鳥取環境大学の環境マネジメント学科では、1年生の授業として、毎週月曜日の午後、全教員が担当する「フィールドスタディー」を行なっている。
今回は、そのうちのひとつについて紹介させていただきたい(その実習をめぐって、今日、実にうれしい出来事があったのだ。その内容は後ほど)。
大学の近くには、私が研究フィールドにしている(つまり私が、いろいろななじみの動物達、植物達に会いに行く)場所が幾つかある。そのひとつは、袋川という川の河川敷である。私は研究の一環として、その河川敷に、現在、スナヤツメやアカハライモリ、メダカ、ゲンゴロウ類といった絶滅が危惧されている水生動物たちが生息できる水場をつくっているのである(正確に言うと、私は設計をし、それにそって建設会社の人が重機などを使ってつくっている、ということであるが)。
ところで、私はこれまでの調査をとおして、先にあげたような絶滅危惧種の多くが、樋門周辺の水場に生息している場合が多いことを見出してきた。樋門というのは、河川の水を田んぼなどに引き込んだり、余った水をまた河川に戻したりするときの、川の岸につくられた“門”である。
フィールドスタディーでは、3年前につくった水場で、アカハライモリを中心に、動物達の定着・繁殖の状態を学生諸君に調べてもらったり、現在つくりつつある水場を完成させたりするための最後の作業を行ってもらった。
アカハライモリは個体ごとに、一生ほとんど変わることのない“腹の模様”をもっており、それを元につくったイモリ戸籍帳を見ながら、学生達は、採集したイモリの
「人々は、自分達が住んでいる社会を守ってくれる自然を、なぜ、どのようにして破壊するのか」についてより深く知るためには、経済活動や日常の生活を行っている人々と直接ふれあい、話をしてみなければならない。それがフィールドワークである。そして、そのような状況を改善する可能性のあるさまざまな手法を学び、自らも考えてみる。それが講義室や研究室でのレクチャーワークである。
また「自然を構成する野生生物が、なぜ減少し、どうすればそれらを保全することができるか」について深く知るためには、実際に自然破壊が起こっている現場に行って、その状況を五感で感じ取り、測定し、失われた生息地を再生する作業を体験することが大切である。それがフィールドワークである。そして、それぞれの野生生物が生息できる環境条件や、再生地を作り出す手法を幅広く学ぶのが講義室や研究室でのレクチャーワークである。
われわれ環境マネジメント学科の教員は、学生諸君に、フィールドワークとレクチャーワークの両方を体験してもらい、環境問題の改善のための知識や実践力を自ら育てていってほしいと思っている。
さて、冒頭で少し述べた「実習をめぐって、今日、実にうれしい出来事があった…その内容」をお話しよう。
今から3時間ほど前(大学から帰宅する途中で)、フィールド演習で学生諸君に「現在つくりつつある水場を完成させるための最後の作業を行なってもらった」その水場に寄ってきた。暗闇の中、ライトで照らして岸辺に近い浅瀬を見たら、なんと、どこから来たのか、小さめのアカハライモリが3匹、ゆっくり、再生地の中を楽しむかのように歩いていたのである!
自然大好きです♪
環境大学を来春卒業しますが,大学の周辺には色んな生物が住んでいる事に気付かされ,環境大学に来て良かったなあと思えました♪
(2009.12.09)
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