これまでの記事では、太陽光補助金制度、グリーン電力証書、市民ファンドといった、自然エネルギーを実際の生活に取り入れていく方法についてご紹介してきました。
今回は、これら自然エネルギーの導入をより効果的に促進するために、新政権下において自治体がどのような役割を果たしうるのかをお話したいと思います。自治体の政策は、私たち市民にとって生活に直結する事柄ですので、自治体政策の動向の変化にも注目してみて下さい。
新政権となって5ヶ月が過ぎ、日本の気候変動(温暖化防止)政策とその先行きを巡って様々な議論が進行しています。なかでも自治体の気候変動政策関連部署にとって大きな影響がある政策は以下の4点でしょう。
昨年(2009年)、2020年までに温室効果ガス25%削減という中期目標が政府から発表され、検討会とタスクフォースが開かれました。タスクフォースでは、当研究所所長の飯田も委員として参加し、この先の日本のあり方を巡る激しい議論が行われました。
他方、神奈川県が地球温暖化対策計画の骨子案に同様の目標値を掲げるなど、これまでの数値を大幅に見直す自治体が増えていくことが予想されます。東京都や横浜市など一部の自治体でのみ設定されていた中期の大幅な温室効果ガス削減および自然エネルギーの目標値は、国の枠組みが変わることにより、全ての自治体が真剣に検討するべき課題となったと言えます。これを地域の気候変動(温暖化防止)対策を進めるチャンスととらえ、補助金の導入など自然エネルギー普及に向けた適切な動きができるか、その真価が問われていくでしょう。
自然エネルギーに由来する電気の全量買い取りが義務化されると、従来の自治体による補助の枠組みに大きく影響します。
現在多くの自治体で行われているのは太陽光発電、太陽熱温水器、ペレットストーブなどへの補助です。特に太陽光発電については国の補助が昨年から復活しており、さらに後押しを行うという意味で補助金の交付が大幅に増加しています。
他方、今後十分な全量買い取り制度が確立されれば、自治体での単純な補助の必然性は下がります。そうなると、なぜその自治体においてその自然エネルギーを促進するのか、各自治体の特性に応じたより効果的な政策が求められることになります。
排出量取引と温暖化対策税については、まだ議論が始まったばかりですが、早期導入を目指す意見が政府側から相次いで出されています。特に電力、鉄鋼、セメント、石油・石油化学などのエネルギー多消費型産業を持つ自治体にとって、これによる影響は大きくなります。動向を注視しつつ、対応を検討していく必要があるでしょう。
また、東京都では2010年より独自の排出量取引制度がはじまります。これに関して、国との役割分担や、他自治体との連携も議論されています。
さて、これらの気候変動(温暖化防止)対策が国レベルで進められ、さらに地方分権が進められることを想定すると、自治体が行う全ての施策や事業に環境の視点が組み込まれるような統合的かつ実効的な仕組みを整えていくことがますます重要となるでしょう。
当研究所では、東京都をはじめ自治体とも協力し、自然エネルギー導入の目標値や新たな政策のニュースなど、自治体同士の政策の比較や、連携に役立つような情報をまとめ、公開しています。
詳しくは、下記関連リンクをご参照ください。
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