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「エコアナウンサーの視点から」バックナンバー

0042025.12.23UPサステナビリティってなに?

 みなさん、最近「サステナビリティ」という言葉、よく聞きませんか?

 「サステナビリティ経営」「サステナビリティ・トランスフォーメーション (SX)」「サステナビリティレポート」とか、「地域のサステナビリティを考える」とかさまざまな言葉を見聞きします。

 でも改めて、「サステナビリティ」ってなんですか、と聞かれたら何と答えますか?なんとなく分かるようで分からない。ならば、ちょっと立ち止まって深めてみませんか!

サステナビリティって?

 Sustainabilityは英語。日本語訳すると持続可能性。いまやカタカナの「サステナビリティ」として定着していますね。まず、はじめにサステナビリティということばを見つめてみましょう。sustain(持続する)+ability(可能性)からなるsustainability。

 歴史上でサステナビリティという言葉が世界的に広く知られるようになったのは、1987年の国連報告『Our Common Future(ブルントラント報告書)』の中で「持続可能な開発(Sustainable Development)」という概念が発表されたからです。

ブルントラント報告書とは

 当時、ノルウェーの首相であったグロ・ハーレム・ブルントラント(Gro Harlem Brundtland)さんが委員長をつとめていた国連「環境と開発に関する世界委員会(WCED)」が通称ブルントラント委員会と言われていて、世界中での議論の後、その委員会が3年かけてまとめた報告書がブルントラントさんの名前を冠して「ブルントラント報告書」と呼ばれています。

ブルントラント報告書の「持続可能な開発」とは

 ここで言われている「持続可能な開発」は、「未来の世代がその欲求を満たす能力を損なうことなく、現在の世代の欲求を満たす」ということです。つまり「未来のみんなの分も、ちゃんと残しておくこと」であり「私たちがいま、地球のものを使いすぎたり、汚しすぎたりしないようにして、次の世代が大人になったときも、困らずに元気で暮らせるようにすること」と言えると思います。

 ブルントラント報告書は現代の環境政策の礎となったと言われています。この報告書にはどんなことが書かれているのか、もう少し見てみましょう。良ければ、声に出してゆっくり読んでみましょう。

「温暖化、資源やエネルギーの過剰消費、持続可能な開発の道程に移行、人口問題、地球環境への圧力を制御し得る方向に世界経済を再編成する、女性の自立、食料、化石燃料の使用に伴う環境汚染の防止、再生可能エネルギーの使用、リモートセンシングの促進、全地球的モニタリングやリスク評価の推進、NGO、学会、産業界等の参加の促進、環境保全と持続可能な開発に関する世界宣言と条約、戦争は環境に対する最大の脅威、軍縮の促進と軍事費の環境保全対策の振り向け等に努めるべき…」

といったことが書かれています。どうでしょう。あらためてゆっくり読み直すと、現代の社会課題、SDGs(持続可能な開発目標)にまとめられているようなことが、書かれていますね。この報告書から40年近く経っていますが、現在でも、これらが最優先の課題であることに愕然とします。

 ブルントラントさんが言っているように環境とは、私たちすべてが住んでいるところであり、開発とは、私たちすべてがその住んでいる地域の中でそれぞれの生活を向上させるために行うこと。環境と開発は切り離すことができないのです。環境と開発や暮らしの発展にかかわる経済は切っても切れない関係であり、それを強みに、相乗効果を発揮してよいシステムを作っていくことが求められ続けています。

 今回のエコレポのイメージをわかりやすくイラストでお伝えしたいと思い、AIさんに、エコレポ全文を記入し、明るいイメージでイラストを作ってくださいと依頼してできたのがこちらのイラスト。皆さんの考えるサステナビリティな社会のイメージと重なるところはありますか?

