みなさんは、「漁師」と聞いてどんなイメージを持っていますか?
天候の変化を独特の予兆で感じ取りいち早く察知する。そして、ねじりハチマキ、いつも演歌を聴いて朝から酒を飲んで、ケンカっ早い、どうです、こんなイメージ持っていた人、いるでしょう!
今回は、こんな誤解をとくべく、書いてみました。しかし、最後は「あぁ、やっぱり」と思うかもしれません。
冒頭でも書きましたが、漁師の特殊な天気予報。よく、お客さんに「漁師って、天気が事前にわかるんでしょう!」と、まるで占い師みたいに言われます。そんなことわかるわけないでしょう!
しかし、沖から小船がいっせいに帰ってきたあと、雨が降り、風が吹いてくることがあります。それに、テレビの予報より正確に天気を予測したり台風の進路を予想したりします。それは、海の上で釣りをしていると360度見渡せるので、雨雲が近づいてくるのが見えるからなんです。雨が降ると風が吹くのはいつものことなので、遠くに雨雲が見えると一目散に逃げ帰るのです。
漁師にとって天候の変化は命に関わること、昔から天気図を見ている人が多いので解読する能力に長けているのです。台風接近時は独自の解説で進路を予想します。それが、よく当たっちゃうからスゴイ!
最近のアイドルみたいな気象予報士より信頼できます。
魚はどこでも獲れるわけではありません。広い海のわずかなポイントで釣ったり獲ったりしています。そのポイントを見つけ、記憶することが漁獲につながります。
昔は「山当て【*1】」という方法でポイントを記憶していました。
今は便利なものがあります。魚群探知機とGPSです。小さな「年金船【*2】」でも付けています。70歳を越えた年寄りでも最新機器を使いこなせるというのがスゴイ!…でもビデオの録画予約はできないそうです。
そして、海底の地形。船の上からは海面しか見えませんが、長年漁をしていると、魚群探知機の画像(画像は断面の2D)、釣れた場所、魚種(海底の地形で釣れる魚種が違うんです)根掛かりの有無で海底を3Dで記憶しています。
さらに、そのポイントに船を固定する技術もあなどれません。自動車は駐車してパーキングブレーキかけるともう動きませんが、海の上は風、潮流、波などいろんな力が作用します。そこへアンカー(イカリ)一本で固定します。人工漁礁の調査【*3】などはまさにピンポイントなので、お役所の人はその技術にびっくりしています。どこにアンカーを打てばいいかを見極める能力がスゴイ!
今は亡き同級生のオヤジ、素潜り漁師でした。ある日、テレビの取材で「素潜り漁を撮りたい」と、水中カメラマンがやってきました。しかし、プロの水中カメラマンは当時72歳の彼を追いかけることができず。水深20メートルの海底で待ち伏せしてようやく、漁のようすをカメラに収めることができました。70歳過ぎてジャック・マイヨールもびっくりの素潜り能力、スゴイ!
最近では、機械化が進み昔みたいな肉体労働は少なくなりました。しかし、その昔を経験した年金組の体力は今も健在です。同じ仕事をさせたらハタチくらいの若者は到底かないません。先日のことですが、ある地区の祭りで年寄り同士ケンカになり、止めに入った40代2人(元ラガーマンと元学生相撲力士)が赤子みたいに飛ばされたそうです。
老いても昔のパワーは健在です。
あぁ、やっぱりこのオチじゃイメージは覆せない…。
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