【図1-1】日本の部門別二酸化炭素排出量(各部門の間接排出量)
──割合としては「産業部門」「運輸部門」で大半を占めるものの…
【図1-2】日本の部門別二酸化炭素排出量の推移(1990?2007年)
──「家庭部門」では、1990年から約35%増加している
家庭のエネルギー消費や二酸化炭素排出量は削減の目標に反して、増加傾向にあります。図1-1は、日本の部門別二酸化炭素排出量(各部門の間接排出量)をグラフにしたものです。
部門別の割合としては、産業部門(36.1%)と運輸部門(19.1%)を合わせて過半数の約55%を占めますが、これを1990年からの経年変化としてグラフ化すると、また違った状況が見えてきます(図1-2)。
産業部門や運輸部門が横ばいから微減なのに対して、いわゆる民生部門と呼ばれる家庭や事業所等の業務からの排出が増加しています。家庭部門の場合、1990年当時から、約35%も増加しました。この約20年間の増加は、主にライフスタイルの変化によるものと言われています。
家庭のエネルギー消費が増えている背景を具体的にみると、例えば90年当時、1家に1台だったエアコンが今や部屋ごとに設置され、カラーテレビや自家用車も1家で複数台所有が珍しくなくなっています。
図1-3は、家電製品の保有割合の経年変化を示すグラフですが、細かく見ると興味深い家庭の実態が見えてきます。ここで注目していただきたいのは、保有率の高いエアコンやテレビ以上に、1家に1台あれば十分なはずの電気冷蔵庫の保有割合が100%を超えている点や、石油ストーブの減少傾向とDVDプレイヤーの急激な増加。
冷蔵庫は、ほぼ全国的に普及している一方で、100%を超える保有率が意味することは、1家に2?3台保有する家庭が少なからずあるという実情。石油ストーブの減少は、エアコンの伸びと反比例しています。ガスファンヒーターやオール電化の床暖房なども含めて、暖房機器の世代交代(バトンタッチ)が見てとれます。DVDプレイヤーの伸びも、かつて普及してきたビデオデッキに替わって急激に普及台数を増やしており、機器の栄枯盛衰を示唆しています。
温水洗浄便座の保有率上昇や、グラフには示していませんが食器洗い乾燥機とか乾燥機付き洗濯機などこれまであまり普及していなかった新しい家電製品も徐々に家庭に浸透してきています。携帯電話の充電器やパソコン、家庭用ゲーム機などが、家庭の電力消費に占める割合も増えています。
家電製品の普及率・保有率は、生活の変化の表れです。今のくらしと、数年前・数十年前の生活を振り返ってみれば、私たちのくらしの変化が改めて実感できます。
コンビニやデパ地下など中食産業の発展は、家庭に占める厨房エネルギーの変化を推察させます。
街に出れば、自動販売機が道端にあふれ、つい2?30年前までは想像もしなかった宅配便は、今や広く市民生活に浸透しています。産業・運輸部門のエネルギー消費も、こうした私たちのライフスタイルの変化に密接に関連しているわけです。
家庭のエネルギー消費が増えている背景には、私たち自身が選んできた便利で快適な生活があります。その一つひとつのできごとのつながりや影響を考え、今後何を大事にして、どんな生活を選んでいけばよいか。私たちの「今」は、どんな「過去」と「未来」につながっているのか、思いを馳せてみてください。
次回以降は、私たちのくらしに欠かせない家電製品を取り上げ、家庭の省エネを考えるヒントとアドバイスを具体的に紹介していきます。
学校の宿題に使わせて頂きました
よかったです
(2018.09.01)
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