福島県の中央部にある郡山市は同県経済の中心で、交通網が発達した東北有数の交流拠点都市となっています。震災の復興に関連する企業なども多数集まってきています。
郡山市の西部に磐梯熱海温泉があります。JR磐越西線で郡山から3駅15分ほど、磐越自動車道の磐梯熱海ICから10分、そこは清流と湧水そして緑に囲まれた温泉地なのです。
温泉の発見は800年程前、京の公家の娘「萩姫」が難病を患った折に「都を去る東北方、500本目の川岸にある霊泉に浸かれば治癒する」と不動明王のお告げがあり、湯治したところ全快したという「萩姫伝説が」残されています。毎年8月9日・10日に「萩姫まつり」が開催されます。現在の磐梯熱海は故事に因んで名付けられた「五百川(ごひゃくがわ)」の清流を挟み、東西約2?にわたり25軒ほどの宿と飲食店などが点在して温泉街が展開しています。
磐梯熱海温泉は福島県の「中通り」地方、内陸部に位置します。旧熱海町が1965(昭和40)年に合併して郡山市熱海町となりました。東北の内陸部に何故「熱海」という地名が付けられたのかは、遠く鎌倉時代に遡ります。源頼朝の家臣で「伊豆の国」の伊東氏が統治した際に温泉の湧く地を「熱海」と名付けたと伝えられています。静岡県の熱海温泉にある「湯泉神社」や「木ノ宮神社」が祀られ、「伊豆の国」と深く関わりを持ってきたことが伺われます。
明治時代に猪苗代湖から灌漑用水を引く安積疏水(あさかそすい)が完成し、鉄道が開通した当時の駅名は「熱海」でした。大正時代に「岩代(いわしろ)熱海」と改名し、戦後「磐梯熱海」と再び改名されました。温泉地名も同様に変遷して現在に至っていますが、地元の人々は今でも「熱海」と呼んでいます。
磐梯熱海温泉には足湯が3ヵ所に点在しています。「磐梯熱海駅前足湯」は文字通り駅前に設置され、我々旅行者を出迎えてくれます。温泉街東部には「お美足の湯」が、温泉街西部には「ケヤキの森足湯」があります。これらの足湯は観光客だけでなく地域の人々も利用しています。また、デイサービスの一環でリハビリを兼ねての使用など、地域住民の健康維持にも役立てられているのです。
湯は無色透明で泉質はpH9.1のアルカリ性単純温泉。癖がなく柔らかな感触で、入湯すると肌がスベスベになるのが特徴です。自家源泉を持つ施設もありますが、郡山市が温泉供給事業を実施して宿や公衆浴場、足湯などの施設に温泉が配湯されています。
磐梯熱海温泉では、「大自然のかほりと源泉ロマンコース」と「歴史をたどる ふる里ロマンコース」の2種類の散策路が設定されています。旧来会津方面へ向かう国道49号線沿いに位置していましたが、熱海バイパスの完成を契機に温泉街を通過する車両が減少したため、安全で散策しやすい温泉地づくりを進めてきました。
一番のお薦めは源泉ロマンコースの「ケヤキの森散策路」。樹齢300年のケヤキが群生しており、昔炭を焼くために2m以下の高さの枝を繰り返し切ったことにより低い位置で枝分かれしたり瘤状になった「アガリコ」と呼ばれる特異な形状をしたケヤキの大木が見られます。
アップダウンを敬遠される方は五百川沿いの蓬山遊歩道がお薦め。緑が美しく多くの野鳥の声が聞こえ川面を渡る風が心地良いでしょう。また、どちらのコースにも設定されている磐梯熱海駅に隣接した「湯けむり公園」も緑に囲まれた回廊に温泉が流れて心が和みます。
この他、ふる里ロマンコースにある安積疏水の水を利用して大正時代に建造された「丸守水力発電所」のレトロな風景、不動の滝、湯泉神社、源泉ロマンコースにある深沢の名水処、湯のまちぎゃらりー等々、温泉街とそのすぐ傍にはお薦めスポットが沢山あります。どう巡るかは飲食店や種々の情報が満載されたイラストマップの活用がポイント。レンタサイクルも利用できます。磐梯熱海の豊かな自然と地域の歴史文化に是非触れてみて下さい。
なお、現在「東北観光博」が開催中です。東北全部が博覧会場となり「こころをむすび、出会いをつくる」をテーマに28のゾーンで2013年3月まで実施されます。「郡山・磐梯熱海ゾーン」は東北への入口。「旅のサロン」の郡山駅・磐梯熱海駅の観光案内所で「東北パスポート」を入手できます。提示すると加盟店での特典があり、「旅のサロン」のスタンプを集めるとプレゼントが受けられるなど、東北の旅の楽しみが広がります。
Copyright (C) 2009 ECO NAVI -EIC NET ECO LIFE-. All rights reserved.