最近、よく耳にする言葉です。調べてみると「地産地消(ちさんちしょう)とは、地域生産地域消費(ちいきせいさん・ちいきしょうひ)の略語で、地域で生産された農水産物をその地域で消費することである。」 とあります。自分なりに解釈すると「獲ったその場で食え!」、まさに漁師の言葉です。
都会のスーパーの鮮魚コーナーに並んでいる魚の条件に
など、どれも売り手側に都合のいい条件ばかりで、残念ながら「 おいしい魚」という項目がないと思います。
私たち漁師が食べておいしいと思う魚の中にはアシが速い(鮮度落ちが早い)ものや漁獲が不安定なものが多く、そんな魚をスーパーで見かけることはまれです。野菜同様、全国どこへ行っても1?4の条件を満たす同じ種類の魚がもてはやされるわけです。最近では冷蔵、冷凍技術の進歩で遠くまで運ぶことが可能となりましたが、それでもいくつもの業者の手を通りながら消費者に届くまでにかかる時間は既存の流通システムではどうしようもありません。
フード・マイレージなど小難しいことは専門家に任せて、漁師の声は「うまか魚は浜で食え!」です。
たとえば「 ムツ」と言う魚、私の住んでいる野母崎では定置網で獲れたてを直販所に出すと「煮てよし、焼いてよし!」で人気の魚ですが、市場に送るとほとんど値が付きません。
それと「シイラ」。鮮度のいいときの刺身は「ヒラマサ」よりもウマイといわれてますがこれまた市場だと箱代、運賃でかえって赤字になったりします。ちなみにコイツの内臓を塩茹でして食べるとサイコーの酒の肴になり、食べ過ぎて通風になった人もいるくらいです。
「ハタンポ」って小さな魚もそうです。ここでは別名「 オセンコロシ」って呼ばれてます。昔、「お千」と言う名前の人がコイツを食べてあまりのおいしさに死んでしまったと言うウソのような(多分ウソ)言い伝えがあります。今でも私の叔父は好物で、網に入るとよく持って帰ります。コイツを食べるとかえって元気が出ているみたいです。
私の定置網だけでも、年間通して約200種類の魚が入ります。
まだまだ、紹介したい魚がありますが今回はこのへんで・・・
このように生産地の直販所にはまるで水族館のように色々な種類の魚が販売されて、そのどれもが個性的なおいしさを持っています。私達、漁師も都会の人(消費者全部)においしい魚を食べてもらいたいと思ってます。
気候もよくなってきたことだし、ホントの魚を食べに浜へ出かけてみてはいかがですか。
えっ、「車で出かけるとエコじゃないだろ!」って!? 逆に獲ってすぐ出す直販所は複雑になった魚の流通にエネルギーを使わないので、直接行ってもエコじゃないでしょうか。
自分は現在、何種類の魚を食べることができるかという趣味をライフワークにしています。現在、640種まできましたが、これからは全国(全世界)を回って地産地消の魚を食す予定です。
(2012.08.08)
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