栗栖 聖 さん
都市環境工学という分野は、人間活動に伴って生じるあらゆる環境問題を研究対象とし、工学的アプローチにより、問題解決に向けた道筋を探る分野です。環境問題は、人間が活動することによってもたらされるといえます。そのため、我々の対象は、都市の中だけに留まらず、地球環境から農村環境、生態系保全まで幅広い事柄に及びます。また、あるひとつの技術的側面だけを見るのではなく、より俯瞰的に社会を捉え、そこに暮らす人々との関わりを常に念頭に置いた施策や技術の適用を考えて行く、という点が特徴です。
私の在籍している都市環境工学講座という所は、複数の研究室が研究室間の垣根なく、合同で様々な活動を行っているユニークな所です。また、院生の半分は海外からの留学生であり、国際的な視野を広げる環境が整っています。そのような大学で「環境」を学ぶ雰囲気が、少しでも本コラムを通じて皆さんに伝わり、環境を学びたい、環境問題の解決に貢献する人になりたい、という気持ちを実現する一助となれば幸いです。
東京大学工学部都市工学科、環境・衛生工学コース(現、都市環境工学コース)を1995年に卒業後、1997年に同学大学院工学系研究科都市工学専攻・都市環境工学講座にて修士(工学)を、2000年に博士(工学)を取得。2000年から2006年まで、同都市環境工学講座にて助手(現、助教)を務める。2006年より、東京大学先端科学技術研究センター講師となり、兼担として、東京大学 工学部都市工学科および大学院 都市工学専攻 都市環境工学講座での教育研究活動に従事。
研究活動では環境システム研究室にて、花木啓祐教授、中谷隼助教と共に、学生指導に当たっている。研究テーマは、家庭における環境配慮型行動の促進、低炭素型社会システムの提案、廃棄物管理、都市における水辺評価、沿道植物のもたらす効果、と幅広い。都市環境工学講座では、複数の研究室(環境システム研究室、環境質リスク管理研究室、水環境制御研究室、都市水システム研究室)合同で行っている活動も多い。
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