長野県上田市に信州大学の繊維学部があります。
日本で唯一の繊維学部で、絹の権威でもある、白井汪芳(ひろふさ)教授をはじめ、高分子繊維などナノテク分野の研究者も多くいるところです。
同大学では綿の在来種を25種類ほど守っていて、毎年その種を植え、新しい種を保存するということをしっかりとやってきました。
ところが、せっかく種を守ってきたものの、その綿を使って糸にし、生地にして、製品を作るまでにはいたっていませんでした。でもその工程に必要な設備は80%くらい整っています。
自分たちで植えた綿も、それを製品にする設備もあるのに使っていないなんて!
私の“もったいない”の精神がメラメラと吹き上がってきました。
我が社はオーガニックコットンの綿を海外から運んできて(輸入して)、糸、生地、そして最終製品までを作っていますから、繊維業の流れが全てわかるようになっています。これを信州大学の生徒たちに学んでもらったらよいのではないかと思いました。
そうしたら繊維の全てがわかり、さらに我が社でインターシップを受けて、社会に出て行けばそれからの吸収はもっと大きく、日本の繊維業界を背負ってたつ人材の育成に役立つはずだと思ったのです。
信州大学構内の綿花畑を拡張して、実際に綿花栽培からの製品づくりに取り組み始めたのが2009年の3月のことでした。
それと同時に、私は綿の栽培を今一度日本で広めたいと思っていました。
昔は長野を北限に、日本中で綿は栽培されていました。しかし、まだ奴隷制度の名残りがあった1880年代に、アメリカから黒人の安い賃金で栽培された綿が大量に日本に入ってきたため、綿の栽培は衰退してしまったのです。
現在、日本の綿栽培はほとんど皆無の状態ですから、自分たちの着ているTシャツが農産物からできているということすら知らない日本人ばかりです。
そこで、信州大学でのプロジェクトを消費者参加型にしました。消費者自ら綿の栽培にたずさわり、その綿で作ったTシャツを実際に着られるという、「長野Tシャツプロジェクト」をスタートさせたのです。すでに20名近い人たちの参加をいただいています。
もう10年ほど前ですが、兵庫県の西脇市で綿栽培のアイディアを出したのをきっかけに、コットンボール銀行なるものができ、全国的に綿花の種を供給する仕組みが作られました。
今はまだ趣味の範囲を超えてはいないのですが、栽培をしている方も少しずつ増えてきました。
和歌山県の岸和田市、千葉の鴨川、栃木の佐野市、香川県の讃岐…本当にまだまだではありますが、生産の場所や量が増えています。
このような試みが広がって、全国で個性豊かな綿作りが行われるようになれば…もっと多くの人たちが綿花の栽培や糸紡ぎ、手織りの布づくりを体験できるようになれば…、一枚のTシャツも大事に愛おしく着てもらえるのでは?と思います。
今、長野県でコットンを育てている人のことを調べています。とても参考になりました!ありがとうございます。
(2021.09.10)
調べていました。家庭菜園で日本綿を栽培してみたく東京都清瀬市は衣料品が少なくこの地区限定で不足しすぎています。社会事業大学内で栽培できないでしょうか。東京都清瀬市へきて衣料品が無すぎて編み物を思い出していたところでした 信州大学の方に社会事業大学にきて日本綿の栽培を教授していただきたいです
(2017.07.22)
私は長野市に住んでいます。私も綿の栽培に関心を持ち、近所の方に借りている畑でわずかですが植えました。ただ綿を収穫したあと糸にするのが大変で、綿のまま子供の布団にでも・・・・と考えていました。以前ニュースで信大繊維学部の話を聞き、是非参加したいと思いました。どこに連絡をしたらいいのか・・・と思っていたところこのページに出会いました。市民参加するにはどうしたらいいのでしょうか?
(2010.12.04)
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