割合、右側の赤っぽい色が新しい冷蔵庫を持っている世帯の割合です。これを見てみますと、徐々に古い冷蔵庫を使っている世帯が減ってきて、新しい冷蔵庫に入れ替わってきていることが分かります。2023年度には、2016年以降に製造された冷蔵庫を使っている世帯が全体の40%程度となっています。
一方で、2000年以前に製造された冷蔵庫が、減ってはいるものの残り続けていることも分かります。2023年度においても8%程度が2000年以前製となっています。このあたりの冷蔵庫は、問題無く使用できているように思われても、実際は性能がかなり劣化していることが予想されます。
続いて図3は、1世帯当たり何台の冷蔵庫があるのかを、世帯の類型別に分けて示したものです。この図から、高齢者(家庭CO2統計では「65歳以上の人」を高齢者としています)のいる世帯では冷蔵庫の使用台数が多い傾向がある、ということがわかります。単身世帯であっても、高齢者世帯では2台以上使用している世帯の割合が13%に上ります。高齢者のいる世帯の場合、巣立っていったお子さんが使っていた冷蔵庫がそのまま使われているようなケースもあり、必ずしも必要というわけではない冷蔵庫があることも珍しくないようです。
私は、冷蔵庫の複数台使用がすなわち「無駄」だとは思いません。例えば、夫婦共働きで育ち盛りの子供がいて、週末に料理をして一気に冷凍しておくための冷凍庫が必要だから、と言う理由でメインの冷蔵庫の他に冷凍専用庫を使っている人もいますが、これは決して無駄とは言えないと思います。大切なことは、世帯の実情を踏まえて、「今本当に複数台の冷蔵庫が必要かどうか」を判断することだと思います。もし「そんなに要らないかも」と思えるようであれば、この際コンセントを抜いてみると良いかもしれません。
最後に図4は、冷蔵庫の使い方に関する省エネ行動3項目の実施状況を示したものです。
(1)冷蔵庫の温度設定を夏は”中”以下、他の季節は”弱”にしている(図4の左側)
(2)冷蔵庫にものを詰め込み過ぎないようにしている(図4の中央)
(3)冷蔵庫を開けたままにしたり、むやみに開閉しないようにしている(図4の右側)
これを見ますと、3つ目の「冷蔵庫を開けたままにしたり、むやみに開閉しないようにしている」は、どの世帯でも概ね高い実施率であることが分かります。私は家にいると口寂しくなり、つい冷蔵庫を何度も開けてしまいます。皆さんを見習わないといけませんね(苦笑)。
一方で、残り2つの省エネ行動については、世帯人数が多いほど、また世帯主が若い世帯であるほど、実施率が低めになっています。また、「冷蔵庫の温度設定を夏は”中”以下、他の季節は”弱”にしている」については、最も実施率の高い世帯主75歳以上の世帯でも約半数(48%)が実施していない、という結果になっています。実は、冷蔵庫以外を見ても、テレビの明るさを抑えることのような、機器の設定に関わる省エネ行動は実施率が低めになっています。普段あまり触ることのない家電製品の設定にも、省エネのポイントがあることをぜひ知っておいてください。「家電を頑張って働かせる(例えば「強く冷やす」)と、電気をたくさん消費する」というのが基本です。
なお、冷蔵庫内にものを詰め込み過ぎている場合は、冷蔵庫の設定温度を下げても十分冷えないということがあります。そのような場合はまず、詰め込んでいるものを減らしてから、設定温度を見直してみることをお勧めします。
いかがでしたでしょうか。今回は冷蔵庫に着目してみました。かつては羨望のまなざしで見られていた冷蔵庫も、今やあって当たり前のものになり、日常生活の中では「風景」になっているのではないかと思います。せっかくですので、この際、冷蔵庫のことを考えて、日々の使い方を見直してみてはいかがでしょうか。
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