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「旬の野菜トリビア」バックナンバー

0102010.11.24UP猛暑のキズ跡

残暑にも程があるざんしょ!

 さてみなさんも、もーイヤ!って程味わった猛暑や残暑。僕はツイッターで、「残暑にも程があるざんしょ!」と何度オヤジギャグをつぶやいたか知れません。
 涼しくなって、これで野菜もホっと一息、と言いたいところですが、そうもいかないのであります。夏の天候不順はけっこう秋、それどころか冬の野菜事情までずるずると影響を引きずるのです。

カレーライスが大変だ!

北海道のじゃがいも
今年の北海道のじゃがいもは、このような切ると空洞のものがたくさん出ました。

 今年の北海道の夏は、暑いのに雨が多い、という野菜の病原菌は大喜び、野菜には最悪、の天気。集中豪雨もひどく、流された畑もいっぱいありました。何とか収穫できたじゃがいも、玉ねぎ、ニンジンの「カレートリオ」も、その出来が良くありません。とりあえず今(10月の半ばに書いております)は何とか、北海道産カレートリオがあることはありますが、品質が良くない。じゃがいもは高い確率で中に空洞ができてしまっていて、玉ねぎも小さく、そしてどっちも腐りやすい。
 って事は、本来北海道のじゃがいもや玉ねぎは、貯蔵して春まで世の人々のカレー(カレーだけじゃないですが)の原料として提供されるのに、貯蔵中に多くが傷んで腐ってしまう可能性が大、ってコトです。
 彼らは2月を越せるんだろうか・・・と、これがワタシたちの今の悩みの種なのであります。2月に出荷が終わってしまったら、次にスタートする九州の新たまねぎは3月後半、新じゃがいもは4月後半。ワタクシたちは一ヶ月以上カレー(しつこいか)が食べられません。

過去を引きずる野菜たち

長野県の川上村の、井澤さんの畑
長野県の川上村の、井澤さんの畑は標高が1,200m以上あるのに、何度も気温35℃を超えたようです。レタスも調子が悪くなります。

 本州ではとにかくキョーレツな猛暑で、標高1000m以上の、夏でも涼しいはずの高原でも35℃を越す日が続いたので、キャベツやレタス、白菜などの高原野菜を傷めつけました。
 でもどうせ高原野菜は10月には収束に向かって、その後は本州の平野部から野菜が出てくるんだから、もう世の野菜不足は解消されるだろう、と思ったら大間違い。
 本州の平野部で秋に収穫される作物も、植えるのは夏。今年は種を撒いても暑すぎたり豪雨だったりで芽が出ず、出たとしてもまだ生まれたての彼らは暑すぎれば溶けて、豪雨になればすぐに流されちゃうのです。
 千葉県のらでぃっしゅぼーやの農場、「らでぃっしゅファーム和郷」でも、10月終わり頃に出荷するつもりだったニンジンの種が暑すぎたり大雨だったりで発芽せず、無事だったのはその次に植えた種。したがって、出荷が大幅に遅れそうであります。普通だったら世の中のニンジンは、北海道産が10月頃終わって10月末くらいから本州の平野部のものが出始めるんですが、なんとか十分な量になるのは11月後半になるんじゃないでしょうか。

この夏の作物の危機を覚えておきましょう!

珍しいサツマイモの花
千葉県のらでぃっしゅファームで、珍しいサツマイモの花が咲いた!調子が悪いと、子孫を残そうと咲きやすいらしいです。でも、さすが救飢作物、猛暑に強かったようで、収穫量はまあまあでした。

 そんな中、数少ない快調な野菜がありました。サツマイモ。さすがもともと救飢作物【*1】、干ばつに強い!
 里芋も、葉っぱが小さかったので心配しておりましたが、水を撒けた畑はなんとか無事に収穫できております。今年はサツマイモと里芋のカレーにしてみようかな。
 里芋は熱帯のタロイモの親戚、水さえあれば暑さには強いのであります。オクラも熱帯の作物。これも水がよく撒けた畑ではよく採れてましたな。
 こんな時にその野菜の素性がちゃんと出るというのが、八百屋業にとっては苦しい中のおもしろい発見でありました。
 しかし、のど元過ぎれば、という言葉があるように、そのうち野菜が潤沢に流れ出すと、野菜不足があったことすらすっかり忘れるのが人間であります。野菜というのはやっぱり工業製品じゃなくてお天気の影響を受ける自然の中の産物なんだ、と言うことだけでも忘れないで欲しいですな。

【*1】救飢作物
飢饉の際、人々を救済する食料となる食べ物。サツマイモは干ばつに強く、そのため江戸時代に青木昆陽サンが、鹿児島から持ってきて関東で栽培させた作物なのであります

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