田植えボランティア
写真提供NPO法人メダカの学校
「いただきます」。何気なく食事の前に唱えるこの言葉は、「命をいただく」という意味だそうです。このような表現をする国は、世界でも、日本と韓国だけだということです。
毎日食べているお米が育つ田んぼの中にはメダカをはじめ、カエル、ホタル、トンボなど多くの生きものが生息し、食べたり食べられたりすることで、バランスを保ち、たわわな稲が育つそうです。日本は、古来からそうした生きものの多様性と上手に付き合いながら、豊かな食生活を育んできたからこそ、「いただます」という、命への感謝の言葉が生まれたのかもしれません。
先日、「ファームエイド銀座・農業環境フォーラム」に参加しました。農薬の問題、耕作放棄の問題、自給率の問題など、多くの課題をかかえる日本の農業について、有機農業の実践者の方たちから生の声を聞きました。食の安全について、関心の高まる昨今ですが、都会から日本の農業のあり方を考え、それを支える生物の多様性について考えてみる。そんなセミナーやワークショップに参加することもボランティアのひとつの入口です。
NPO法人「メダカのがっこう」は、農家さんと連携し、農薬・化学肥料を一切使わず、冬でも水をはる田んぼを増やして、いなくなった生きものを取り戻し、おいしく安全なお米を育てることを広め、実践している団体です。毎年、田んぼの「草取りツアー」や「生きもの調査」の参加者を募集しています。大人も子どもも、裸足になって生きものがいっぱいの田んぼに入ると、ぬるぬるした土の感触や、生きもの観察を楽しむことができます。
また、各地の自治体と連携し、農山漁村での滞在型ボランティアを定期的に募集している「ボランティアホリデー」というポータルサイトもあります。ここでは、現地でホームステイ等をしながら、農作業や地元のイベント等をお手伝いし、地域の家族の方たちと交流する「ふるさとワークステイ」をはじめ、様々なボランティアを募集しています。一味違う週末の小旅行にいかがでしょう。
遠くに出かけて行かなくても、できることがあります。環境保全型の農業で頑張る農家の作物を選んで買うことです。「メダカのがっこう」でも、天然記念物のトキのエサ場となる田んぼを守るため、無農薬のお米を買い支える都会の仲間を募集しています。また、NPO法人棚田ネットワークでは、全国約70か所の棚田で行われている「棚田のオーナー制度」を紹介しています。オーナー制度は、千枚田とも呼ばれる美しい棚田の景観を残し、米づくりを支え、都市農村交流を進める大きな力になっています。お米だけでなく、日本での自給が非常に少なくなった、大豆のオーナー制度もあります。これらに申し込むと、季節のお便りが届いたり、田植えや種まき、収穫時などの農作業に参加して農家の方と交流できたりするなど、第2のふるさとをつくる楽しみもついてきます。
美しい棚田の風景
写真提供NPO法人棚田ネットワーク
また、銀座の屋上で日本在来のミツバチを飼っている「銀座ミツバチプロジェクト」のように、都会で農業や生態系、それらと人間の関係を考える試みもあります。屋上や市民農園・ベランダで、小さな畑を作ってみるのもおすすめです。都会で暮らすと、買ってきた野菜を消費するだけの日常ですが、土に触れ、作物を育てる体験は、食べものの源や農業について、思いをめぐらせるきっかけとなるでしょう。命を育てることで逆にパワーをもらうといった、思わぬ効果もあります。
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