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「知って感じる映画」バックナンバー

0022010.04.27UP虫の目線で世界を見てみると

目線を変えることで見えてくるもの

 大人は子どもと話すときによく、子どもに気持ちを添わせるという意味も込めて、しゃがみ込んで目線を合わせるますね。そんな時、周りをちょっと見回してみてください。いつもの景色が違って見えるかもしれません。背が低い私は、背がもっと高かったら見える世界はずいぶん違っただろうなと、ことあるごとに思います。
 目線を変えるだけではなく、身体のサイズを変えてみると、さらに世界は大きく変わって見えます。
 例えば虫目線。てんとう虫から見れば、朝露にぬれた草の葉先にぶら下がる水滴は、身体いっぱいで抱えるほどの水のかたまりになります。子どもが軽く飛び越せるような小川は大河の流れ、葉っぱは船になるわけです。
 こうして目線を変えてみることで、私たちは新しい世界をかいま見ることができるかもしれません。

驚異のミクロ世界を映したドキュメンタリー

DVD『ミクロコスモス』¥2,500(税込)
DVD『ミクロコスモス』¥2,500(税込)[Amazon]
発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

DVD『WATARIDORI コレクターズ・エディション』¥3,990(税込)
DVD『WATARIDORI コレクターズ・エディション』¥3,990(税込)[Amazon]
発売元:角川映画、販売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

 映画『ミクロコスモス(1996)』は、虫目線で昆虫たちの生態や彼らを取りまく植物、鳥を映した異色のドキュメンタリーです。人間の目には移らない“ミクロな”生きものの姿が超クローズアップで映像化され、そこに美しい音楽が重なって壮大な生命の物語を作り上げています。DVDのパッケージにも使われている月光に映えるカマキリなど、ふだんはどちらかというと敬遠してしまう虫たちの姿が“意外”にも幻想的に描かれている映像は必見。私たちの生きているこの地球という世界が、まったく違って見えてきますよ。
 監督・脚本を担当しているクロード・ニュリザニーとマリー・プレンヌーの2人は生物学者でもあり、芸術性だけでなくリアルさも追求しているので、ドキュメンタリーとしての説得力もじゅうぶんあります。
 同じ監督の作品『WATARIDORI(2001)』は、鳥目線のドキュメンタリー。無人ヘリを操りながら驚異の空撮を試みている映画で、こちらも迫力満点です。

実写とアニメーションで身長2mmの世界へ

『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』より
『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』より(以下、同じ)
(C)2009 EUROPACORP-TF1 FILMS PRODUCTION-APIPOULAI PROD-AVALANCHE PRODUCTIONS Images et Effets 3D-BUF

 ドキュメンタリーではちょっとリアル過ぎて…という方にオススメなのは、ゴールデン・ウイークに公開される『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』。身長2mmのミニモイ族の世界と人間界を行き来する少年・アーサーの目線で、ミクロの世界を冒険するファンタジー・アニメーションです。実写とCGアニメを組み合わせた映像で、人間界とミニモイ界を描き分けているので、ミニモイの世界に行くと、アーサー自身もアニメーションの姿に変身してしまうのがおもしろいのです。てんとう虫の背中に乗って空を飛び、花のつぼみの中に身をかくす…ミニモイに変身したアーサーになったつもりで映像を追っていると、いつの間にか自分も虫目線になってくるかも。
 虫目線はもちろんなのですが、この映画のエコレポ的注目ポイントはほかにもあります。アニメの中で描かれているネオン街が、人間が出した空き缶などのゴミのリサイクル品でできていることもそのひとつ。でも、声高にエコだとか環境だとはひと言も使っていないところがかっこいいのです。

Photos : Daniel Smith
Photos : Daniel Smith
(C) 2009 EUROPACORP - TF1 FILMS PRODUCTION - APIPOULAI PROD- AVALANCHE PRODUCTIONS

『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』より
(C)2009 EUROPACORP-TF1 FILMS PRODUCTION-APIPOULAI PROD-AVALANCHE PRODUCTIONS Images et Effets 3D-BUF


『アーサーと魔王マルタザールの逆襲』より
(C)2009 EUROPACORP-TF1 FILMS PRODUCTION-APIPOULAI PROD-AVALANCHE PRODUCTIONS Images et Effets 3D-BUF

 「この映画のメッセージの本質はとても細く、見えにくくなっていて、メッセージはいろいろなところにある。」
 「子どもたちはたくさんのメッセージを受け取るよ。自然や環境保護についてのメッセージが含まれているからね。」

 と語るのは、この映画の監督であるリュック・ベッソン氏。言わずと知れた『レオン(1994)』や『ニキータ(1990)』『フィフス・エレメント(1997)』などの話題作を撮った監督です。アニメーションやファンタジーとは無縁の方かと思っていたので、監督がこの映画にかけた思いが気になります。

 ちなみにこの映画はシリーズ3部作の第2章。日本で2007年に公開された『アーサーとミニモイの不思議な国(2006)』の続編なので、DVDで1作目を見てから映画館に行くのもオススメです。

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