メインコンテンツ ここから

「ようこそ、外来種問題の世界へ」バックナンバー

0092016.01.05UP防除による生態系の回復-ケーススタディ:マングース-

 環境省では、世界自然遺産地域やその候補地、ラムサール条約登録湿地など、生物多様性保全上重要な地域において特定外来生物の防除を行っています。
 今回は、沖縄島のやんばる地域や奄美大島で行われている「マングース対策」について、その現状と成果をご紹介いたします。

ハブやネズミの駆除を目的に導入されたマングース

フイリマングース(環境省)
フイリマングース(環境省)

 毒蛇であるハブの咬傷被害やネズミによる農作物被害に悩まされていた沖縄島では、それらの駆除を目的として、著名な動物学者の推奨により、1910年(明治43年)に十数頭のマングースがインドから導入されました。しかし、残念ながら昼行性のマングースは夜行性のハブを積極的に捕食することはなく、ハブの駆除には大きな成果をもたらすことはありませんでした。そのような状況にもかかわらず、1979年(昭和54年)頃には何者かにより奄美大島でもマングースが放されました。
 沖縄島と奄美大島は、特に希少な動物が多く、世界中でそれぞれの島にしか生息しない固有種も多い貴重な生態系を持った島々です。
 マングースの個体数が増えるに従って、奄美大島では哺乳類のアマミノクロウサギや鳥類のアマミヤマシギ、両生類のアマミイシカワガエルなど、また沖縄島では鳥類のヤンバルクイナなどの分布域と個体数が急速に縮小していきました。マングースは、ハブよりも捕食しやすいトカゲ、カエルなどのほか、在来の小型哺乳類や鳥類など野生動物を襲って食べていたのです。ときにはニワトリなどの家禽も襲って食べ、その被害が顕著となってきました。

功を奏した、マングース捕獲事業

沖縄島やんばる地域におけるマングース捕獲数とCPUEの経年変化
沖縄島やんばる地域におけるマングース捕獲数とCPUEの経年変化

 両島においてマングースの捕獲事業が開始されたのは、2000年(平成12年)から2001年(平成13年)にかけてでした。2005年(平成17年)には外来生物法が施行され、防除計画に基づいた事業が進められるようになりました。
 これまでに多くの予算と人員が投入され、大量のわなの設置によりマングースを捕獲し、その生息数を着実に減らしています。

 沖縄島では捕獲事業開始以降マングース対策を強化し、2014(平成26)年には、年間の延べのわな設置日数(捕獲努力量)が約168万わな日に達しています。かつて毎年500頭以上捕獲されていたマングースの捕獲数は、2014(平成26)年度には127頭となっています。捕獲の効果を評価するために使われる指標であるCPUE(1,000わな日あたりの捕獲数=1000×捕獲数/捕獲努力量)は、捕獲開始当初(2000年(平成12年))は0.157であったものが、2014年(平成26年)には0.08と1/20になっています。これは同じ努力量(わな日数)あたりの捕獲数が1/20になった(20倍捕獲しづらくなった)ということであり、それだけマングースの密度が低くなったということを示しています。

奄美大島におけるわなによるマングース捕獲数と捕獲努力量の経年変化
奄美大島におけるわなによるマングース捕獲数と捕獲努力量の経年変化

 より顕著な成果が出ているのは奄美大島です。2014年(平成26年)には、年間の延べのわな設置日数が約260万わな日に達しています。その一方で、当初は年間数千頭捕獲されたものが、年々減り続け、平成26年度に捕獲されたマングースは、71頭(わなによる捕獲39頭。探索犬による捕獲32頭。)となり、ついに100頭を切っています。

 捕獲効率を示すCPUE(1,000わな日あたりの捕獲数)は、2005年(平成17年)は4.107であったものが、2014年(平成26年)には、0.015になりました。これは、2005年時点では、1,000個のわなをかけると4頭ほどのマングースが捕獲されていたものが、今では1,000個のわなをかけても、0.015頭しか捕獲できなくなっているということを示しています。そのような結果を踏まえると、捕獲開始当初は1万頭を超えていたと考えられる奄美大島におけるマングースの生息数は、現在では、100頭以下になったと推定されています。

奄美大島における捕獲努力量とCPUEの経年変化
奄美大島における捕獲努力量とCPUEの経年変化

奄美大島におけるマングース捕獲位置の減少状況(年度別)
奄美大島におけるマングース捕獲位置の減少状況(年度別)

固有種の回復もマングース対策の成果

 マングース対策による成果は、マングース自体の生息数減少に加えて、マングースに捕食されることによって減少したと考えられている野生動物の回復という形でも現れてきました。
 沖縄島では2012年度(平成24年度)にヤンバルクイナの分布域と生息数の回復が確認されましたし、奄美大島では2013年(平成25年)に、アマミノクロウサギやアマミトゲネズミ、ケナガネズミ、アマミイシカワガエル、オットンガエル、アマミハナサキガエルなど数多くの希少固有種の生息数の回復が報告されています。

アマミノクロウサギ(環境省)
アマミノクロウサギ(環境省)

ケナガネズミ(環境省)
ケナガネズミ(環境省)

アマミイシカワガエル(環境省)
アマミイシカワガエル(環境省)

オットンガエル(環境省)
オットンガエル(環境省)

アマミハナサキガエル(環境省)
アマミハナサキガエル(環境省)


 沖縄島のマングースが、十数頭から激増したことから考えると、わずかでも捕り残せばまた元に戻りかねません。そこで、環境省では探索犬を活用した綿密な防除などを進めて、2022年度(平成34年度)末までにやんばる地域での完全排除、奄美大島での根絶を目指し、マングース防除作業を継続していきます。

 子ども向けに作成した紙芝居「マングースものがたり」もあります。ぜひご活用ください。

マングースものがたり(紙芝居)
マングースものがたり(紙芝居)
※クリックするとPDFファイルが開きます


※本稿は、「外来種被害防止行動計画」p.101をもとに改変しました。


このレポートは役に立ちましたか?→

役に立った

役に立った:4

このレポートへの感想をお送りください。
投稿いただいた感想は事務局チェック後に掲載されます。

ニックネーム
感想
 
送信する入力内容クリア

前のページへ戻る

【PR】

 

ログイン

ゲストさん、

[新規登録] [パスワードを確認]

エコナビアクションメニュー

【PR】

  • 東京環境工科専門学校 コラム連載中!