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「地球をグリーンにする発明家」バックナンバー

0142017.12.05UP日本の風力発電を支えるエンジニア達(2)-現場で受け継がれる技術と経験-

一見シンプルな仕組みの風力発電は、機械や電機などいろんな技術領域の集合体でもある

 米国ではグーグルやアマゾン、マイクロソフトなどの企業が自社のデータセンターや事業拠点で必要とするエネルギーを賄うために風力発電所から直接エネルギー購入を決めるなど、風力発電の供給先は広がりを見せている。
 欧米ほどではないものの、日本でも風力エネルギー活用への投資が進んでいる。そして、その裏には、風力発電所のオペレーション・メンテナンス(O&M)業務に日々従事しているフィールドサービスエンジニア達の姿がある。
 GEリニューアブルエナジーの社員で、山口県下関市に位置する白滝山ウインドファームで働いている脇野公夫も、その一人。兵庫県淡路市出身の彼は、GEに入社する以前も風力発電所の建設から保守、運営までを手がける日本企業でエンジニアとして働いていた。
 「風車ってブレードと呼ばれる3つの羽根の回転運動を発電機でエネルギーに変えているもので、一見シンプルな仕組みなんですよね。でも、実は機械や電気などいろんな技術領域の集合体で、不具合があれば原因を突き止めるためにも各領域の知識が必要になります。だからこそ、この仕事に奥深さを感じます」と脇野は話す。
 風力発電という仕事にのめり込んだ脇野に転機が訪れたのは、地元の風力発電所で、GEで働いていたエンジニアの成熟したスキルを目の当たりにしたときだった。
 「GEのエンジニアさんは風力発電機の隅々まで熟知していて、その技術力には目を見張るものがありました。技術と知識を突き詰めるならメーカーであるGEで働くしかない、そう思ったんです」

山口県下関市に位置する白滝山ウインドファームで働いている脇野公夫。
山口県下関市に位置する白滝山ウインドファームで働いている脇野公夫。

GEに入社してから辞めたいと思ったことは一度もないという脇野。
GEに入社してから辞めたいと思ったことは一度もないという脇野。


 決意を固めた脇野は、まもなくしてGEに入社した。
 「先輩エンジニアと一緒に現場で作業してみて、本当に一人ひとりの個のスキルが高いことに、驚くばかりでした。みんな技術マニュアルに頼っているのではなくて自分自身で調べて日々勉強している。そのプロ意識とスタンスに目が覚める思いでした」

ここで稼働するGE製風車20台には年間発電量を拡大させるデジタルソリューション「PowerUp」も導入されている。

実際に風車の内部に入ると、五感を使って音や匂い、漏れなどから小さな変化を感じ取ることができる

 脇野は、知識を広げ技術を磨くことに挑戦するだけでなく、GEのフィールドサービスエンジニアになって、風力発電機メーカーの立場から顧客(風力発電所の運営主体)との信頼関係を構築する、というこれまで経験のなかった役割も担う立場となった。
 「赴任して数か月経った頃、サイトマネージャーだった先輩が別の現場に異動することになりました。そこで、自分が白滝山の現場のマネージャーとしてO&M業務を統括することになったんです。お客様と直接やりとりをする仕事をしたことがなかったので、最初は戸惑いましたし、どうすればお客様からの信頼を得られるのかと悩むこともありましたね」
 そう話す脇野は、最初の半年間、先輩社員と毎日のように電話会議をして、日々の仕事の進捗状況を報告したり、修理や顧客対応の方法についてアドバイスを得ていたと言う。

故障の状況を示す説明資料の作成、お客様への報告などフィールドサービスエンジニアの仕事は多岐に渡る。
故障の状況を示す説明資料の作成、お客様への報告などフィールドサービスエンジニアの仕事は多岐に渡る。

 「当初は、不具合が起きればその修理を進めることばかりに意識が向いてしまっていました。でも、現場のマネージャーとして、お客様に状況を理解していただくことや、作業の進捗状況を報告することで少しでも安心していただけるよう配慮することも重要なんですよね。先輩からアドバイスをいただくうちに、どのようにして仕事を進めるべきか、だんだん感覚を掴めるようになってきて、徐々に先輩との電話会議の頻度を減らし、今では必要な報告のみで済むようになっています」、と脇野は話す。

