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「旬の野菜トリビア」バックナンバー

0022009.07.28UP暑いけど日光がなかったらもっと困る

暑い日があればパイナップルができるわけじゃない

パイナップル、こんな風になるってしってました?
パイナップル、こんな風になるってしってました?

 いよいよ夏です。暑いです。
 今回、野菜ネタのはずが、あまりに暑いので、連載二回目にして早くもちょっと脱線します。
 みなさん、日本での最高気温って知ってますか?
 おととし、2007年に、埼玉県の熊谷市と、岐阜県の多治見市で記録した40.9度が最高。その次は、1933年の山形市の40.8度。
 「あれ?何で沖縄とかじゃないの?」って思った人、いません?
 さらに、「こんなに暑いなら、パイナップルとかマンゴーとかできそうじゃん!」って思う人もいませんか?
 できません。答えは簡単、「寒い日もあるから」ですね。

 暑くなる原因はフェーン現象だったりいろいろでしょうが、気象については僕は専門家じゃないので自分で調べてください。

 さて、1?2ヶ月で作れるほうれん草とかだったら、日本中、北海道から沖縄まで、どこかの季節に作れますが、パイナップルは3年くらいかかる作物。果樹など、木になっているので長い期間生育する作物は、その長期の平均的な気温が問題になってくるのです。育つ地域をとてもワガママに選ぶってわけですね。

長野のリンゴがたわわに実る秋。
長野のリンゴがたわわに実る秋。

 リンゴは長野県とか青森県とか涼しいところでできて、沖縄とかじゃまずムリです。みかんの北限は、今は茨城県くらいでしょうか。温暖化のせいで、全体が北上しているのです。そのうち長野県はリンゴじゃなくてみかんの大産地になるかもしれません。

暑さの中で考えてみよう!

和歌山の農家、根来(ねごろ)さんのみかん畑。崖っぷちです。
和歌山の農家、根来(ねごろ)さんのみかん畑。崖っぷちです。

 木が少ない都会は特に暑いですねえ。人間も含めた動物は基本的に、直接の太陽光には弱いものです。だから森の中や海の中で進化してきたのですね。
 逆に植物の葉っぱだけは太陽光が大好き。緑色のもと、「葉緑素」が太陽光を浴び、その光のチカラで、空気中から吸った「二酸化炭素」と、根とか葉などから吸った「水」とで、植物自身や動物が生きるエネルギーのもと、糖分やでんぷんなどの「炭水化物」を作るワケです。
 「二酸化炭素」は、ご存知「CO2」。「炭素」と「酸素」でできております。そして、水は、ご存知「H2O」。「水素」と「酸素」でできております。 そして、「炭水化物」は、「炭素(C)」と「水素(H)」と「酸素(O)」でできている、すなわち、「二酸化炭素」と「水」をバラバラにして作りかえれば「炭水化物」を作れるって事です。この時、「酸素」が余っちゃうので、それは空気中に吐き出すわけですね。コレが「光合成」であります。
 ちなみに「呼吸」は光合成と逆、酸素を使って「炭水化物」を分解して、「二酸化炭素」と「水」に戻す時にできる「エネルギー」を取り出すわけです。
 この糖分やでんぶんなどの炭水化物は、世の中、基本的にこの「光合成」でしか作れない事はみなさん知っておいていい事ですね。動物は、食べて取り込んだ炭水化物を呼吸で燃やして生きてるわけですから、植物の光合成がなかったら生きてこれなかったっていう事でもありますね。
 生き物がエネルギー源として頼る食べ物、例えば糖分の代表、砂糖はほとんどが南の方ではサトウキビ、北の方ではテンサイ、という植物から作られております。でんぷんは、米や小麦などの穀物や、ジャガイモやサツマイモなどのイモから。やはりエネルギーのもとになる油も、植物からです。豚の脂肪や、さらにそれらを食いすぎて増えた僕の腹の脂肪、鶏君や牛君でも、彼らが食べているもののおおもとは植物。石油や石炭ですら、大昔は植物です。生き物の生きるエネルギーはすべて、葉緑素による光合成が無いと存在しなかったのであります。
 世の中を涼しくしてくれているだけじゃなくて、生命のもとである緑のありがたみを、この暑さの中で一緒に痛感いたしましょう。

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