10月2日から6日まで、東京国際フォーラムで、IWA-アジア太平洋地域(ASPIRE: Asia Pacific Region Grouping)会議が開かれました。水分野ではアジア太平洋地域の主要な国際会議で、政府、学会、事業体、産業界など、水に関わるあらゆるセクターからの専門家が一堂に会し、さまざまなワークショップや発表が行われました。
今回のテーマは「持続可能な水供給・循環システムの実現を目指して」。気候変動による天候の変化で水不足が深刻な地域、衛生的な水を手に入れることが難しい地域など、世界中で安全な水を安心して手に入れられる環境づくりが緊急課題となっているなかでの開催です。
発表方法は、大きく口頭発表とポスター発表にわけられます。発表時間や質疑の時間は会議によってまちまちですが、今回のASPIREでは、口頭発表の持ち時間はひとり約15分。12分発表・3分質疑という形式で発表が進められていきました。一方のポスター発表は、あらかじめ発表会場に自分の作成した研究内容のポスターを貼っておき、決められた時間にポスターの前に立ち、訪れた人達に対し、研究内容の説明や質疑に応じるというものです。
今回私たち環境システム研究室からは、博士課程2年のShomaさんと学部4年生の天野君がポスター発表を行いました。Shomaさんは、気温や降水量がどのように干ばつに影響を与えるのかを評価し、将来予測の結果を発表しました。バングラデッシュでは洪水の被害がよく知られていますが、北部地域では、干ばつによる被害も深刻になっています。一方、天野君は、飲料水のリスクを人々がどうとらえているか、そのリスク認知に情報提供がどのような影響を与えるのかを明らかにする研究を行っています。今回は、卒業研究で得られた研究の成果を発表しました。
ASPIREの会議では、学生が行った口頭発表の中から、優秀な学生発表が「Best Student Award」として選ばれ、閉会式で表彰されます。今回、私たちの都市環境工学講座からは、水環境制御研究室博士課程3年のParindaさん(タイからの留学生)が11人の表彰者のひとりに選ばれました。
Parindaさんの発表は、再生水(下水処理水の再利用水)の水質評価に関する研究についてでした。再生水は今後ますます重要になってきますが、処理をしても微量に残る有機物は、微生物が増える原因となります。Parindaさんは消毒剤をできるだけ少なくしながら、微生物の増殖を抑えるための研究を行っています。
ASPIREは参加者の多くがアジア太平洋地域の人達なので、英語を母国語としない人達が大部分を占めます。そのため、やり取りも比較的ゆっくりと簡易な英語で行われる場合が多く、学生が英語で発表する練習の場としては、とても良い機会となります。さらに、「Best Student Award」のような表彰制度もあるので、意欲的に参加できる国際学会といえるでしょう。
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