2023年はじめから、不揃いで多様で個性的な季節の野菜が毎週、我が家の食卓に彩りと微笑み、感嘆を与えてくれています。
農家と市民が提携する地域コミュニティのメンバーになりました。
世界的には、CSA(Community Supported Agriculture 地域支援型農業)と呼ばれているものです。
CSAの直接の起源は、1986年にアメリカ北東部の2つの農家にあるとされています。しかしそのコンセプトに影響を与えた考えは、1970年代末からあったドイツやスイスのコミュニティ・ファームから来ているようです【注1】。
1960年代に日本の有機農業のグループで始まった「産消提携(世界ではTEIKEI)」が源流である、とする説もあります【注2】。
ドイツでは、Solidarische Landwirtschaft(連帯的農業)と言われています。ドイツ全土を網羅するネットワーク組織があり、現在ドイツ全土で約400の連帯農業グループがあります。1グループあたりの会員数は平均100人くらいです。
私の家族が住んでいる地域にも数団体あり、その1つの会員になりました。
小世帯60ユーロ、大世帯90ユーロ(1万3000円)の月会費で、地域の有機栽培の新鮮な季節の野菜が、市場を通さずに、直接農家から受給できます。会員は毎週決まった曜日の時間帯に野菜を取りに行きます(会員が持ち回りで宅配業務を行っている団体もあります)。
季節により受給する野菜の種類が違いますが、私の家族が入っているグループでは、野菜を保存できる暗室と冷蔵庫を持っていて、収穫が少ない冬場や春先でも、保存できる根菜などを中心に、一定量以上会員に供給できる体制をとっています。
農家は有機農法の1つであるバイオダイナミズム農法で野菜を作っているようですが、ビオ(有機)認証は取得していません。市場に出すのではなく、顔の見える地域の会員(支援者)に直接供給するので、高い経費と手間をかけてビオ認証を取得する必要はないのです。その分、支援者の会費を抑えることができます。
感覚的な比較ですが、普通にスーパーで買うビオ(有機)の野菜より安いです。その代わり、スーパーには並ばない形の悪いもの、キズや虫食い痕があるものもあります。でも普通に市場で売られているビオ野菜より、明らかに美味しいです。大地の味がします。子供の頃、里山で農家をやっていた祖母のところで取れた瑞々しい野菜の香りや味を思い出します。
会員にはときどき、農家から「ヘルプお願い」メールが来ます。すると草刈りや植え付け、収穫を手伝います。
農家のメリットは、毎月安定した収入が得られ、不売野菜が少なくなり(歩留まりが良い)、仕分けや販売、発送の手間も省けて、農業に専念できることです。
昨年末に翻訳出版した『公共善エコノミー』にも、CSAの事例が紹介されています。
日本でも近年、CSAが少しづつ広がっているようです【注3】。
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