1_AIイラスト

環境と経済のつながり

 近代1770年ころから1950年ころまで経済学では、「自然は無償であり、経済の外側」にあるものとされていました。産業革命以降は、経済学者のケネス・E・ボールディングさんが指摘したように、無限にある資源を制限が無いように消費するような「カウボーイ経済」が世界に広がりました。【注1】

 ここで、ぜひ!お伝えしたいのが、ブルントラント報告書を検討したという世界銀行のマイケル・E・コルビーさんが1989年に書いた報告書についてです。この報告書では資本と資源を国家の会計や開発計画の中に計算上とり入れて、統合することを求めています。

 環境は経済に関連しないとか環境に関してお金を使うことは無駄、と言われてきましたが、そうではなくて、環境も生態系も経済活動のなかに組み込んで、考えることができる、というわけです。

 現在、金融の分野で、サステナビリティの概念を企業の情報開示のなかに組み込む流れが進んでいます。企業活動のなかで、サステナビリティに関連する行動が、その発展戦略において重要であり取り組みとともに宣言(情報開示)し、行動していく潮流であることを考えると、連綿と地球にやさしい経済を考えてきた人たちがつないできた思いが今、実を結びつつあることは、エコアナウンサーとして、とても感動します(サステナビリティ情報開示については、また別の機会に深堀したいと思います)。


引き継がれる「持続可能な開発」

 そして、その後の1992年の地球サミット(リオ会議)の『アジェンダ21』にも持続可能な開発の理念が盛り込まれ、2015年のSDGsの普及によって、「持続可能」は政策・教育・企業活動などさまざまなところで定着していると言えるでしょう。

 2023年のIPCC気候変動に関する政府間パネルの第6次評価報告書でも1.5℃経路(産業革命前より地球の平均気温上昇を1.5℃におさえる)を追求しても経済成長が停滞することは無いということや、気候変動対策の加速は持続可能な開発に不可欠であるとして、SDGsと深い関わりがあることを伝えています。緩和策(温暖化の原因である温室効果ガスの排出を抑制すること)とSDGs、緩和策と適応策(自然や社会の在り方を調整すること)の間にシナジー(相乗効果)とトレードオフ(何かを得るために何かを失うこと二律背反)があるけれどもそれは政策の設計により管理が可能とも伝えています。


気候変動対策の実現可能性とコストについて表した図

【気候変動対策を拡大する機会は複数ある】
気候への対応と適応の実現可能性、および短期的な緩和オプションの可能性

この図では1.5℃までの実現可能性と確信度、そしてコストを表しています。

・太陽光や風は低コストでCO2を削減できる
・生物多様性の管理や生態系保全は低コストでCO2を削減できる
・燃費の良い自動車は低コストでCO2を削減できる
・効率的な照明、電化製品は低コストででCO2削減できる
など


出典:気候変動適応情報プラットフォーム(A-PLAT)(※原図出典:IPCC AR6 SYR SPM Figure SPM.7 a)


あなたにとって「サステナビリティ」とはなんですか?

 ところで、リオ会議での、セヴァーン・スズキさんのスピーチを聞いたことがあるでしょうか。カナダに住む当時12歳だったセヴァーン・スズキさんの『伝説のスピーチ』は、今も国連広報センターのYouTube動画で見ることができます。もし、まだご覧になっていなかったらぜひ、みて頂きたいです。未来を考え、大人たちに訴えたセヴァーンさんのスピーチ。その時からの未来の地点にいる私たち。30年以上前のセヴァーンさんの言葉が、あなたにどんな思いを届けるでしょうか。

 さあ、ここまでお読みいただいて、「あなたにとってサステナビリティとは何?」と聞かれたら、なんと答えますか?私は、「今を生きる私たちのため、将来世代の子どもたちのために考え行動すること」と答えます。

 先日、ある高校で地域の持続可能な未来を考えるワークショップを行った際には、高校生からは、「若い人が多く元気な街」「伝統行事を続ける」「夏を快適に過ごし自然を活用する」「働く人にやさしい街」「団結・協力できる街」「ポイ捨てがなく、3Rを続ける」「治安がよく平和な街」「自給自足」などたくさんのキーワードが挙がりました。

 次号以降、日本ではサステナビリティと同じ持続可能性を意味する言葉はなかったのか?について考えていきたいと思います。

国連が身近に感じられた大阪・関西万博国際機関館 国連パビリオン(筆者撮影)

国連が身近に感じられた大阪・関西万博国際機関館 国連パビリオン(筆者撮影)


注釈

【注1】宇宙船地球号の経済学で知られるケネス・E・ボールディングさんは「広大な土地にいるカウボーイのように資源や環境の制約がないかのように浪費する経済をカウボーイ経済」とし、「地球を一つの宇宙船と考え、限られた生態系やシステムの内にいることを理解した上で営む経済を宇宙飛行士経済」としました。

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