外来種には、アライグマのような動物から植物の種などの小さなものまであり、小さな外来種は、運ぼうと思っていなくても気づかないうちに運んでしまうことがあります。何かに紛れ込んだり、付着したりして外来種が運ばれる(導入される)ことを「外来種の非意図的な導入」といいます。
ペットの輸入や産業などで活用される積極的な導入(意図的な導入)とは異なり、導入経路におけるモニタリングや水際対策が重要な「非意図的な導入」の事例を紹介します。
私たちは日常から色々な場所に移動し、物も盛んに運んでいます。靴の裏についた植物の種や、車や貨物に紛れ込んだ昆虫などの小動物(アリ、クモ、トカゲなど)を運んでしまわないよう注意が必要になります。
例えば、石川県、富山県、岐阜県、福井県にまたがる白山国立公園では、本来白山に生育していない低地性の植物であるオオバコの種子が登山者の靴の裏に付着して高山帯に導入され、分布が拡大しており、在来種のハクサンオオバコとの交雑が懸念されています。そこで白山では、登山道入り口はもちろん、麓のバス乗り場等にもマットを設置して靴底の付着物を取り除いてもらい、外来種が入らないよう対策を講じています。
世界遺産に登録されている小笠原諸島においても、その独自の生態系を守るため、本州と父島や父島と母島間の乗船時や下船時にマット等を設置して、付着した植物の種や、カタツムリを食べてしまう陸生のプラナリア等を落とすようにしています。
植物防疫法において土壌の輸入が禁止されていることから分かるように、土壌を移動させることで、その中に紛れているさまざまな生物も併せて移動させてしまうことになります。引越しの際に鉢植えを運ぶときなど、土壌と共に外来種を移動させる可能性が高い場合などは、特に注意が必要となります。
また、日本は多くの物を輸入しているため、輸入物資に外来種が紛れて海外から入ってくることもあるため、港などにおいて、それらの監視も行っています。輸入物資には、アリなどの昆虫類やトカゲやカエルなどの両生は虫類が混入していることがわかっています。
そのほかの非意図的な導入には、船舶の荷物を積み降ろしたあとに船体を安定させるための「おもし」として積載する海水(バラスト水)に含まれる生物が、本来の生息地でない環境中に放出されることで外来の貝や魚、海藻類などが繁殖・拡散することで導入されたりもします。
バラスト水の国際的な規制については、船舶バラスト水規制管理条約が間もなく発効する見込みとなっています。我が国としてこの条約に対応するため、バラスト水の規制に係る「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(海洋汚染防止法)」の改正法が平成26年通常国会において成立し、条約を締結しています。
※本稿は、「外来種被害防止行動計画」p.54をもとに改変しました。
わかりやすかった。
(2023.05.23)
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