第2回で紹介した、月別電力消費の年間推移グラフは、家庭のエネルギー消費の大まかな実態を把握するためのツールとして有効ですが、より細かな消費状況を把握するには、「省エネナビ」の利用が効果的です。
「省エネナビ」は、別名「電力使用料金表示システム」とも呼ばれるもので、住宅の分電盤内に機器を接続することで、電力使用量(kWh)や電気料金(円)、二酸化炭素排出量(kgCO2)などを計測・表示するシステムのこと。毎月の省エネ目標を設定して、使用実績が目標値を超えた時にアラート表示をしたり、蓄積した計測データをパソコンに取り込んで解析したりすることもできます。
省エネナビのデータを用いれば、1日の時間別消費電力をグラフにすることができます。図4-1は、東京都新宿区と長野県長野市の家庭において、家庭全体の電力消費量を省エネナビで測定したデータの冬季3ヶ月間を時間帯別に平均してグラフにしたものです。
グラフを見て、もっとも電気を使っている時間帯(ピーク)を見つけてそのときの生活を振り返りつつ、エネルギーのムダがないか考えると、省エネ対策の判断材料を得られます。
さらに月ごと時間別の消費量をグラフにすると、同じ時間帯でも月によって消費量が変化することがわかります。図4-2のグラフでは、真夏の8月に夜間の冷房をかけたことで、20時?23時までの消費量が多くなっていることがわかります。
一方、第2回で取り上げた月別の年間電力消費量グラフと同様に、特別な活動をしていない深夜の時間帯や日中の不在時など、1日の中でもっとも電力消費量が少ない時間帯が、“わが家のベース電力”です(主に待機時消費電力の大小によって決まります)。
このベース電力消費量が200Whを超えている場合、何かしらの機器が稼働していることが推測できます。冷蔵庫の効率が著しく悪化しているとか、通信機器のためのルーター等が常時稼働しているなどの理由が考えられます。
長野県の家庭で測定した際に、深夜の電気消費量が1KWhに至るとの測定結果をみて驚愕しましたが、後に凍結防止のための電力が稼働していることを知りました。地域や家庭の機器利用状況等によって、電力消費量の分布パターンは思った以上にバラエティに富んでいます。
省エネナビはリアルタイムでエネルギー消費量を確認できるので、その機能を利用して「省エネ行動」の効果(電力削減量)を検証することができます。
家庭のエネルギー消費は、平日と休日、来客時や不在時など、生活の変化によって大きく影響を受けます。そこで、あまり生活に変化のない2週間を選んで、通常通りの生活を送る1週間と、省エネ行動をする1週間(連続していなくても構いません)で、電力消費量を比較します。コツは、取り組む機器や行動を絞って検証すること。
省エネナビの威力を、ぜひ実感してみてください。
Copyright (C) 2009 ECO NAVI -EIC NET ECO LIFE-. All rights reserved.