堆肥は通常、一般家庭・レストランや工場等から排出される食品廃棄物と家畜のふん尿をプラントで混合させて、発酵過程を経て、畑に散布できる状態になります。
ただ、一口に堆肥といっても実は原料によって見た目もニオイも異なります。一般的なレストランや食品加工工場等から出る食品廃棄物は実に様々で、通常の堆肥の固定観念を変えるようなものもあります。
例えば、ホテルのレストランや学校給食センターから排出される飲食物の食べカスは、調理された様々な物が混ざった状態で運ばれてきます。できあがりも、一般的なイメージ通りの堆肥になります。
しかし、飲料物の製造工場等から排出される果実の搾りカスとアルコール飲料を製造している工場から排出されるビール酵母の廃棄物に牛ふんを混ぜて発酵させると、黒っぽい色になり、まるで果実酒のような少し甘いニオイになります。原料を考えれば当然だと言われればそれまでですが(笑)。
このように単一の廃棄物から堆肥を作る場合は、性質が少し異なる堆肥になります。いろいろな原料で試してみると面白いかもしれません。
近年、発酵堆肥の新しい活用方法が注目されてきています。
一つの例としては、水分が多い食品廃棄物をメタン発酵施設のプラントで発酵させた際に得られるバイオガスを発電に活用したり、発電時の燃焼から発生する余熱で温水を作り出して発酵槽の加温に利用したりして、極力既存の化石燃料や原子力の電力に頼らずに発電を行なう仕組みを構築する取り組みがあります。
メタン発酵槽から副産物として排出される栄養素を多く含む水分は、液肥としても活用されています。つまり、食品廃棄物から多種多様な方向に役立つ有用物を生み出す技術なのです。
生ごみは人間にとっては捨ててしまう物ですが、元々食べ物です。人間が食べずとも、他の生物が食べてくれます。その生命活動は、巡りめぐって我々の生活に役立つ物として還ってきます。
しかしながら、私は、実は生ごみの出ない世の中が理想だと考えています。一度使った物や不要に見える物でも、まだ活用できる方法を知恵と工夫で編み出して、ごみのない循環型社会を実現するのが、未来へ続く世界を作る秘訣なのではないでしょうか。
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