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「ゲストハウスを旅する」バックナンバー

0032018.03.20UPゲストハウスに泊まって地域の魅力を再発見-とりいくぐるGuesthouse & Lounge(岡山県岡山市)-

地方都市にも増えている「ゲストハウス」

 ゲストハウスとは、ホステル・バックパッカーズとも呼ばれる「素泊まりで水回りが共同、比較的安価な宿」のこと。京都や沖縄、東京などの大都市・観光地を中心に発展してきたゲストハウスですが、ここ数年で一気にその裾野が広がりました。前回ご紹介した離島のような風光明媚な地域もそのひとつですが、もうひとつ見逃せないのが、有名観光地ではない地方都市にもゲストハウスが増えている現象です。

JR岡山駅から徒歩10分、建物にピタリと張り付く鳥居が印象的な「とりいくぐる」

 今回ご紹介するのは、岡山県岡山市にある「とりいくぐるGuesthouse&Lounge(ゲストハウス&ラウンジ)」。ちょっと変わった宿名ですが、由来は写真を見れば一目瞭然、なんと建物入り口の真ん中に神社の鳥居があった!から。JR岡山駅西口から続く奉還町(ほうかんちょう)商店街の西端にある元精肉店だったという築60年以上経つ建物を改築、ゲストハウスとともに地元のクリエイターなどが入るテナント施設「NAWATE」として蘇りました。

建物の真ん中を貫く印象的な鳥居
建物の真ん中を貫く印象的な鳥居

ゲストハウスのほか雑貨店やオフィスが入居
ゲストハウスのほか雑貨店やオフィスが入居

アートセンス抜群、あたたかみも感じる館内
アートセンス抜群、あたたかみも感じる館内

ゲストハウスと複合施設NAWATEができるまで

 この建物をゲストハウスにすると決まるまでには、紆余曲折がありました。岡山駅周辺、特に西口エリアは後楽園などの観光ポイントからも離れていますし、なにより2013年のオープン当時、商店街の中にゲストハウスという旅人が集い泊まる宿があることはとても珍しかったのです。

 きっかけは、地元密着型の建築リノベーションチームと運営者「合同会社さんさんごご」のメンバーとの出会いから。「さんさんごご」の明石健治さんは地元岡山出身、以前期間限定で運営されていた別のゲストハウスによく出入りしていたところ、建築リノベーションチームのメンバーからこの物件を紹介されました。自身の経験から「旅人と地元の人をつなぐ」ゲストハウス運営に興味を持っていたこともあり、仲間とともに運営を担うことになりました。 とりいくぐるが入る「NAWATE」で印象的なのは、鳥居のほかにもうひとつ、宿の横に松井青物店という八百屋があること。もともと地元でずっと営業していたお店ですが、このお店が営業を続けていることで、岡山出身とはいえども地元の人間ではなかった明石さんらプロジェクトチームが、ぐっと地元の商店会や住民に受け入れやすくなったそう。

建物の右側がゲストハウス部、左に入居するのが松井青物店
建物の右側がゲストハウス部、左に入居するのが松井青物店

ゲストハウスのドミトリー(相部屋)
ゲストハウスのドミトリー(相部屋)

壁面にアートが描かれた個室客室
壁面にアートが描かれた個室客室

地域と旅人の間で、まちのおもしろさを「翻訳」するゲストハウス

 ところで、岡山市内に泊まる人ってどんな人が多いのでしょうか? 実は岡山駅周辺は交通の要所のため「乗り換え需要」「中継基地」としての要素も強く、実際宿泊予定の方も、最初のきっかけは近隣の地域とは直接関係のないことも多くあります。ですが、ここ「とりいくぐる」は、リピーターと呼ばれる馴染みの宿泊客もとても多いのです。なぜでしょうか?

 それは、宿としての居心地のよさは当然のことながら、観光地ではない、地元の人からするとなんでもない昔ながらの商店街と、そこに生まれたよそ者たちがつくったユニークな空間。そこに生まれる人との交流は、旅人にとっては「おもしろい」と感じる要素がたくさん詰まっています。

ゲストハウス&ラウンジ とりいくぐる 明石健治さん
ゲストハウス&ラウンジ とりいくぐる 明石健治さん

宿泊客だけでなく地元の人も訪れる1階ラウンジ
宿泊客だけでなく地元の人も訪れる1階ラウンジ

ラウンジでビールを飲みながら交流が広がることも
ラウンジでビールを飲みながら交流が広がることも


 例えば、地元の人が通うような居酒屋。一見さんお断りかも?とちょっと入りにくい雰囲気があったりします。そんなとき、ゲストハウスのスタッフが、おすすめのお店を教えてくれたらどうでしょう?地域の人たちの営みを知り、受け入れられ、交流をしているゲストハウスがまちと旅人の「かすがい」のように間に入って、夕食におすすめの食堂や名物店主がいるスナックなど、ディープなまちの楽しみ方を教えてくれる。

 そうしたアドバイスがあると、見どころなんてないと思っていたはずの場所が、自分なりの名所だらけになったりします。こうした体験は素泊まりが基本のゲストハウスならではの楽しみ方。

 まちを知り尽くした、まちをおもしろがるよそ者が、地域と旅人の翻訳者のようになり繋いでいき、その縁がまた新たに旅人と地域の人を結びつけていくのです。そうすると、「また次もここに泊まろう」と、ゲストハウスに泊まること自体が旅の目的になる。オープンから5年、そうした旅人が「とりいくぐる」にはとても多く存在しています。

通って泊まって。旅先がまるで地元のような存在に

「ありふれた日本の日常」こそ旅人にとっておもしろい
「ありふれた日本の日常」こそ旅人にとっておもしろい

 ゲストハウスの誕生を皮切りに、奉還町商店街界隈は、海外からの旅人や、地元岡山だけでなく近隣県からも「なにかおもしろいことないかな」と思っている人たちが集う場所になりました。規模としては20人も入れば満員な場所で開催されるイベントやライブ、地元商店街とともに開催するマルシェなど、ひとつひとつは小さな動き。しかしながら、そうした小さな光がどんどん増えて輝きを増しています。

 2016年、とりいくぐるから徒歩30秒のところに出来た「奉還町4丁目ラウンジ・カド」は、より地域住民の方の利用ができるよう、本やレコードが置かれたカフェレストランとして営業を開始、また、徒歩2分のところにコンドミニアムタイプのとりいくぐる別館も誕生しました。


 小さなゲストハウスの誕生から、まちがどんどん動いていく。そうした様子を旅人として訪れた自分も感じ取ることができるのは、とてもユニークな経験。何度も同じ場所に宿泊することで、知らない地方都市が、まるで自分の地元のように思えてくるかもしれません。

「カド」はより地元住民と旅人をつなぐ存在として機能
「カド」はより地元住民と旅人をつなぐ存在として機能

古民家をまるごと改装し、レトロモダンに生まれ変わった別館
古民家をまるごと改装し、レトロモダンに生まれ変わった別館

別館はキッチン付きの一棟貸切型で家族連れやグループに最適
別館はキッチン付きの一棟貸切型で家族連れやグループに最適


■とりいくぐる Guesthouse & Lounge(岡山)
〒700-0026 岡山市北区奉還町4丁目7-15 NAWATE内
http://toriikuguru.com/

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