日本では各地で銃やわな・網を用いた野生鳥獣の捕獲が広く行われています。従事する者の多くが狩猟者であるため、それらは全て狩猟だと思われがちですが、厳密に言うとその目的によってその捕獲の定義は異なります。
近年、シカやイノシシなどによる農林業被害の増加を受け、有害捕獲がどんどん増えていっています。これまでは狩猟者がその技術を活かして、シーズン外にボランティア的に行う社会貢献というくらいの位置づけだったのが、最近では有害捕獲のほうがメインの活動となっているところが増えています。統計の数字を見ても、これまではずっと狩猟での捕獲数が有害捕獲の数字を上回っていたのが、2010年についにシカ・イノシシともに逆転しました。
これは銃猟者が減少傾向にあるのに対して、わな猟が増加傾向にあることも影響しています。金銭面でも手続き面でも取得へのハードルが低いわな猟免許は、農業者に対して自衛の手段として自治体や農協などで積極的に薦められています。もともと被害防止目的で狩猟免許を取る人が増えているというわけです。
「環境省がシカ・イノシシの生息数を10年で半減させる」「農水省が30万頭の緊急捕獲のための大型補正予算を計上」などというニュースを目にした方も多いと思います。今後も農林業や生態系への被害防止を目的とした有害捕獲の割合が増加していくのは間違いないでしょう。
全国の野生鳥獣による農業被害の総額は230億円(2012年)です。このような状況では「どんどん獲って、どんどん減らせ」となるのは一定やむを得ませんが、野生鳥獣政策は本来は「ワイルドライフ・マネジメント」と呼ばれる管理捕獲のような形での生息域・個体数管理が中心となるべきものです。
シカ・イノシシなどが激増している現状では想像がつかないかもしれませんが、かつてこれらの動物は乱獲や生息環境の悪化で激減していたことがあります。例えば、北海道では明治の頃、缶詰工場まで作ってエゾシカを乱獲した結果、絶滅寸前にまで減少しました(大雪の影響もあったとされています)。また、日本の各地に現在もシカやイノシシの生息していない森がありますが、その多くは江戸時代などに農業被害をなくすために根絶させられたという歴史があります。
こういった過去を繰り返さないためにも、しっかりとした調査を行ったうえでの個体数管理が将来的には必ず必要になってきます。ただ、これを実施するためにはかなりの費用と労力が必要になるのも事実です。
ここで重要になってくるのが一般狩猟です。狩猟者は自分の猟場では継続して猟を行いたいと考えるので、獲り過ぎることはありません。また、シカなどの一部の動物だけが増え過ぎて、森の生態系が乱れることも望みません。食べ物が足りなくて痩せたシカなど獲ってもその肉は美味しくもありません。
また、それぞれの縄張りもあるので、ある意味まんべんなく色々な山で捕獲が行われます。つまり、こういった狩猟者が増えることは結果としては自律的な個体数管理が各地で行われるということになります。
一般狩猟はよくただの「趣味」と片付けられがちですが、金儲け目的ではない生活の一部としての狩猟を行う者が各地の山際で暮らすことは、鳥獣被害の防止にも繋がり、現在の人間と野生動物の不幸な関係を改善するために非常に意義のあることだと言えます。
農林業食害を、有害:管理捕獲の理由としているが、野生動物増えることが、林農食害の原因であろうか?林業云々は冤罪り、真犯人は戦後昭和針葉樹人工林行政であること明白。農食害被害200億円たるは、生産者集出荷価格総計?入荷量減少して高騰?
駆除報奨金全額被害農家さんへ寄付すべきだろう。
(2019.06.03)
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