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「世界中の「子育て家族」から最も愛される旅館へ」バックナンバー

0022022.03.08UPトラベルの語源は「トラブル?」。「子連れ家族」の旅先での苦労とは

さぁ、旅行に行こう!

 長引くコロナウイルス蔓延に伴い、大好きな旅行から足が遠のいてしまった、という読者の方も多いのではないのでしょうか?今回は、旅行大好き!という方にこそぜひご一読いただきたいレポになっています。

 「さぁ、旅行に行こう!」

 綺麗な景色を観る、美味しい食材に舌鼓を打つ、旅先での一期一会の出会い。
 「旅」という言葉を聞くだけで、少し心躍る方もいらっしゃいますよね。
 「旅」は人をワクワクした気持ちにさせる、魔法でもあります。

 しかしながら、少し時代を遡ってみると、旅は「良いことばかり」ではなかったようです。

 古代の「旅」とは、納税(当時はお米など)するための命を懸けた移動でした。また、江戸時代などの参勤交代は、大名にとっては非常に経済的負担が大きく、悩みの種であったといわれています。

 「旅」という意味を表す「トラベル(Travel)」の言葉の語源は、ラテン語で「労苦を伴う努め」という意味を表す「トラベイル(travail)」という言葉に求められます(諸説あり)。

 現在のような優れた交通網が発達しておらず、主たる移動手段が「徒歩」であった時代感を考えれば、それも当然に思えます。当時は宿泊施設などもなく、泊る場所は沿道の民家が主流だったとのこと。宿がなければ、野犬や物取りにおびえながら野営をしていたようです。

 昔の旅行は、必ずしも旅行が喜ばれたものではなかったですが、交通網や宿泊インフラ、観光地の開発により、旅行に出ることに対して抵抗を感じる人は減ってきました。

子連れ家族の旅行(トラベル)は、まだまだ「トラベイル(苦労)」のまま?

 そんな現代においても、旅行に対してとても苦労されているのが「子育て家族」です。

 小さな子どもを連れての遠出は、「移動中、おとなしくしていられるかな」「トイレは大丈夫?」「お部屋で泣かないかな…?」など、心配事がたくさんあります。

 弊社のインタビュー調査でも、特に、8才以下のお子様をお持ちのご家族は、旅行の際にとても多くの「困りごと」が多いことが明らかになっています。

旅館に到着するときには、肩がクタクタ…

 子育て家族は、旅行に行くための荷造りから四苦八苦です。「荷物は少なめに」とはわかっていても、いざ準備を始めると「念のために」とあれこれ持っていかないと、となります。

 「旅先で買えば良いものもある」とも思います。ですが、お店に立ち寄る手間や、子どもを待たせる時間を考えると、旅行カバンはどんどん大きくなっていきます。大きな荷物を持ったままでの移動は一苦労、ホテルに到着するときには、荷物を持っていた肩がクタクタ… なんてこともよくあります。

食べる時間よりも、遊び時間の方が長い?

 旅先での食事は、困りごとが多々ある場面です。食事グッツは持参するのか、否か。とりわけできるのか、否か。機嫌よくしてくれる、否か。もしもアレルギーが出たら、近くに病院はあるのか?などなど、考えないといけないことは尽きません。

 何よりも大変なのは、日々変化する子どもの食事趣向や食べる量を観察しながら「旅先で、なにをどう食べさせよう?」と考えることはとても心理的な負担になります。

 子どものことを考えていると、折角の食事に満足にできないケースもあります。あるお母さんは「子どもは、食事中、食事をする時間よりも、遊んでいる時間の方が長いんですよね」とインタビューの中で語っていました。子どもが落ち着いた後、自分の食事の際には、既にお食事は冷たくなってしまっていた…なんてこともよくあるそうです。

お風呂は、リラックスできない…(涙

 赤ちゃんをお風呂に連れて行っていいのか?が宿によって基準が異なるので、それを確認するのに一苦労。なかには、オムツが取れていないと大浴場はNGという旅館もあるので、いつも確認が欠かせません。

 加えて、デリケートなお肌の赤ちゃんは、刺激の強い泉質の温泉は避けないといけない場合もあります。抵抗力が弱く、自宅でもまだ沐浴をしている月齢の赤ちゃんは、ベビーバスを借りて、自分の入浴とは別に、客室でお風呂に入れないといけない場合も。

 やっとお風呂に入ったと思っても、長湯が出来ない子どもは、すぐにお湯から出てしまいます。硫黄の香りや、大きいお風呂に子どもが慣れず、温泉を嫌がることも。走り回る子どもが、濡れた風呂場で転んでしまって怪我をしてしまうことも日常茶飯事です… あぁ大変…。

コロナ禍での子育て家族の苦労

 加えて、長引くコロナウイルスの影響は、子育て中の家族にも大きな負担となっています。

 先日(令和4年2月3日)のニュースでは、全国777カ所の保育園がコロナウイルス蔓延に伴う休園となっています。また、蔓延防止のために公共施設や、地域の公園への立ち入りが禁止されてしまい、日中の行き場(遊び場)を失った子育て家族も沢山あり、家庭にかかる負担は計り知れないものとなっています。

 加えて、在宅勤務やテレワークの普及に伴い、自宅のなかで、仕事と子育てが同時に行われるケースも増えてきています。しかしながら、仕事に集中したくとも、子どもと一緒ではなかなか難しい、というケースも多いようです。特に、東京・大阪などの都市部のマンションでは、仕事部屋を確保できない場合も多く、生産性の低下も報告されています。

子どもも親も満足できる「日常と非日常の交差点」が求められている。

 ここまで、子育て世帯の旅先での苦労や、コロナ禍での悩みについて整理してきました。では、子育て家族が、Withコロナ時代に求める旅先/旅館とは、どのようなものなのでしょうか?

 少し、抽象的な視点にはなりますが、多くのの声を聴く中で感じることは、「子どもの日常と、大人の非日常が共存する場所」を、旅先に子育て家族は求めているような気がします。

 親として、子どもを「同じ時間に寝かせたい」「同じ食事を食べさせたい」という、「日常の延長で、子どもを旅先に連れていきたい」という気持ち。

 一方、自分自身が旅行者として、「特別な体験をしたい」という「非日常がある場所に、旅行に行きたい」という気持ち。この二つの気持ちは、常に旅程を考える際の、親のジレンマです。

 「子どもがいるからと言って、安っぽい場所には泊りたくないのよね…本当は…」

 インタビューの中で、あるご家族がボソッと仰った一言が、僕は耳から離れません。子どもに優しく、上質な体験ができる旅館、とはどんなものなのでしょうか?今後も探求は続きます。

 次回以降では、「子育て家族に優しく、上質な旅館」とはどのようなものか、もう少し深堀りして、考えていきたいと思います。

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