メインコンテンツ ここから

「温泉を巡る」バックナンバー

0062013.03.12UP「雪国」の越後湯沢温泉へ

魚沼地方を代表する温泉地

越後湯沢温泉の温泉街
越後湯沢温泉の温泉街

 新潟県中央部は「魚沼コシヒカリ」の産地で日本有数の米処として知られています。以前は「北魚沼・中魚沼・南魚沼」の3郡で構成されていましたが、合併などがあり現在はこの地域を総称して「魚沼地方」と呼ばれています。越後湯沢温泉は、南魚沼郡の南端に位置する湯沢町にあります。
 湯沢町は1945(昭和30)年に湯沢村・神立村・土樽村・三俣村・三国村の5ヶ村が合併して現在に至っています。東部から南部にかけては群馬県に、西部は長野県に接しており、山岳部は「上信越高原国立公園」に指定されています。町内には多くのスキー場があり、10カ所程の温泉が点在しています。その中で最も規模が大きく、魚沼地方を代表する温泉地が越後湯沢温泉です。

越後湯沢温泉の発展

玄関口となる越後湯沢駅
玄関口となる越後湯沢駅

 越後湯沢温泉は900年ほど前、平安時代の末に高半旅館の祖である高橋半六翁が湯ノ沢に温泉を発見したと伝えられています。1801(享和3)年編纂の「新編会津風土記」に記載が見られるとのことです。明治19年に刊行された内務省衛生局編纂「日本鑛泉誌」には天和年間(1681?1684)の発見と記されています。永い歴史がある温泉地であると言えるでしょう。
 明治時代にはまだ小規模な湯治場であった越後湯沢の大きな転機は、1931(昭和6)年の上越線の開通です。新たな温泉開発が次々と成功したことによって湯量が増え、新しい宿が建てられて現在の越後湯沢温泉の基礎ができたと言われています。

小説「雪国」の舞台

 越後湯沢温泉は、1935(昭和10)年に文藝春秋に発表された川端康成の小説「雪国」の舞台となったことで一躍脚光を浴びます。川端氏は発表の前年から3年間に渡って越後湯沢温泉の高半旅館に逗留してこの作品を執筆しました。旅館は建て替えられられていますが、「雪国」執筆にあたった「かすみの間」は展示コーナーに移設されて当時のまま残されており、宿泊客以外でも見学することができます。
 JR越後湯沢駅の構内には、ヒロインである芸者「駒子」の人形が展示され、来湯客を出迎えています。温泉街には「雪国館」が設置され、ノーベル文学賞作家川端康成の愛用品をはじめ、小説「雪国」をモチーフにした日本画や駒子のモデルと言われる「松栄」が昭和初期に住んだ置屋を移築・再現した「駒子の部屋」に加え、雪国である湯沢の暮らしや歴史などが展示されています。

温泉街の中にある「雪国館」
温泉街の中にある「雪国館」

雪国館の展示風景
雪国館の展示風景

越後湯沢駅構内に展示された「駒子」
越後湯沢駅構内に展示された「駒子」

越後湯沢の変貌と温泉

リゾートマンションが建ち並ぶ湯沢町
リゾートマンションが建ち並ぶ湯沢町

 昭和初期に大きく発展した越後湯沢温泉は、上越新幹線の開通と関越自動車道の開通により、首都圏からの交通の便が格段に良くなりました。バブル期の1980年代末?90年代初頭(昭和60年代?平成初期)にかけて、苗場や岩原地区を含め湯沢町内にリゾートマンションが続々と建設され、越後湯沢温泉にも複数のリゾートマンションが建てられ様相が一変します。当時は「東京都湯沢町」という言葉がよく用いられたりしました。
 また、上越新幹線の工事によって越後湯沢温泉のいくつかの源泉に影響を来たしたのに伴い、1975(昭和50)年に温泉の集中管理が実施され、湯沢町が温泉配湯事業を実施してきました。この事業は2006(平成18)から民間に移譲され、現在は5?6本の源泉を利用して4系統の配湯事業が実施されています。源泉により泉質が若干異なっていますが、宿や入浴施設だけでなく、一部の一般家庭を含めた約170軒に温泉が配湯されています。

越後湯沢の温泉街

 越後湯沢温泉はJR上越新幹線の越後湯沢駅西口を中心に温泉街が展開しています。東口にはバスターミナルがあり、駅前はアーケードの商店街となっていて、土産物店や飲食店などに加えて温泉浴場もあります。駅に隣接して海産物店があり、季節柄日本海側で捕れた鮭が何本も軒下に吊り下げられていました。
 温泉街には旅館・ホテル・民宿などの宿とリゾートマンション、温泉入浴施設が点在し、さらに飲食店や土産物品店に加え、レトロな射的場などもあります。湯沢町内には公営の温泉浴場が6ヵ所ありますが、越後湯沢温泉の地域内には、「山の湯」と「駒子の湯」、そして「コマクサの湯」があります。山の湯は元湯地区の共同浴場で単純硫黄泉。駒子の湯は小説雪国のヒロインに因んで名付けられた浴場で展示室も併設され、泉質は塩化物泉。コマクサの湯は湯沢高原スキー場へのロープウェーの駅にあります。さらに越後湯沢駅構内にも温泉に越後の産業である日本酒を加えた「酒風呂」が楽しめる施設が設置されています。そして、東口商店街には「江神温泉」があります。いずれの浴場もシーズン中は多くのスキーヤーたちで賑わっています。
 立春は過ぎましたが、越後湯沢温泉ではまだまだ雪国の雰囲気が楽しめます。

レトロな雰囲気のある射的場
レトロな雰囲気のある射的場

山の湯共同浴場
山の湯共同浴場

駒子の湯
駒子の湯

越後湯沢駅構内の浴場
越後湯沢駅構内の浴場

東口商店街の中にある「江神温泉浴場」
東口商店街の中にある「江神温泉浴場」

温泉街にある布場ゲレンデ
温泉街にある布場ゲレンデ

鮭が吊り下げられた海産物店
鮭が吊り下げられた海産物店


このレポートは役に立ちましたか?→

役に立った

役に立った:3

前のページへ戻る