トルコの世界遺産の中でも、恐らく最も有名で一度は行ってみたい旅先として人気の「カッパドキア」。ギョレメと呼ばれる中心地周辺には、にょきにょきと聳える巨大なキノコを思わせる不思議な奇岩があります。その奇岩は、中をくり抜いて造った住居になっているものもあり、ユニークな景観と共に、住居としても大変興味深いところです。
くり抜かれたトンネルは、地表の奇岩から地底へと続き、巨大な蟻の巣のようになっているところもあります。古いものは紀元前に造られたという岩や地下の空間は、天然のエアコンのおかげで夏は涼しく、冬は暖かいそうです。なぜこのような不思議な空間を造って住み始めたのかについては、諸説あり、まだ調査研究が続けられています。ただ、実際に中に入ってみるとわかるのは、洞窟住居は意外と快適そうだということ。そして、昔から受け継がれてきた様々な工夫があるということです。
巨大なキノコを思わせる奇岩の中をくり抜いて造られた住居は、3?4階建てのような感じに階が分かれていて、いくつもの部屋があります。現在は、こうした洞窟住居を利用したホテルやレストランもあり、観光客に人気です。
代々この地で暮らし、こうした洞窟住居に住んでいる一家に、家の中を見せてもらいました。岩肌のひんやりした感触を軽減するために敷かれたカーペットやクッションで温かみのある空間を創りだした、居心地のよさそうな部屋は、思わず「住んでみたい!」と思うほど、とても魅力的です。
ひと通り家の中を見せてもらった後、外に出て住居となっている奇岩を何気なく見上げた時、一番上の部分に小さな窓状のくり抜きがあるのをみつけました。屋根裏部屋なのかな?とも思いましたが、人間が住むにはなんだかとても小さそうです。疑問に思った私は、家主の方に、「あの小さな空間は何なのですか?」と聞いてみました。すると、思わぬ答えが返ってきたのです。
「あれは、鳩の家だよ」
奇岩の一番上に小さな空間は、鳩をすまわせるための空間なのだそうです。鳩が巣を作り、卵を産んで雛を育てていく過程で、小さな空間には鳩の糞がたくさん残されます。巣立った後、この糞を集めて、畑の肥料として使っているのだと、家主の方は教えてくれました。鳩の糞は、何の混じり気もない完全な有機肥料です。この方法は、この地方で昔から受け継がれてきたそうです。
今では、こうしたオーガニックでサスティナブル(持続可能)な生活に惹かれ、トルコ国内の都市部からカッパドキアへ移住し、洞窟住居に住み始める人もでてきているそうです。
鳩の糞害は、世界各地で問題になっていますが、排除するのではなく、共存する道を探り、その恩恵を活かしてきたカッパドキアの人々。こうした共存の仕方もあるのだなぁと感心しきりでした。
カッパドキアの洞窟住居地区では、その他にも、ソーラーパネルを取り入れるお宅も多くみられました。ソーラーパネルは、太陽光発電用のパネルと太陽熱温水器の2種類が使われています。下から見あげている分には見えない位置に設置されていますので、普通に観光しているだけでは気づきにくいかもしれませんが、丘の上など、高いところから見ると、いくつもの洞窟住居に設置されているのがわかります。これは、電線を縦横無尽に引いてしまうと、せっかくの景観が台無しになってしまうことや環境への配慮から、太陽の光や熱の利用をこの地区の人々が進んで選択しているからなのだそうです。
天然のエアコンを活かした快適な住居、人間と鳥との共存のあり方、景観や環境維持の工夫など、あまりにも有名な世界遺産「カッパドキア」の知られざるエコな暮らしは、まさに地域の資源を生かしたサスティナブルでDIYな暮らしのあり方を教えてくれているようでした。
いい
(2023.02.09)
まあまあ。もうちょっと頑張って。家の材料、土地の特徴工夫されている理由を書いたらgood!
(2022.01.28)
行きたくさせられました
(2022.01.25)
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