 白滝山ウインドファームでは風力発電機20台が稼働しており、これらすべては遠隔監視システムで状況を監視し不具合を検知できる仕組みになっている。脇野のチームはそのシステムに全てを依存するのではなく、毎月一度は必ずすべての風力発電機の内部に入り、ブレードから風を受け発電しているナセル部分などの点検を行っている。
 「実際に風車の内部に入ると、五感を使って音や匂い、漏れなどから小さな変化を感じ取ることができます。不具合の予兆を見つけ出し、修理の提案を行うことで大きなトラブルを未然に防ぐことができたときは、結果的にコスト削減や風車のダウンタイムを最小化することにつながるとお客様に喜ばれています」と脇野は話す。

階段を上りタワーの下部から進入すると風力発電機の心臓部ともいえる制御装置が並んでいる。

信頼できる現場チームがあるからこそ、不安なく休みをとれる

 GEで働く魅力の一つとして、脇野は、他の社員や協力会社のメンバーとのチームワークが良く、助け合いながら仕事ができていることを挙げる。

風車のメンテナンス業務を担当する協力会社メンバーとのコミュニケーションも大切な仕事の一つ。
風車のメンテナンス業務を担当する協力会社メンバーとのコミュニケーションも大切な仕事の一つ。

 10年以上にわたるメンテナンス業務のパートナーとして、GE製風力発電機が稼働する国内のウインドファームにスタッフを派遣している清水電工の代表取締役、清水正行氏は、「GEは各分野の専門家で成り立っているバランスのとれた本当に良いチームです。経験豊富なエンジニアや現場の作業に精通しているサービスマネージャーは、協力会社である私たちの現場経験を尊重してくれて作業を委ねてくれたり、私たちが辛いときはその状況を理解してくれる――だからこそ、GEのチームと一緒に働こうと思えるんです」と話す。
 現場には所属組織を越えた一体感があり、全員が風車を回すという共通の目的のために一緒に汗を流している。

 風力発電という仕事に惚れ込み、打ち込んでいる脇野は、淡路市に暮らす妻と3歳の娘をもつ父親でもある。趣味のボルダリング場に立ち寄り、家族が待つ家に帰ることが2週間に一回の楽しみになっている。
 「去年の有給休暇はすべて取りました。というよりも、休みをとらないと私のマネージャーに勝手に申請されてしまうんですよ。もちろん、風車を止めないという責任ある仕事を任されている以上、チームに対して最大限の配慮はしますよ。でも、信頼できる現場チームがあるからこそ、不安なく休みをとれるという環境にあるんです」

ウインドファーム内には部品倉庫があり、その中で部品の加工や修理をすることもある。

先輩から教えてもらった技術や経験を、後輩エンジニア達に伝えていくことも楽しみ

ここで稼働している風力発電機の羽根(ローター)の直径は旅客機のボーイング777-300の全長に相当する。
ここで稼働している風力発電機の羽根(ローター)の直径は旅客機のボーイング777-300の全長に相当する。

 GEリニューアブルエナジーでは、脇野のほかにも様々な役割を担う社員たちが互いに連携し、日本の風力エネルギー活用を支えるべく働いている。かつて脇野のようにサイトマネージャーを務め、現在は各人の強みや志向によって、新たな役割を持って活躍している社員も大勢いる。複数の風力発電所の業務を管理し人員配置を取り仕切るサービスマネージャー、現場での技術経験を活かし高度なトラブルシューティングに活躍するエクスパート、メンテナンスの技術指導を行うインストラクター、システムの不具合等が起こった時に海外のチームとともに技術的な改善策を導き出すエンジニアリング・スペシャリスト。
 脇野は、「次に目指すべきところは、白滝山ウインドファームをはじめ、このエリアで稼働するGE製風車すべてのO&M業務を任される存在になることです」と言う。
 風力発電所の現場の仕事が何よりも好きという脇野は、「自分自身が先輩から教えてもらった技術や経験を、今度は自分の後輩となるエンジニア達に伝えていくことも楽しみです」と、新たなエンジニアの入社を心待ちにしている。


※本稿は、November 06, 2017に公開されたGE REPORTS JAPAN掲載記事
 ( https://gereports.jp/ge-renewable-energy-02 )をもとに再構成したものです。


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バックナンバー

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  2. 002「GEとエジソン。時代を変えた10の発明」
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