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「ようこそ、外来種問題の世界へ」バックナンバー

0102016.01.26UP地域一丸となった取組-ケーススタディ:南西諸島のインドクジャク-

インドクジャク
インドクジャク

 外来種の防除の実施には、わなや銃器などを使うこともあります。また、防除に際して土地所有者の協力が必要になることもあります。外来種対策を円滑に実施するためには、外来種の引き起こしている問題や対策の意義などについて、地域住民や関係者の理解を得ることが重要です。
 今回は、地域で協議会を立ち上げ、防除に理解を広げ、協力を得ることで防除が進んできている南西諸島のインドクジャクの対策事例を紹介します。

南西諸島に持ち込まれたインドクジャク

 「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」にも掲載されているインドクジャクは、日本、オーストラリアやニュージーランドなどの世界各地で移入されています。
 南西諸島では、新城島に持ち込まれたのを皮切りに、1979年(昭和54年)には小浜島で観光目的の観賞用として持ち込まれた約100羽の一部が野生化して定着し、繁殖。それらが各島に寄贈されました。今では小浜島や新城島をはじめ、石垣島、黒島、宮古島、伊良部島、与那国島といった南西諸島の各島での定着が確認されています。
 インドクジャクは雑食性で、生態系への被害が懸念されていました。高密度に生息している黒島や小浜島では、は虫類、昆虫類などが激減しており、インドクジャクの捕食による被害と考えられています。特に黒島においては、サキシマカナヘビ(絶滅危惧Ⅱ類)の減少にも影響を及ぼしていると考えられています。また、水稲や牛の飼料の食害などの農業への被害も発生していました。

キシノウエトカゲ
キシノウエトカゲ
サキシマカナヘビ
サキシマカナヘビ

地域による防除の取組

 そのような状況の中、地元竹富町では、2011年度(平成23年度)に公民館、猟友会、地方自治体などで構成される「竹富町クジャク防除対策協議会」を立ち上げました。2013年度(平成25年度)までの3年間には、環境省の補助事業を利用して箱わなと銃器を用いた防除を実施。当初、畜産と観光が主な産業のこの地域では、銃器を用いた捕獲について、畜産農家や観光業関係者から安全面で否定的な反応がありました。しかし、協議会による普及啓発活動の結果、生物多様性の価値や外来種問題に対する住民の意識が少しずつ高まっていき、目撃情報の提供や捕獲作業への協力(交通規制・立入制限等)が得られるようになりました。わなの見回りや銃器等による作業時の安全確保は、地域の関係主体の協力の下で実施されています。こうした複数年にわたる協議会の取組によって一定の理解と協力が得られ、活動が徐々に拡がっています。
 これらの地域において、2015年(平成27年)時点で根絶には至っていませんが、近年はクジャク探索犬の活躍もあって3年間で2,479羽のインドクジャクを捕獲し、補助事業が終了した現在でも地域の関係主体が連携した取組は継続されています。

あと一息!新城島の例

インドクジャク駆除状況
インドクジャク駆除状況

 南西諸島で最初にインドクジャクが持ち込まれた新城島では、2006年度(平成18年度)より防除が開始されました。今では、島で確認されている個体は残り2羽になっています。それまでの間、合計179羽の防除がされていますが、そのうちの約90%は最初の3年間で防除されました。侵略的な外来種の多くは、繁殖力が強いため、生息数の多い時期に一気に防除を進めることで、生息数を急速に落とし、増殖スピードを鈍らせることが効率的です。そうすることで、防除をしなくてはならない外来種の個体数も少なくすることができます。
 また、第6回のコラム「防除における計画の重要性」でも触れたとおり、外来種がたくさん生息しているときには、捕獲などの防除も比較的順調に進みます。一方で、生息数が少なくなってくると、捕獲は困難になり、一個体あたりの捕獲にかかる費用や労力も大きくなってきます。侵略的な外来種の中には、非常に少ない数からも個体数を増やしていくものがあり、防除の成功には、最後のひと踏ん張りが極めて重要です。今回紹介したインドクジャクの防除の舞台となった新城島(上地島)は、わずか2平方キロメートルにも満たない小さな島です。しかし、その島内のどこにいるかわからない2羽の鳥を探索するのは想像以上に難しいことです。囮を使っておびき寄せたり、自動撮影カメラを使って生息確認したり、最後の1羽を防除するまで、島における対策は続きます。


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