前回までの記事では、各家庭などから排出された食品廃棄物が牛ふんと出会い、発酵過程を終えて、完熟堆肥に生まれ変わる様子をお伝えしました。本記事では、できあがった堆肥が実際にどのように使用されるのかを現場からレポートしようと思います。
弊社で製造している堆肥は大量なので、主に散布車を使用して提携している農家の広大な畑に撒いていきます。
散布車は、荷台の前方に積み込んだ堆肥をコンベアで後方に向かって流していきながら、スクリューのような回転式の刃でさらに細かく砕き、荷台の後ろにある排出口から、散らすようにして畑に撒いていきます。
基本的には10km/h程の低速で走行しながら散布していくのですが、荷台への積み方によっては出が悪い場合がありますので、そういった場合は、2m間隔くらいで移動・停止しながら10秒ほど散布します。2?5cmくらいの厚さに散布していくのがベストです。
堆肥を厚くしすぎてしまうと、四輪駆動の散布車でもタイヤがはまって動けなくなってしまったり、トラクターで耕耘する際にロータリーに負荷がかかりすぎて刃が折れて事故につながったりしますので、散布には結構気を使います。
畑全体に散布し終わったら、今度はトラクターで土と混ぜていきます。
前述のように堆肥の散布は、気を付けないと厚く撒きすぎてしまいます。考え事をしていたり、停車して仕事の電話に対応していたりして、うっかり止め忘れるとすぐに30cmほどの山になってしまいます。こうなっては、手作業では大変ですので、重機(一般的にユンボと言われるパワーショベル)を使って、天地返しを行います。
天地返しとは、農業用語で畑の表層部分と深層部分を入れ替えることです。この天地返しを行うことによって、畑の表面が土に変わるので、車両も走れ、トラクターも安全に使用できるようになります。
堆肥を散布して土と混ぜたら、一ヶ月ほど期間を置くことで肥料の成分を土壌になじませます。この過程を経てから作物を植え付けて行くことになります。
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