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「オーストラリアのユニークな自然環境に迫る!」バックナンバー

0132019.06.18UP自然界の偶然が生んだ奇跡の楽園!不思議な世界最大の砂島・フレーザー島-地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-

島を覆いつくす亜熱帯雨林 © Tourism Queensland

島を覆いつくす亜熱帯雨林 © Tourism Queensland

 クイーンズランド州の州都ブリスベンの北東、約250kmの沖合に浮かぶフレーザー島。全長約123km、横幅は最も広いところで約22kmと南北に細長く、総面積は、約1,840km2と、大阪府(約1,901km2)より少し小さい程度の大きさですが、なんと島自体が砂でできています。
 砂でできた島としては、もちろん世界最大! しかも、島内には豊かな森が広がり、様々な生き物たちの楽園となっています。そんな類まれなる自然から、1992年に世界遺産に登録されました。

脅威の大自然が広がる砂の島

 フレーザー島に最初に人類が定住したのは、約4万年前と考えられています。先住民アボリジニの言葉で、「楽園」を意味する「クガリ(K'gari)」と呼ばれ、人口は平均300~400人程度、多い時で約2千人は住んでいたのではないかという形跡が残っているそうです。先住民アボリジニの人々がこの島に定住していた頃は既に、豊かな緑の森、美しい白砂のビーチ、驚くほど澄んだ淡水を湛えた湖など、現在みられるような自然が広がっていたと推測されています。
 この島が、地球上で『貴重』な場所とされる理由は、上記のような素晴らしい自然が広がっていることはもちろんですが、何よりも研究者らを驚かせたのは、通常、砂地には育たないはずの亜熱帯雨林が島を覆いつくしていることでした。
 亜熱帯雨林の大木が根付く大地は、真っ白なシリカ・サンド(石英の粒でできた白砂)がそのほとんど(約98%)を占めています。手に取ればサラサラとこぼれてしまう砂ですので、こうした大木が根を張って、その体を支えていること自体が奇跡ともいえます。

島内は砂浜と同じ砂地のため、4WD車でしか通行できない © Tourism and Events Queensland

島内は砂浜と同じ砂地のため、4WD車でしか通行できない © Tourism and Events Queensland

降った雨が砂地を流れ、いくつもの川が生まれる © Tourism and Events Queensland

降った雨が砂地を流れ、いくつもの川が生まれる © Tourism and Events Queensland


多種多様な植物で構成された奇跡の森と美しい湖

 さらに驚くのは、この亜熱帯雨林の森が、ユーカリやバンクシアといったオーストラリア固有の樹木をはじめ、ナンヨウスギやカウリマツ、シダ植物など、驚くほど様々な植物で構成されていることです。海岸沿いにはマングローブの森も形成されています。
 また、豊かな森が育まれた島内には、いくつもの小川が流れ、目を見張るほど透明度の高く、夢のように美しい淡水湖「マッケンジー湖」をはじめ、大小100を超える湖が点在しています。

驚くほど透明度の高いマッケンジー湖 © Tourism and Events Queensland

驚くほど透明度の高いマッケンジー湖 © Tourism and Events Queensland

様々な植物が構成するフレーザー島の亜熱帯雨林 © Queensland Government

様々な植物が構成するフレーザー島の亜熱帯雨林 © Queensland Government


※今年3月、海外研修でフレーザー島を訪れていた日本の高校生2人が、マッケンジー湖で溺死するという痛ましい事故が起きました(関連リンク参照)。この湖は、白砂のビーチに透き通った青い水を湛え、ついつい海辺のビーチに来たかのような錯覚を起こしてしまいがちですが、あくまでも淡水なので、海水のように浮力がつきません。また、上記でも説明した通り、サラサラの砂地のため、湖底に足がとられやすい傾向がありますので、水に入る際は注意を怠りなく。

