ちょっと身の回りを見渡してください。
毎日の生活の中で、コットンに触れない日はまずないのではありませんか?
まず寝ている自分を想像してみてください。
布団、シーツ、ピローケース、タオルケット、綿毛布、パジャマ、下着、タオルなど、
どうでしょう?
それからTシャツにジーンズ、ハンカチ…
本当に身の回りには綿だらけです。
その綿が実は農産物であることをすぐに想像できますか?
綿の原産地はどこかしら?なんていう疑問はほとんどの方は持ち合わせていません。“Made in どこどこ”はあくまでも最終製品にした国のことで、原料の生産国はある意味どうでも良いのです。
綿の種まきから始まり、最終製品が皆さんの手元に届くまでにはおよそ2年かかります。特に日本は綿製品のおよそ90%を輸入に頼っているので、Tシャツが農産物から始まることに気がつかないのが現状です。
それでもおよそ50年前までは、長野を最北に日本でも綿を栽培していました。でも海外の安い綿が輸入され始めると日本での栽培はなくなっていったのです。今でもその名残として三河もめん、久留米絣とかがありますよね。昔はそのあたりではちゃんと栽培されていた証拠ですね。
コットンの原料となる綿花に農薬が大量に使われているというのも、意外に知られていません。綿花の栽培は世界の耕作面積の約2%にすぎませんが、そこに使われる農薬(殺虫剤、化学肥料、除草剤など)は、全農薬使用量の約25%になります。
特に先進国では綿花の収穫時に枯葉剤が使われるのが一般的になっています。
なぜ枯葉剤を使うのかといいますと、収穫のときに葉が混ざると品質の悪い綿ということで価格が下がり、農家の収入減になるからです。機械で綿を摘むときに葉っぱがまだ青々として付いていると濡れ落ち葉になって綿と分離できなくなり,葉ゴミのいっぱいある原綿になってしまうのです。
また自然に葉が枯れるのを待っている間に雹(ひょう)などが降ると、綿花が落ちて収穫できないという大変な事態にもなりかねませんから、時期を見計らって枯葉剤を撒き収穫をするのです。
他方発展途上国では、農薬による農民の健康被害、子供たちを学校に行かせないで働かせる児童労働が大きな問題になっています。
さらに、染色加工の過程では重金属や化学薬品が大量に使われたり、労働者は劣悪な環境で働かされたりしています。
自然素材の綿ですから環境にも人にも優しいと思われているのですが、実態は大きく違っているのです。
さてここで、このコラムのタイトルの意味をご説明しましょう。
「エシカル」とは、“倫理的な”という意味です。
環境に対しても人に対しても優しい、被害を与えない、倫理的な判断をもって行動をすることです。
オーガニックコットンは、化学肥料の代わりに有機肥料を使うとか、殺虫剤の代わりに害虫の天敵、例えばてんとう虫などを放し駆除してもらうなどの環境に対する配慮をしています。また、農民の生活を脅かさないこと、工場などで働く人たちの健康や労働環境を守ることなどを基準の中にしっかりと盛り込んでいます。そのような工程を経てきたものに、認証団体がオーガニックコットンの認証を与えているのです。
ですから、オーガニックコットン商品は、エシカルの理念を実現するためのひとつの方法なのです。
消費者である皆さんに現状を知っていただき、買い物をするときの判断基準に加えていただくために、これからもオーガニックコットンについてお伝えしていきたいと思っています。
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