オーストラリアは日本の約21倍、約770万km2の世界最大の「島」かつ、世界最小の「大陸」です。約6000万年前の大陸分裂で孤立したため、遥か太古の昔から息づく自然がほぼそのまま残っています。
ここでは人間と自然が共存するための様々な取り組みが行われています。そのひとつが住居。固有で稀少な動植物の棲息を脅かさずに家を建て、暮らすことが求められます。
オーストラリアには、6,500を超える国立公園と保護区があり、その貴重な自然を一目見ようと大勢の人々が訪れます。こんなふうに人が集まるとついて回るのが、トイレの問題。
高い上下水道普及率を誇る日本とは異なり、オーストラリアでは人口が集中するエリアを除いて、ほとんど生活インフラが整備されていません。でも、そんなところこそ、まさしく手付かずの大自然! 国立公園では、膨大な費用をかけて上下水道を引くわけにはいきませんし、工事等で自然を傷つけないようにしなくてはなりません。人間の居住区と接している保護対象エリアの場合は、開発や人間の持ち込む人工物等の影響による生態系のかく乱を最小限に抑える必要があります。
この問題を解決する対策のひとつが、“ピットトイレ”です。オーストラリアの自然保護区域では、どんな僻地でも、このピットトイレが設置されています。穴の上に便器がある便槽式で、見た目は日本の汲み取り式トイレそのもの。ですが、ほとんど臭いませんし、汲み取りもしません。
ピットトイレ【1】はコンポスト式トイレとも言われ、日本でも山小屋等で導入が進められているバイオトイレのひとつ。便槽は日本の汲み取り式トイレの倍以上の深さがあり、深い穴の約3分の1から半分弱くらいまで微生物を混ぜた木のチップが入れられています。この微生物が糞尿を分解するため、臭わないのです。便器の横には木のチップが用意されており、水の代わりに使用後に放り込むようになっています。
また、雨水タンクが併設され、人力ポンプで少量の水が流せるトイレもあります。
こうした公共のトイレには、比較的短期間で風化するトイレットペーパーが用意されています。
“自然にやさしい”トイレは、過疎地に建てられた家や保護区に接した住宅でも見ることができます。
実はオーストラリアは世界でもっとも乾燥した大陸です。数年前の大旱魃【2】では、日本の食卓をも脅かすことになりました。
常に水不足の懸念があるこの国では、雨水タンクもより重要な意味を持ちます。人がほとんど住んでいないような過疎地に水道設備はありませんから、雨水だけが頼り。まさしく天からの恵みの水です。
内陸部には家一軒分はありそうな、大きな雨水タンクを設置している家庭もあるほどです。
上下水道が整った都市部では、過疎地ほど切迫した状況にはありませんが、先の大旱魃の時にはシドニーでも節水制限が出され、州政府は海水を真水化する工場の建設【3】に踏み切りました。
クイーンズランド州のブリスベン近郊では、ダム貯水量が20%台前半まで落ち込み、下水を濾過して再利用する案が持ち上がったことも。
現在はそんな危機的状況からは脱しましたが、いつまたあのような旱魃がやって来ないとも限りません。
大旱魃を経験したニューサウスウェールズ州では現在、新築住宅全戸に雨水タンクの設置が義務付けられています。また、既存住宅の雨水タンク設置に対しても補助金制度を設けて推進。
その他にも、早い時期からソーラーシステムによる発電や温水器の設置に対する補助制度も設けられ、導入が進められています。
環境問題が深刻になっている今、住宅の近代化を推し進めるばかりではなく、自然を利用しながら、環境に負担をかけない家づくりにこそ、目を向ける必要がありそうです。
※次回は、自然と共存する家づくり、改築や改装に関する厳しい規制についてご紹介します。
日本も遅かれ早かれ、現地と同じ状況に立ち至ると思います
そう言う彼の国より食物を輸入する事はいかがなものでしょう
地球規模で「水戦争」が起こる前に我が国でも ダムに頼らづ個々人の「マイダム」を持つべきと思います かねてより思って居た事が裏付けされたと思います
食糧自給対策は 早急に立てるべきと考えます
(2010.09.22)
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