2010年5月、ヨーロッパ各国を周りました。以前行ったときに思った「なぜオランダの風車には、日本と同じような木組みの技術が使われているんだろう」という疑問は、今回解決しました。日本の伝統建築の技には二つの系譜があります。ひとつが宮大工、もうひとつが船大工です。この船大工がバイキングの世界にもいたのです。彼らの技が北海沿いの各国に伝わり、オランダの風車を作る技術につながったのだと思います。なんと堅木の「込み栓」なども使われています。日本だけに発達した技術ではなかったのですね。私たちが組んでいる栗駒木材の大工さんたちも、船大工の系譜なのです。バイキングではないですが。
ヨーロッパの人たちは、とてもゆとりある暮らしをしています。日本のほうが所得が高いはずなのに、なぜこんなに追いまくられた暮らしをしているのか不思議でした。しかしだんだんその理由がわかってきました。一番大きいのは住宅貧乏です。北欧など各国で見た住宅は、築数百年経つものが当たり前にあります。工事中の建物を覗いたら、壊しているのか建てているのかわかりませんでした。なんと外側の壁だけをそのままに、内側だけを建て替えていたのです。ものすごく手間がかかるのに、わざわざそうしています。数百年前からある住宅ですから、そのまま住むなら借金しないで生活できます。家は長持ちしますし、そもそも長く使う社会的資産でもあります。中古になったとしても、買い手がつきます。ローンを組んだとしても手入れしていれば住宅の価値は上がるので、家を買うのがリスクにはならないのです。
一方の日本では、少し前まで住宅はたった26年(平均)で建て替えられていました。今は30年ですが、短いことに変わりはありません。男性がローンを組むときの平均年齢が34歳ですから、日本の平均的な男性はこういう暮らしになります。
学校を卒業して家の頭金を貯金し、34歳で家を建ててローンを組む。しかし60歳きっかりで定年と同時に家が壊れ、退職金で建て直しをして次の建て替えの頃には人生が終わる…。家を一軒建てて壊して建てたら人生終了です。
住宅貧乏は資源を浪費するだけで、なにもいいことがありません。
もし強くて長持ちする家を建てることが当たり前になれば、この「住宅貧乏」を断ち切れるかもしれません。ごみ問題やリサイクルが叫ばれる時代ですが、人生最大のごみは住宅なのです。どんなに努力しても、長持ちしない住宅を建ててしまったらおしまいです。木は育つのに50年、丸い材から四角い角材を取り出すのに使える歩留まりが50%程度ですから、最低でも100年使わなければ、森が回復する時間がありません。木にはもともと第二の生があります。第一の生は地に根を生やして。第二の生は、1300年建ち続ける法隆寺のように、木材として再び生きるのです。
先日、伝統的な木組みの技術を見せてもらいました。すごいですね、木の面同士がぴっちり合わさって、まるで一本の木のようになるのです。しかも痛みやすい部分は、わざわざ後で取り換えられるように、別な木材を組み込んでいます。
天然住宅では、認証を作ろうとしています。「天然住宅認証」を出して、将来住み替える必要が出たときには買い取ろうと考えているのです。300年持たせる構造を目指していますから、仮に50年経って買い替えるとしてもまだ十分に使えるはずです。もしそうした仕組みが実現すれば、高く売りたい人はきっとオークションに出して稼ごうとするでしょう。それによって中古住宅の市場ができていけば、他の先進国のように家は売るときに儲かるものになっていきます。そのために、丈夫な構造の家づくりはもちろんですが、天然住宅認証を実現したいと思うのです。
素晴らしい!!!大賛成です。
天然住宅の普及が進むと良いですね。
私も、日本の森林を守るためと、快適な住まいを求めて木造住宅を建て増した。が、100年住宅です。300年住宅が、建てられないのが残念です。
天然住宅構想が、形になるのを楽しみにしています。
(2011.04.06)
天然住宅大賛成です。我が家も天然材料を使ってリフォームをと考えております。
どういう業者がよいのかも、特集してください
(2011.04.06)
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