メインコンテンツ ここから

「リサイクル」バックナンバー

0062010.06.01UP最終処分場に行ってみたことはありますか?

マレーシアの最終処分場で

 平成22年2月に、マレーシアのボルネオ島北部サバ州にある最終処分場を見てきました。森林を伐採して作られた処分場には、分別されていないゴミがたくさん運び込まれていました。サバ州の人たちはゴミを分別する習慣がまだありません。街の中に大きな回収コンテナが置かれ、住民はそこにゴミを入れに来ます。満杯になったコンテナを専用トラックが回収します。
 現在の最終処分場はもう満杯になるので、隣の森を切り開き新しい処分場が造られていました。ごみを埋めるために森がなくなっていくのです。処分場から流れ出る水を浄化する汚水処理場もあり、処理水は近くの川に放流されていましたが、どの程度きれいになったかは確認できず環境への影響が心配です。

マレーシア・サバ州にある最終処分場
マレーシア・サバ州にある最終処分場

サバ州の最終処分場に隣接した汚水処分場
サバ州の最終処分場に隣接した汚水処分場

島ならではのゴミ処理の苦労

20年前の沖縄の離島の最終処分場
20年前の沖縄の離島の最終処分場

 マレーシアの最終処分場を見て、沖縄の15年から20年前のことを思い浮かべました。沖縄には49の有人島があり、それぞれの地域に一般廃棄物(いわゆる家庭ゴミと事業所のゴミ)の最終処分場があります。
 20年ほど前にいくつかの島を調査したところ、ゴミは分別されずに埋められていました。焼却施設がない島もあり、きれいな海岸線や林がゴミで埋もれていく姿に心を痛めました。調査後に一度、最西端の離島の処分場から島民とともに空き缶を拾い出し、リサイクルルートのある沖縄本島まで運んでみましたが、とてもお金がかかりました。また、多くの人に現状を知ってもらおうと、調査で撮った写真を大学や公民館などで展示し、ホームページでも公開しました。
 その後、平成9年4月に容器包装リサイクル法が施行され、離島を含む全国の市町村の容器包装リサイクルルートが確保されるようになり、以前よりは分別して処理されるようになりましたが、離島のゴミ処理は他の市町村よりもコストがかかることが課題です。

那覇市の経験

手前が海面最終処分場
手前が海面最終処分場

 県庁所在地の那覇市は、以前は市内に最終処分場を造る土地がなく、隣町の南風原町に土地を借りていました。
 分別は不十分で、台風の際に、処分場から汚水があふれて河川に流出するなどの問題もありました。焼却炉が老朽化し、全ての量の焼却ができず、可燃ゴミを直接、最終処分場に埋め立ててしまった時もありました。その影響でハエの大量発生がおこり、周辺住民から苦情も出ました。そのつど市の職員は改善の対応に追われ、当時は新聞やテレビなどでも頻繁に処分場の問題が取り上げられました。
 その後、市は平成7年からゴミ問題の解決のため、「燃やすゴミ」、「燃やさないゴミ」、「粗大ゴミ」、「有害・危険ゴミ」、「資源ゴミ」の5種類の分別を始め、紆余曲折を経てゴミの減量、資源化の意識が市民に浸透していきました。
 現在、市の最終処分場は市内の地先(海岸線に面したところ)にあります。つまり、海に最終処分場を造ったのです。もう、海にしか最終処分場を造る場所がないのです。

最終処分場の延命

 那覇市は最終処分場を長く使うために、新しく焼却炉を造りました。可燃ゴミを燃やすのはもちろん、粗大ゴミや不燃ゴミを破砕機にかけた後に選別機にかけ、金属を回収して残ったゴミを焼却炉で燃やします。燃やした後に残る残渣は溶融炉に入れ、さらに鉄や銅などを含むメタルとスラグを取り出し、最後に残った灰だけを処分場に埋め立てます。この方法でゴミは排出量全体の60分の1の体積になります。
 海面最終処分場は10年ほど使えると言われています。満杯になったらその土地は港になる予定です。さて、そうしたら今度はどこに最終処分場を造るのでしょう。

 私たちにできることは、ゴミを減らすこと。ゴミは家から出したら終わりではありません。様々な工程を経て処分されていくのです。そのために多くの税金が使われています。ゴミの行方を考えながらゴミを出すことが求められているのではないでしょうか?

このレポートは役に立ちましたか?→

役に立った

役に立った:11

このレポートへの感想

最終埋立地は一般人が出入りできますか?
(2018.07.29)

サバ州の廃棄物に関する法体系はどうなっているのでしょうか?
半島部とは異なると聞いたのですが、詳しい情報がなかなか見つかりません・・・
(2016.04.12)

ゴミの処理方法が今色々心配があるのですが、最終処分場までみにいってみます。
(2015.06.24)

感想コメントはこちらから

前のページへ戻る