「原木のある森:コーヒーのはじまりの物語」
編集:アフリカ理解プロジェクト
アフリカ理解プロジェクトは、学校や社会教育の場でアフリカに対する理解促進をめざした非営利組織です。
コーヒーの原産地はアフリカ、エチオピアといわれています。エチオピアには今でもコーヒーの原木が残っており、人々はコーヒーを日常的に飲むほか、たっぷり時間をかけてお客様のおもてなしをする「コーヒーセレモニー」という習慣があります。
そんなコーヒー発祥の地、エチオピアに伝わるコーヒーのお話が1冊の絵本になりました。
「原木のある森:コーヒーのはじまりの物語」には、エチオピアの新進気鋭アーティストの絵でつづられたコーヒーのお話のほか、コーヒーセレモニーやエチオピア独特のコーヒーの飲み方などが紹介されており、エチオピア、アフリカに触れてみたい人にお勧めの1冊です。
コーヒーは主に、「コーヒー・ベルト」と呼ばれる北回帰線と南回帰線の間の赤道周辺で栽培されており、美味しいコーヒーの産地もここに集まっています。
そのうちの多くは発展途上国です。それらの国にとってコーヒーは外貨を稼ぐ大切な農産品になっています。もちろん、それを作る農家の人にとっても大切な収入源なのです。
そんな大切な農産品のコーヒーですが、農家の人たちは仲買人に買いたたかれたり、国際市場の暴落によって安く売らなければならない事態がおきたりしているのです。コーヒーの値段はロンドンとニューヨークにある国際取引所で決められています。もちろんコーヒーの出来・不出来にも影響されますが、それ以外の要因、例えば投資家の動きなどによっても値段が大きく上下してしまいます。ここで決まった国際価格にコーヒーの輸出入時の価格や、農家の収入が影響を受け、コーヒー農家の生活が維持できなくなってしまうこともあるのです。特に価格の安定のため設けられていた輸出割り当て制度が停止された1989年以降、1ポンド(約453g)当たり120から140セントに調整されていた価格が、歯止めなく上下するようになりました。2001/2002年には1ポンド当たり50セントを割り込んでしまい、コーヒー生産者が貧困にあえぐ「コーヒー危機」が発生しました。
その一方で、農家の人々が適正な収入を得られ自立できるように運動を始めた人たちがいます。
オランダ人神父であるフランツは、1980年からメキシコの農村に移り住み、コーヒーの小規模生産者である先住民族の生計向上のため働いてきました。そこでは、豆がキロ当たり25セントで仲買人に買い取られていましたが、仲買人を通さずに直接自分達で輸出港にある農協に運んだ場合95セントでした。自力で運ぼうとする農民達に対し、仲買人たちは、タイヤをパンクさせたり、農民が集まるパーティ会場を襲撃したり、様々ないやがらせをしてきたといいます。
1985年、そんなコーヒー生産者とフランツ神父に、オランダの青年ニコが出会ったのです。彼ら生産者が置かれている状況を知ったニコは「適正価格のコーヒーをスーパーマーケットで買えるようにする」ことを目標に、帰国して奮闘を開始します。
フランツとニコはその後、フェアトレードラベルの仕組みの基礎となる部分を作り上げていくことになるのですが、「フェアトレードの冒険」という本にはそんな彼らと彼らを取り巻く人々の冒険の日々が描かれています。
その年の新しいコーヒーがこの頃から出回るようになるため、国際コーヒー機関は10月1日をコーヒー年度の始まりの日と定めています。日本のコーヒー関係者が加盟する(社)全日本コーヒー協会では、秋空が続き、温かいコーヒーがさらに美味しく感じられるようになるその日を、「コーヒーの日」と定めました。
新豆が入荷する今の時期、そのコーヒーがどこでどのように作られたのか、そこの人々はどのような暮らしをしているのか、思いをはせながらコーヒーを選んでみるのはいかがでしょうか。
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