【図1】屋根に設置された太陽光パネル
出典:Wikipedia - 太陽光発電
前回の記事で、HEMS(ヘムス)が家中のエネルギーにかかわる情報を検知・収集・分析・コントロールできる、いわば「家の基幹神経系」に喩えられることをご紹介しました。
では、HEMSの対象となるエネルギーの方はどこから得られるのでしょうか? いままでは電力会社やガス会社、燃料販売会社から電気やガス、燃料を買って家庭内のエネルギーを賄うのがごく当たり前でした。
しかし、東日本大震災後のエネルギーに関する危機管理の高まりや、それ以前からの温暖化対応や国際的なエネルギー安全保障の観点から等、自然エネルギー導入を含めたエネルギーの自給に対する社会的関心が急速に強まってきました。特に2012年7月1日から「再生可能エネルギーの固定価格全量買取制度【1】」の施行などもあって、太陽光発電(図1)など具体的な設備の導入・設置が急加速しています。
このような状況もあって、スマートハウスにはエネルギーを自分で創り出す(創エネ)仕組みを設置するのが普通になってきました。
【図2】家庭用燃料電池の仕組み(東京ガス提供)
出典:東京ガスのホームページより
スマートハウスに設置される創エネ設備には、具体的にどんなものがあるでしょうか?
太陽光発電設備(図1)以外にも、太陽熱利用温水器や家庭用燃料電池、自然冷媒ヒートポンプ【2】給湯機などがあります。
太陽熱利用温水器は、文字通り太陽熱で直接水を温める設備です。太陽光発電と同じように家庭の屋根に設置して効率的に太陽熱を吸収する仕組みになっており、太陽光発電と組み合わせて設置される場合も増えています。
「家庭用燃料電池」は「エネファーム」(図2)の愛称で開発されました。これは主に都市ガスや天然ガスを利用して水素と酸素を取り出し、これらが化学反応して水になる際に得られる電気と熱を利用しようとする仕組みです。ごく簡単にいえば、中学校の理科実験で習った「水の分解」の逆の原理を応用したものです。
「自然冷媒ヒートポンプ給湯機」は自分でエネルギーを創るものではありませんが、電力の利用効率を最大限高め、かつ安い料金で利用できる設備として普及してきました。震災以前の「オール電化」の流れに伴って「エコキュート」(図3)の名称で商品化され、簡単にいえばエアコンの暖房機能を使って水を温めて供給する仕組みで、夜間の安い電力を利用して給湯や暖房に利用する設備です。
【図4】スマートハウスに組み込まれるクルマ(トヨタホーム提供)
出典:トヨタホームのスマートハウス
もう一つ、エネルギーに関わる重要な仕組みがあります。太陽光発電や風力発電などでできた電気を溜める仕組みです。発電した電気をすぐに使い切ることができれば問題在りませんが、余った場合、そのままでは消えてなくなるしかありません。そこで余った電気を溜める仕組みとして関心が高まっているのが蓄電システム。簡単にいえば「大きな蓄電池」です。
現在では、家庭用の蓄電池システムも既に商品化され始めていますが、自動社メーカーはハイブリッド車や電気自動車の蓄電池をスマートハウスの創エネシステムと組み合わせて、自然エネルギーを有効活用する仕組みを提案しています。(図4)
このように、スマートハウスに太陽光発電システムや燃料電池、ヒートポンプを使った装置などが標準装備されるようになり、神経系であるHEMSの制御機能が高度化されてくると、家庭内のエネルギー自給自足はもう目の前です。そして、エネルギーの自給自足が当たり前になれば、スマートハウスが「CO2排出:ゼロの家」になることもそう遠くない未来のことかもしれません。
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