『[CC BY-NC]「Hi! Zai card」TOKYO METROPORITAN ART MUSEUM
creativereuse 01 with IDEA R LAB』
「Hi! Zai CARD」と名付けられた色とりどりの62枚のカードは、地域の廃材を
紹介する教育ツールとして位置づけられたもの。
IDEA R LABが、東京都美術館のプロジェクトで2013年1月に共同制作したもの。
詳細は、 http://www.idea-r-lab.jp/?p=354 参照。
“リサイクル工作”や“空き箱クラフト”と聞いて、どんなイメージをお持ちになるだろうか。魅力あふれる創造性豊かな作品をイメージするよりも、どこか安っぽく垢抜けないデザインのやっつけ工作をイメージするという人も少なくはないのではないだろうか。
自らの発意で作るのならともかく、押し付けられた課題として取り組む工作では、できあがった作品に対する愛着がそれほど芽生えてこないとしても不思議ではない。せっかくリサイクル素材を使った意義ある取り組みも、そのねらいが十分に伝わることなく、こなすだけに終わっていくケースもあるかもしれない。まして、工作素材を集めるために必要もない商品を購入することがあるとすると、本末転倒にもなりかねない。
そんな“リサイクル工作”や“空き箱クラフト”のネガティブなイメージを180°覆すような、クリエイティブで洗練されたデザインの作品を生み出す取り組みが各地でみられる。区別のために、あえて“クリエイティブ・リユース”などと呼ばれたりもする。
大月ヒロ子さんでは、そんな取り組みを以下のように解説し、国内外のさまざまな事例を紹介している。
大月ヒロ子著『クリエイティブ・リユース ──廃材と循環するモノ・コト・ヒト』[Amazon]
これまで「リサイクル」と呼ばれるものには、重要な意義はあってもデザイン的にいまひとつ垢抜けない、自己満足の成果物が多かったのも事実である。その言葉の持つぼんやりとしたネガティブイメージが、少なからず人の積極的な参加や創造性を抑えてしまっていたように思う。しかし、筆者が訪ね歩いてきたクリエイティブリユースの活動は、新しい時代を切り開いていく、ダイナミックで開放的な力に満ち溢れていたし、身の丈に合った生活を楽しみながら、手や体を動かす人々の姿があった。また、そこでつくり出されている生産物(モノ)や生まれている効果(コト)は実に多種多様で、個性豊かで味わい深いものがあり、感動を与えてくれた。アートとしか言いようのない作品や、ビジネスとして成立している質の高いモノまであり、それらと出会う度に心躍らされた。私自身も工夫しながら何かをつくりたい! と、じっとしていられない気持ちになったのである。(中略)
本書では、クリエイティブリユースによって、買っては使い捨てる消費一方ではないモノとヒトの関係を築くこと、コンパクトで心豊かな暮らしを自分たち自身の手で整えていくこと、ものづくりや教育の「循環」に多くの人々が間接的にでも関わっていくことで、街やコミュニティにどのような変化が起こるのかを考えていきたい。
(大月ヒロ子著『クリエイティブ・リユース ──廃材と循環するモノ・コト・ヒト』より抜粋)
一般社団法人日本パッケージクラフト協会が推進する「パッケージクラフト」という取り組みがある。スーパーやコンビニで市販されているお菓子や食品などの空箱を使ったペーパークラフトの一種で、特にパッケージのデザインを生かして作るところに特徴がある。
論より証拠、真四角な空き箱がどんなふうにクラフト作品に変身していくのか、その様子を直感的に伝える同協会の映像をご覧いただきたい!
子どもにも作れるシンプルな作品ながら、パッケージのきれいな色と模様・ロゴを生かして創意工夫されたデザイン。変身する驚きとともに、こんな作品を自分でも作ってみたいとわくわくさせてくれる。
協会では、パッケージクラフトを楽しむためのルールをいくつか設けている。制約ゆえに生まれてくる創意工夫を楽しむためのものだ。
【1】1パッケージ1作品
【2】パッケージは出来るだけ使い切ること
【3】文字は読み取れるように心がけること
簡単なものからちょっと複雑なものまで、さまざまなラインアップが並んでいる。型紙も公開されているから、まずはひとつ、作ってみるところから楽しんでみてはどうだろう。
次に紹介するのは、手のひらサイズの小さな木製ロボット「モクセイダーズ(MOKUSEIDERZ)」。小さくても、いや小さいからこそ、その精巧なつくりは衝撃的だ。シリーズのラインアップは全6種類。それぞれ、手足や腰、頭部などの関節が自由に動かせる。しかも関節内部にはバネが仕込んであって、動かしたポーズがきちっと固定できる。美しく仕上げられた木の質感とツートンのシンプルなデザイン。赤みがかった方はウォルナットの新材を使っているが、淡い色の材料は折れて廃棄されるドラムスティックを再利用して作られているというから驚きだ。だからこそ、これだけ小さなボディのロボットが生まれたのかもしれない。
こちらも映像を通して、その精巧な作りを堪能されたい。
モクセイダーズは、各ラインアップとも完成品だけでなく、バラバラの部品と説明書が封入された組み立てキットも用意されている。インストラクションに沿って組みあげていくことで、内部の構造を自分の目と手で一つ一つ確かめていくことができる。
木のパーツでできているから、遊んでいくうちに壊れることがあるかもしれないが、そんなときにも構造がわかっていれば接着したり、別途購入可能な予備部品に取り換えたりして修理することができる。まさにプラモデル的感覚で楽しめるわけだ。組み立てプロセスを紹介した映像もあるので、こちらもご覧いただきたい。
本映像の冒頭&最後、ロゴが組み立てられる直前に表示されるのが、原材料と して使われているドラムスティック(廃棄前)。タイトルバックを通じて、ド ラムスティックがバラバラに分解されたのちに、別の形へと生まれ変わってい ることをさりげなく伝えている。
ぜひ一度、お試しあれ!
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