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「地球をグリーンにする発明家」バックナンバー

0032016.03.29UP今後倍増する世界のエネルギー需要を考える

増大する世界のエネルギー需要

国際エネルギー機関(IEA)「World Energy Outlook 2016」の表紙
国際エネルギー機関(IEA)「World Energy Outlook 2016」の表紙

 エネルギーとは、単に電力を供給するだけでなく人や社会、経済に可能性をもたらす。
 今日、世界のエネルギー需要は急速に増加している。2050年までに90億人に達すると見込まれる世界人口のうち、増加する人口の90%はいわゆる発展途上国にあり、その結果、世界全体のエネルギー使用量が倍増するという予測がある【1】。その一方で、いまも世界では6人に1人が電気のない暮らしをしている【2】
 こうした国々が経済面でも成長を遂げるためには、公的・民間組織が共同して新たな方策を立て、エネルギーを供給していかなければならない。求められるのは、バランスのとれたエネルギー資源の組み合わせによって、効率的に需要と供給をマッチさせること。全体効率、レジリエンシー(復元力)や持続可能性を担保するには、エネルギーのバリューチェーンを通じてデジタル技術との統合を図ることが効果的だ。つまり、ガスタービンや風力タービンのような発電機器、油井掘削機、原子炉、水力発電機といった「物理世界」を、ネットワーク化されたセンサー、データ分析ソフトウェアといった「デジタル世界」と結びつけることで、電力と情報がその中を様々な方向へと流れ、機器の性能だけでなくエネルギーのエコシステム全体の効率を向上させていくわけだ。

より効率的で、持続性があり、制御可能なエネルギーを届けるために

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界の電力需要を満たすためには今後25年間で約20兆ドルの発電・送電分野への投資額が必要になる。並行して、エネルギーを掘削し、パイプライン、鉄道システム、道路等によって電力をエンドユーザーまで届けるためには25兆ドル、エンドユーザーが効率的に利用できる環境を整えるにはさらに22兆ドルの投資が必要になる【3】
 こうしたバリューチェーン全体の「見える化」を実現し、エネルギー資源の抽出・輸送、転換、生成、伝達、配送システムの最適化にフォーカスしていけば、デジタル・テクノロジーによって、エンドユーザーはより効率的で、持続性があり、制御可能なエネルギーを手にすることが可能になる。新たなテクノロジー、クラウドソリューション、ビジネスモデルを活用すれば、未来に向けたエネルギー変革は十分可能だ。

いかにスマートに発電を行うか

 こうした喫緊の課題を睨み、GEではエネルギー分野の包括的なテクノロジー・ポートフォリオを構築している。実際、GEの発電機器とシステムは世界の電力の3分の1を提供しており、今も毎日、10万人のニーズ相当分の電力供給を世界で増加させている。加えて、エネルギーのバリューチェーンのなかで重要な役割を担っている。

  • 世界の再生可能エネルギーの発電容量のうち20%はGE製発電機が担っている
  • 洋上の石油採掘所の85%はGE製テクノロジーを採用している
  • 1,500GWの発電容量相当のインストールベースがある
  • 世界の電力会社の90%にGE製機器が採用されている
  • 発電施設全体の熱効率を最高レベルに引き上げていく
  • 世界的な実績を誇る、幅広いグリッド向け製品ポートフォリオがある
  • ハイブリッド・ガス・ソーラー・ソリューションや、エネルギーを消費しない水処理技術におけるエコ・パートナーシップを結んでいる
  • 130億ドルにのぼる世界的なエネルギー関連プロジェクトに投資している
 加えて、GEは産業向けのクラウドプラットフォームを通じて、エコシステム全体を最適化させるためのデジタルレイヤーを提供する。より効率的かつ持続可能で、費用対効果に優れたエネルギーソリューションが実現可能で、電力事業者のパフォーマンスを最大20%向上させることも可能だ。

 発電方法の選択肢がかつてないほど増加している今日、GEが注力するのは、“いかにスマートに発電を行うか”ということ。つまり、適切なエネルギー構成比を選び、デジタルの力を活用して最大効率を実現する。そのため、石油やガスの効率的な採掘から、風力ファームの天候変化への適応、運搬船の潜在的なトラブル予測、発電施設の効率向上のためのアナリティクス活用に至るまで、世界に多くの機会をもたらすことのできるエネルギー基盤構築への貢献をめざしていく。

※本稿は、Mar 14, 2016に公開されたGE REPORTS JAPAN掲載記事(http://gereports.jp/post/141016664234/digital-energy-mix)をもとに再構成したものです。


脚注

【1】世界のエネルギー使用量予測
【2】いまも世界では6人に1人が電気のない暮らしをしている
【3】電力需要を満たすために必要な投資

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バックナンバー

  1. 001「「電球」のカタチはどう変わる!?」
  2. 002「GEとエジソン。時代を変えた10の発明」
  3. 003「今後倍増する世界のエネルギー需要を考える」
  4. 004「「デジタル・ツイン」で、現実世界と仮想世界の対比を分析 プラントの効率化をめざして」
  5. 005「トマト=テラバイト。美味しいトマトを育てるソフトウェアの話」
  6. 006「GE流の「スマートカー」:電気自動車(EV)のパフォーマンスを最大化する、話せるバッテリー」
  7. 007「アマゾン、風力発電をビジネス加速のエンジンに」
  8. 008「再生可能エネルギー拡大の新たな秘策」 -蓄電池とジェットエンジンのハイブリッド-
  9. 009「「風の秋田」を創る(1)」 -秋田を消滅の危機から救え-
  10. 010「「風の秋田」を創る(2)」 -地域創生に人生を賭ける-
  11. 011「「風の秋田」を創る(3)」 -新しい挑戦から活路を見出す-
  12. 012「“印刷”ボタンを押すだけ:3Dプリント自動販売機を作るGEの試み」
  13. 013「日本の風力発電を支えるエンジニア達(1)」 -東日本大震災とアフリカ生活が教えてくれたこと-
  14. 014「日本の風力発電を支えるエンジニア達(2)」 -現場で受け継がれる技術と経験-
  15. 015「オリンピック選手に“プレシジョン・ヘルス”を提供するアナリティクス・ツール」 -ピョンチャン2018冬季大会に出場する、2900名の選手のけがや病気を予防するための新たな分析ツールで医師をサポート-
  16. 016「GE、新たな電力貯蔵プラットフォーム、「レザボア」を発表」
  17. 017「最新の金属3Dプリンティング技術:航空機のエンジン設計に新しい時代が到来」

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