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「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」バックナンバー

0182020.11.04UP驚くほど白い砂はなぜそこにあるのか?謎に包まれた純白の砂浜・ホワイトヘブン・ビーチ-地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-

 全長約2,300km、大小約3,000ものサンゴ礁で構成された、地球上最大の生命集合体とされるグレートバリアリーフ。日本とほぼ同じ面積の34万4400km2を誇る巨大なサンゴ礁の海「グレートバリアリーフ海洋公園」には、1,000以上の島々が点在しています。
 そのなかでも74の島が隣接しているウィットサンデー諸島一帯は、サンゴ礁としてのグレートバリアリーフの魅力もさることながら、それぞれ個性的な島の魅力が際立つエリアです。


宇宙からも見える世界最大のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」 © Tourism and Events Queensland

宇宙からも見える世界最大のサンゴ礁「グレートバリアリーフ」 © Tourism and Events Queensland

ウィットサンデー地区で見られるハート型のリーフ © Tourism and Events Queensland

ウィットサンデー地区で見られるハート型のリーフ © Tourism and Events Queensland

色とりどりのサンゴ礁 © Tourism and Events Queensland

色とりどりのサンゴ礁 © Tourism and Events Queensland


“世界で最も美しいビーチのひとつ“と言われる「ホワイトヘブン・ビーチ」

 欧米の旅行雑誌や旅行サイトで行われる「世界で最も美しいビーチ」や「世界最高のビーチ」ランキングで、常に上位に名前があがるクイーンズランド州のホワイトヘブン・ビーチ。ウィットサンデー諸島最大の島でその名の由来となった「ウィットサンデー島」にあり、世界中から観光客が訪れます。島は全体が国立公園に指定され、現在は無人島となっています。

 きめ細かい白砂が7kmにも渡って続くこのビーチは、海の青と島を覆う緑に、純白の海岸線が鮮やかなコントラストを描き、夢のように美しい絶景が広がっています。そして、「白い天国」を連想させる「ホワイトヘブン」という名称【1】も相まって、訪れた人々を虜にしてしまうのも頷けるほどの美しさです。
 白い砂は、ビーチに接続する「ヒル・インレット」と呼ばれる入江から海へ流れ出て、潮の満ち引きに伴って、白い砂が青い海に流れ出た際に波状の砂紋を描き、白と青のモザイクアートのような素晴らしい光景を見せてくれます。

“世界一美しいビーチ”で常に上位にランクされるホワイトヘブン・ビーチ © Tourism and Events Queensland

“世界一美しいビーチ”で常に上位にランクされるホワイトヘブン・ビーチ © Tourism and Events Queensland

海の青と島の緑、白い砂が一望できるヒル・インレット © Tourism and Events Queensland

海の青と島の緑、白い砂が一望できるヒル・インレット © Tourism and Events Queensland


砂はなぜそんなに白いのか?どうしてそこにあるのか?・・・謎が深まる砂の起源

 ヒル・インレットから流れ出る大量の白い砂は、ホワイトヘブン・ビーチへと続いていきますが、このビーチを構成している白い砂は、98%が純粋なシリカ(二酸化ケイ素)でできています。シリカは、ガラスの原料にもなる「石英」が最も一般的で、英語ではquartzクォーツと呼ばれ、その中でも無色透明なものは水晶として知られている鉱物です。しかし、この島(ウィットサンデー島)にはもちろん、周辺地域にも石英はありません。
 それでは、この驚くほど白く、ほぼ純粋なシリカでできた砂はどうしてここにあるのでしょうか?

 この砂がどこから来たのかについては、多くの地質学者が調査・研究を行っているものの、「これだ!」と確定できるだけの証拠はまだ見つかっていません。長年に渡り、諸説が唱えられてきた中で、現在、最も有力なのが、砂が海流に乗って、クイーンズランド州沿いに北上し、この場所に運ばれてきたという説です。
 この仮説では、まず、何百万年もの年月をかけて削られた大陸の石英が、海に流出。海流に乗って運ばれてウィットサンデーにたどり着いた末、サンゴの死骸や貝殻等が細かく砕かれたものなどが混じりながら堆積していきました。そして、氷河期に伴う海面の上昇と下降が繰り返され、島から流れ出た淡水がホワイトヘブンの砂から不純物を洗い流す形となり、ほぼシリカだけが残った…というのです。

ヒル・インレットから流れ出る大量の白い砂 © Tourism and Events Queensland

ヒル・インレットから流れ出る大量の白い砂 © Tourism and Events Queensland

ヒル・インレット展望台からの眺め © Tourism and Events Queensland

ヒル・インレット展望台からの眺め © Tourism and Events Queensland


携帯電話やカメラを持っていくと壊れてしまう?

 ホワイトヘブン・ビーチのほぼシリカが成分の白砂は、パウダーのように極めて細かく、携帯電話やカメラなどの電子機器に付着すると損傷する恐れがあるそうですので、この場所を訪れる際は、電子機器の取り扱いにくれぐれもご注意を。

 何百万年もの年月をかけて自然が造り上げた“純白の砂浜”、ホワイトヘブン・ビーチ。文明の利器をひとまず忘れて、太古の大自然を肌で感じてみたい…そんな場所です。

グレートバリアリーフはアニメ映画「ファインデング・ニモ」のふるさと © Tourism and Events Queensland

グレートバリアリーフはアニメ映画「ファインデング・ニモ」のふるさと © Tourism and Events Queensland

グレートバリアリーフには世界最大のウミガメ産卵地も © Tourism and Events Queensland

グレートバリアリーフには世界最大のウミガメ産卵地も © Tourism and Events Queensland


用語説明

【1】ホワイトヘブン
 「ホワイトヘブン」の綴りは「Whitehaven」となり、実際は、日本語の「天国」を表す「heaven」とは異なります。ですが、音が似ていることも手伝って、「天国のような」と表現されることが多くなっています。ちなみに、「Whitehaven」という名は、この場所を探索した英国人によって名付けられ、英国カンブリア地方の町の名前に由来しています。

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(2022.03.02)

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バックナンバー

  1. 001「知っているようで、意外と知らないオーストラリアという国。」
  2. 002「自然環境を大きく変えるグレートディヴァイディング山脈」 -ニューサウスウェールズ州-
  3. 003「世界最大の珊瑚礁と世界最古の熱帯雨林」 -クイーンズランド州-
  4. 004「コンパクトな地の利と多様な環境が育む‘食の宝庫’」 -ビクトリア州-
  5. 005「原始の森に包まれた世界でいちばん空気がきれいな島」 -タスマニア州-
  6. 006「乾燥と寒暖差を利用した世界屈指のワイン産地」 -南オーストラリア州-
  7. 007「インド洋に沈む夕日と独自の生態系が見られる資源の宝庫」 -西オーストラリア州-
  8. 008「湿潤な森と湿原、乾燥した砂漠の2つの顔を持つ準州」 -ノーザンテリトリー準州-
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  12. 012「地球が生んだ七色の宝石と過酷な環境で暮らす地下都市・クーバーペディ」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
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  16. 016「大規模森林火災でコアラ数万頭が犠牲になったカンガルー島」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  17. 017「世界一幸せな動物“クオッカ”が棲むロットネスト島」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  18. 018「驚くほど白い砂はなぜそこにあるのか?謎に包まれた純白の砂浜・ホワイトヘブン・ビーチ」-地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
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  21. 021「コロナ禍の観光客減によるグレート・バリア・リーフへの影響」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
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