東北日本大震災後、持続可能で安心・安定なエネルギー(特に電力)利用について関心がとても強くなっています。そのキーワードは、ずばり「スマート」!! ここ数年、スマートを冠した新語がたくさん出てきました。スマート・シティ、スマート・カー、スマート・フォン、etc. 英和辞書を引くと「鋭い、スリムでしなやか、抜け目ない、当世流行の」といった意味が出てきます。会話でもよく「おまえ、なかなか鋭いなぁ?!」なんて言い方をします。総じて「賢い」という意味のようで、「スタイルが良い」とはちょっと違うようです。つまり、「スマート・X」とは、従来の製品やシステム「X」に新たな「賢さ」を付け加えたものとなります。
スマート・ハウスの概観(出典:トヨタホームのスマートハウス)
今回からお話しする「スマート・ハウス」(図)は、社会の基本的な単位である「家」が新たな「賢さ」を備えるようになったものです。以前はインテリジェント・ハウスやITハウスなどと呼ばれて米国を中心に1980年代から研究開発が進んでいました。国内でも1990年頃から少しずつ開発が進められ、2000年代中頃からは住宅メーカーだけでなく電機電子業界や自動車業界なども参入して開発が急加速してきました。実証のためのモデルハウスも既にいくつか公開され、市場規模も徐々に大きくなっています。具体事例については、関連リンク欄をご参照ください。
では、スマート・ハウスはどんな「賢さ」を備えた家なのでしょう? 「賢さ」を大きく分けると能動的技術(アクティブデザイン)と受動的技術(パッシブデザイン)の二つが考えられます。
能動的技術の中で最大の要素は最先端のICT(情報通信技術)と多くのセンサ技術です。屋内の空調や照明を最適に制御するだけでなく、太陽光発電や燃料電池などと組み合わせエネルギー自給も含めた省エネを実現できます。究極的には電気エネルギーを自給自足し「CO2排出ゼロの家」が期待されています。
受動的技術については、屋内に木材や土壁を利用して湿度の自然調整機能をもたせるといった伝統的な日本家屋の「知恵」を活用する一方で、窓のエコガラスや外壁の高断熱材のように先端技術を利用して保温効果を高めるなどの工夫が取り入れられています。
次回からスマートハウスの魅力を具体的に紐解いていきながら紹介したいと思います。まずは、スマート・ハウスの頭脳と神経系ともいえるICTとセンサの適用についてです。
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