今年も狩猟のシーズンがやって来ました。日本で銃やワナを使った狩猟を行うためには、狩猟免許を所持すると同時に、シーズンがくるたびに都道府県ごとの狩猟者登録を行ない、狩猟税を納める必要があります。解禁日が誕生日である私は、今年の猟期で36歳になりました。
よく猟師が減っていると言われますが、実際はどうなのでしょうか。まず、狩猟免許所持者数で言うと、30年前の約45万人に対して最近は20万人前後で推移しています。「確かに減っているけれども、このペースならあと30年くらい経っても10万人は残るのでは」と思われるかもしれませんが、それは間違いです。30年前と現在とでは猟師の年齢層がまったく異なり、猟師の高齢化が進んでいるからです。
2007年度のデータによると、狩猟免許所持者約23万人中、60歳以上が約13万人、50歳以上まで含めると約20万人となり、50歳未満の狩猟者数はわずか3万人程度です。このままの状況であれば、20年後、30年後には狩猟者数が数万人になってしまうでしょう。
猟師というと、獲物である動物の命を奪う側であることから、しばしば自然と対立するものとしてイメージされることもあるようですが、猟師はむしろ自然の中で生かされているような存在です。豊かな自然なくしては、持続的に猟を続けることができませんし、獲物を捕り過ぎてしまっては後々自分が困るだけです。古くから日本の生態系の一部として、猟師は存在してきたのです。
しかし、狩猟者の数が減ってくるにつれ、その関係に異変が生じています。年々、野生動物による農作物への被害が増加し、狩猟及び有害駆除で捕獲されたイノシシとシカの数を見てみても、30年前は合わせて10万頭程度だったのが、2007年度には44万頭にまで増えています。そして、これだけ捕獲しても被害増加のペースは一向に衰えません。
イノシシ・シカの捕食者であったオオカミを人間が絶滅させて以降、狩猟者がその役割を担ってきたとも言えるのですが、そのバランスがいま崩れつつあります。
個人的には、日本という狭い島国には人間が住み過ぎで、他の動物がもっと増えたらいいとは思いますが、人間が山林を切り拓き、野生動物の生息する地域が減っている今の状況で特定の動物が増えることは、残念ながら、生態系の破壊【1】へとつながります。
これらのことを考えると若い猟師を養成していくことが急務なのは間違いないのですが、そのためには問題が山積しています。
現在、有害駆除で捕獲された動物の多くは焼却・埋設処分されていますが、それらをきっちり食肉として利用する仕組みを作る必要があります。多くの猟師は捕った獲物をしっかりと食べることが供養にもなるという考えを持っていますので、駆除、処分の作業には仕方なく社会貢献として参加しているという側面があります。また、こういった殺すだけの取り組みにわざわざ参加したい若者が増えるとは思えません。
そもそも現在は、山間部の農村が過疎化し、林業が衰退するなか、自然と人間との関係自体を今後どうしていくのかということを考えないといけない時期にあると思います。それは地方と都市の問題でもあるでしょうし、大規模に放置された植林地をどうしていくのか、不必要なダムをどうしていくのかという問題でもあると思います。その中で、狩猟というものの意義を社会全体でしっかりと定義し直し、野生動物や自然としっかりと関わりたいという思いを持つ若者が、猟師という生き方を自然に選択できるような環境を整備していかない限り、根本的な問題解決には至らないでしょう。
猟師が「○○のため」にあるものでないことは、千松さんご自身が誰よりもご存知のはず。狩猟は人間の根源にせまるいとなみだからこそ尊く、大切な命をとってもせずにいられないもの。千松さんご自身が思っていらっしゃることを、正面から堂々と主張できてこそ狩猟の将来が見えてくるのではないでしょうか。
いま、狩猟するひとたち自身が社会システムのなかに自らを位置付けて疑問をもたない、その状況こそが危ういのだと思います。
狩猟者自身が狩猟を深めているか、ぼくはそこを問いたい。哲学、文学、美術と親和性が高いと思っています。より深いもの、より高いものであってこそ、若者が求めてくるのではないでしょうか。
深いとか、高いとかも、ほんとは言いたくないです。でも千松さんなら、何が言いたいかわかってくれると信じています。
(2020.02.06)
銃所持や,野山での発砲制限,揚げ足取りのような摘発・・などを見るとだれも賛同してくれてないように見えますよね。(少なくとも警察は)
(2015.05.21)
狩猟免許と猟銃所持許可がありますが、
とうとう猟銃をやめました。
年齢のこともありますが、
あまりにも警察が銃所持を嫌がってるのかと感じて、
その態度が嫌になってしまいました。
現象としては警察に協力したような・・
(2014.01.26)
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