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「オーストラリアの野生動物保護」バックナンバー

0082013.10.08UP現場編(2)野生動物を診てくれる獣医と専門ケアラー

 オーストラリア最大の野生動物保護団体「WIRES」のボランティア活動の現場で起きていることをお伝えする「現場編」。今回は、保護された傷病個体の治療やケアを担当する獣医と専門ケアラーを紹介します。

動物病院との連携

ほとんどの動物は傷ついて、ぐったりした状態で保護される
ほとんどの動物は傷ついて、ぐったりした状態で保護される

 WIRESの野生動物保護に携わるボランティアは、コールセンターから連絡を受けて現場へ急行し、傷ついた動物を保護したら、次の指示を待ちます。ほとんどの場合、保護した動物は傷ついていますので、動物病院へ連れて行くことになります。
 WIRESと提携している指定の動物病院では、無料で受診・治療してもらうことができます。すぐに野生に戻すことができないと判断された場合は、ある程度回復するまで病院で治療を受け、その後、WIRESのメンバーが野生復帰の日まで面倒をみることになります。
 我が家の近所にある動物病院も、WIRESの提携病院として保護した野生動物を無料で診てくれます。しかし、病院側はあくまでもボランティアとして受け入れていますので、保護した動物の種類や容態によっては、専門医のいる遠くの病院まで連れて行かなければならない場合もあります。シドニーの近郊には、朝から晩まで野生動物が運ばれてきて、手術や治療にかかりっきりになっている獣医もいるほどです。こうした獣医は、野生動物の赤ひげ先生といった感じで、WIRESのメンバーはもちろん、住民たちからも一目置かれています。
 野生動物を診るためには、その生態についても詳しくなければならないため、獣医見習いの学生や新米の獣医師がWIRESの講習に参加することもあります。

野生動物を診てくれる獣医の存在は大きい
野生動物を診てくれる獣医の存在は大きい

住宅街で見かけるVET(獣医)の看板
住宅街で見かけるVET(獣医)の看板

専門のケアラー(介護者)

 野生復帰の日まで飼育し、面倒をみるボランティアは、ケアラーと呼ばれます。ケアラーは、ボランティアとしての経験が豊富で、かつ、24時間動物の面倒を見ることができる退職者や主婦などが受け持つ場合がほとんどです。
 WIRESでは、動物の種類によって、それぞれ専門のケアラーが登録されています。例えば、有袋類だけでも、ウォンバットを専門に受け持つケアラー、カンガルーやワラビーなど少し大きめの有袋類を担当するケアラー、ポッサムなどの小型有袋類の担当、そして、さらに小さい有袋類の担当といった具合に、細かく分かれており、その他に、鳥類の担当、爬虫類の担当などがあります。これは、各動物によって生態が異なり、餌の与え方や飼育環境などに関する専門の設備や知識が必要だからです。
 こうした専門ケアラーになるためには、WIRESで行っている講座を受講することが必要となります。それぞれ異なる動物や鳥、爬虫類ごとの講座が開催されていますので、ケアラーを目指すメンバーは、気になる講座を選び、少額の受講料を支払って受講することになります。ただ、講座開催が限られた日程のため、仕事を持っている人はスケジュールの調整が難しい、といった難点もあります。
 また、こうした問題とは別に、相応の広さのある住居に住んでいる人でなければ、ケアラーになるのが難しい点も課題です。小さな赤ちゃんの間や小型動物であれば、室内で飼育することも可能ですが、中型から大型の動物の場合、ある程度大きくなったら室内で飼うには無理があります。また、フクロモモンガや鳥類、コウモリ類など、飛ぶことができる生き物の場合は、大型のケージ、もしくは、小屋が必要ですし、水鳥の場合は、池や沼などの水場も必要になってきます。こうしたことなどから、ケアラーの活動は、誰でもできるわけではないのが、悩ましいところです。

ケアラーになる人は、みんな動物好き
ケアラーになる人は、みんな動物好き

有袋類のため、赤ちゃんのうちは袋状の特製ゆりかごが必要
有袋類のため、赤ちゃんのうちは袋状の特製ゆりかごが必要


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このレポートへの感想

私は、ウォンバット専門ケアラーを目指しています。かなり難題が多いですが、1つ1つクリアをしていかなければかなり厳しいですね。ただ好きなだけ可愛いだけでは手を出せない事や責任の深さを感じました。しかし難しいですが 傷付いた動物達を助けたいです。自分に出来る事は全力を尽くして頑張ります。
(2019.03.09)

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