国際エネルギー機関(IEA)「World Energy Outlook 2016」の表紙
エネルギーとは、単に電力を供給するだけでなく人や社会、経済に可能性をもたらす。
今日、世界のエネルギー需要は急速に増加している。2050年までに90億人に達すると見込まれる世界人口のうち、増加する人口の90%はいわゆる発展途上国にあり、その結果、世界全体のエネルギー使用量が倍増するという予測がある【1】。その一方で、いまも世界では6人に1人が電気のない暮らしをしている【2】。
こうした国々が経済面でも成長を遂げるためには、公的・民間組織が共同して新たな方策を立て、エネルギーを供給していかなければならない。求められるのは、バランスのとれたエネルギー資源の組み合わせによって、効率的に需要と供給をマッチさせること。全体効率、レジリエンシー(復元力)や持続可能性を担保するには、エネルギーのバリューチェーンを通じてデジタル技術との統合を図ることが効果的だ。つまり、ガスタービンや風力タービンのような発電機器、油井掘削機、原子炉、水力発電機といった「物理世界」を、ネットワーク化されたセンサー、データ分析ソフトウェアといった「デジタル世界」と結びつけることで、電力と情報がその中を様々な方向へと流れ、機器の性能だけでなくエネルギーのエコシステム全体の効率を向上させていくわけだ。
国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界の電力需要を満たすためには今後25年間で約20兆ドルの発電・送電分野への投資額が必要になる。並行して、エネルギーを掘削し、パイプライン、鉄道システム、道路等によって電力をエンドユーザーまで届けるためには25兆ドル、エンドユーザーが効率的に利用できる環境を整えるにはさらに22兆ドルの投資が必要になる【3】。
こうしたバリューチェーン全体の「見える化」を実現し、エネルギー資源の抽出・輸送、転換、生成、伝達、配送システムの最適化にフォーカスしていけば、デジタル・テクノロジーによって、エンドユーザーはより効率的で、持続性があり、制御可能なエネルギーを手にすることが可能になる。新たなテクノロジー、クラウドソリューション、ビジネスモデルを活用すれば、未来に向けたエネルギー変革は十分可能だ。
こうした喫緊の課題を睨み、GEではエネルギー分野の包括的なテクノロジー・ポートフォリオを構築している。実際、GEの発電機器とシステムは世界の電力の3分の1を提供しており、今も毎日、10万人のニーズ相当分の電力供給を世界で増加させている。加えて、エネルギーのバリューチェーンのなかで重要な役割を担っている。
発電方法の選択肢がかつてないほど増加している今日、GEが注力するのは、“いかにスマートに発電を行うか”ということ。つまり、適切なエネルギー構成比を選び、デジタルの力を活用して最大効率を実現する。そのため、石油やガスの効率的な採掘から、風力ファームの天候変化への適応、運搬船の潜在的なトラブル予測、発電施設の効率向上のためのアナリティクス活用に至るまで、世界に多くの機会をもたらすことのできるエネルギー基盤構築への貢献をめざしていく。
※本稿は、Mar 14, 2016に公開されたGE REPORTS JAPAN掲載記事(http://gereports.jp/post/141016664234/digital-energy-mix)をもとに再構成したものです。
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