豊かな島に生息する様々な生物たち

 豊かな森と豊富な淡水のおかげもあり、島内には、様々な生き物が生息しています。中でも、太古の昔にアボリジニがアジアから連れてきたとされる野犬・ディンゴは、オーストラリア国内でも希少となっている純血種の生息地として有名。その他にも、スワンプ・ワラビー、フクロギツネ、フクロモモンガなどの有袋類や、単孔類のハリモグラ、オオコウモリといった陸地の哺乳類が40種以上生息しています。
 また、70種以上の爬虫類や両生類、350種を超える鳥類、10種以上の淡水魚類のほか、周囲の海では、ザトウクジラ、ミンククジラ、イルカ、ジュゴンといった大型の海洋生物の姿も見ることができます。
何万年も昔にアボリジニの人々がアジアから連れてきたとされるディンゴ © Jewelszee Photograhy/Tourism and Events Queensland

何万年も昔にアボリジニの人々がアジアから連れてきたとされるディンゴ © Jewelszee Photograhy/Tourism and Events Queensland

クジラの子育てシーズンには、ホエールウォッチングも盛ん © Tourism and Events Queensland/Darren Jew

クジラの子育てシーズンには、ホエールウォッチングも盛ん © Tourism and Events Queensland/Darren Jew


大量の砂はどこから来たのか?

 砂の島に育まれた常識では考えられない豊かな森と生命。では、島を構成する大量の砂は、一体どこから来たのでしょうか?
 これまで、「オーストラリア大陸本土から流れ出た土砂が堆積した」という見方が一般的でしたが、近年では、「南極とオーストラリアがまだ地続きだった頃より、オーストラリアの南東沖から運ばれてきたもので、そのほとんどは、何千キロも離れた南極大陸から、何十万年もの時間をかけて運ばれた」という説が有力となっています。
 その説によると、約7億年前にあったとされる南極大陸の巨大な山脈(現在のヒマラヤ山脈に匹敵するといわれている)が侵食されて土砂となり、その砂が海流に乗って運ばれ、大陸棚に溜まり、70万年以上の歳月をかけて、現在のフレーザー島付近に堆積していった…ということですが、今も砂は動き続けており、現在も研究途上だそうです。
 こうした自然界のいくつもの偶然が重なってできた奇跡の島・フレーザー島。先住民アボリジニが名付けた名称通り、類まれなる自然が育まれている「楽園」といえそうです。

フレーザー島付近の海峡は、溜まり続ける砂のため、グレトサンディー海峡と呼ばれる © Tourism and Events Queensland

フレーザー島付近の海峡は、溜まり続ける砂のため、グレトサンディー海峡と呼ばれる © Tourism and Events Queensland

島内にできた広大な砂丘 © Tourism Queensland

島内にできた広大な砂丘 © Tourism Queensland


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バックナンバー

  1. 001「知っているようで、意外と知らないオーストラリアという国。」
  2. 002「自然環境を大きく変えるグレートディヴァイディング山脈」 -ニューサウスウェールズ州-
  3. 003「世界最大の珊瑚礁と世界最古の熱帯雨林」 -クイーンズランド州-
  4. 004「コンパクトな地の利と多様な環境が育む‘食の宝庫’」 -ビクトリア州-
  5. 005「原始の森に包まれた世界でいちばん空気がきれいな島」 -タスマニア州-
  6. 006「乾燥と寒暖差を利用した世界屈指のワイン産地」 -南オーストラリア州-
  7. 007「インド洋に沈む夕日と独自の生態系が見られる資源の宝庫」 -西オーストラリア州-
  8. 008「湿潤な森と湿原、乾燥した砂漠の2つの顔を持つ準州」 -ノーザンテリトリー準州-
  9. 009「二大都市間に計画的に造られた政治の中枢都市」 -キャンベラ首都特別地域-
  10. 010「その昔は海だった!? 5億年以上前の地球を目の当たりにする、ウルル-カタジュタ国立公園」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  11. 011「地球にとって重要な古生物が今も生き続けるシャーク湾」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  12. 012「地球が生んだ七色の宝石と過酷な環境で暮らす地下都市・クーバーペディ」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  13. 013「自然界の偶然が生んだ奇跡の楽園!不思議な世界最大の砂島・フレーザー島」-地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-
  14. 014「砂漠地帯に残された氷河期の人類の足跡・ウィランドラ湖群地域」 -地球の息吹を感じるオーストラリアの旅先案内-

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