今回は、スマート・ハウスに対応した各種家電製品の進化がライフスタイルにどんな変化を及ぼすかについて触れてみます。
家電量販店に足を運ぶと液晶テレビをはじめエアコンや冷蔵庫などありとあらゆる電化製品や家庭用品が並んでいます。テレビは薄型・大型化が進み消費電力もブラウン管時代に比べると同型で2分の1?3分の1に大幅に減っていますし、冷蔵庫は冷蔵冷凍庫2室式から生鮮食品用や製氷室などを備えた多室式に進化してきて、どの製品も数年間のサイクルで目覚ましく機能が向上してきています。しかし、機能が目覚ましく向上しただけでなく、多くの製品は電力消費量や稼働状況の無駄を最大限少なくできるようにたくさんのセンサが使われて、使用中の状態を常に見ることができる、いわゆる「見える化」が進んできました。
【図1】人感センサによる空調の最適化(ダイキン工業株式会社)
例えば、エアコンの場合(図1)では、稼働中に人がいるかどうかだけでなく、どこにいるかまでセンサで確認しながら、その人にとって最適な温度・湿度になるように調整することができます。
冷蔵庫の場合(図2)、庫内の温度だけでなく庫外の温度も測定し、さらにドアの開閉回数や時間などを確認したり氷のでき方や冷却器への霜のつき具合を調べたりして、保存されている食料品に最適でかつ消費電力を最大限少なくして冷やせるようになってきました。
掃除機も吸引力が向上する方向への進化だけでなく、自分で勝手に部屋中を掃除してくれるロボットへと進化したものもでてきました。テーブルの脚や壁際のごみやホコリをみつけて部屋中をくまなく掃除し、電池の電気が無くなってきたら自分自身でコンセントまで移動して充電します。(図3)
テレビについてはデジタル放送に転換して直接インターネットとつながって、テレビ番組に関する情報だけでなく地域周辺のお天気や交通情報などを入手することも当たり前になっています。
【図2】センサによる冷蔵庫の機能アップ(東芝ホームアプライアンス(株))
【図3】お掃除ロボット(iRobot社ルンバ)
【図4】スマート・ハウスの概略(トヨタホームのスマートハウス)
また、スマートフォンのシェアが伸びるに合わせて、携帯端末を使って外出先からあるいは帰宅前に家庭内の様々な機器をコントロールすることが構想段階から現実的な実用段階になってきました。寒さの厳しい時期になってきましたが、例えば帰宅したときに室内がちょうど適温になるよう外からエアコンをコントロールしたり、帰宅後すぐに身体を温められるようお風呂を入れておくこともできます。
帰り道、スマートフォンで前述のように管理されている冷蔵庫内のストック食材を確認し、夕飯メニューのレシピを検索して、足りない食材をスーパーに寄って買い足すこともできます。その他、テレビ番組を検索してお好みの番組を録画予約したり、洗濯機を動かしたり、消し忘れの照明を消したり、便座の予熱をしたりすることなども当たり前になります。
【図5】安心・安全のための家電(象印マホービン株式会社のi-Pot)
さらに、少子高齢化社会に対応した展開の一つとして、セキュリティの向上につながるスマート化のサービスも具体的に提供されるようになっています。図5はその一例です。これは一人暮らしのお年寄りが、毎日、お湯を使うために電気ポットを使うと、その使用状況がポット内の情報機能によってインターネットを介して離れて暮らしている家族にも1日2回指定時刻に通知される仕組みです。おばあちゃんがお茶を飲む頻度や間隔によって遠くに居る子ども夫婦は「今日も、おばあちゃんは元気にしてるな!」とうかがい知ることができます。逆に、一度もポットが使われない日があれば、電話なり直接訪問するなりして無事を確認する気づきになります。
このように、家電のデジタル化が進み、社会全体のITインフラと家庭内のネットワーク化が進むことによって、家全体の知能化が加速度的に進展することになります。そして、その先にはスマートな家同士がつながってスマートな地域社会(スマート・コミュニティ)をつくりあげることになり、さらにスマートな都市(スマート・シティ)へと発展していくことが期待されています。
次回はその展開の方向性について説明し、最終回にしたいと思います。
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