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「オーストラリアの野生動物保護」バックナンバー

0072013.07.16UP現場編(1)野生動物保護の資格と実際の活動

野生動物保護の資格

保護対象はあくまでもネイティブ(固有種)の哺乳類、鳥類、爬虫類など。
保護対象はあくまでもネイティブ(固有種)の哺乳類、鳥類、爬虫類など。

 このシリーズの第1回記事でご紹介した、オーストラリア最大の野生動物保護団体「WIRES」では、野生動物保護に関心を持つ人を対象に、必要な知識を身につけるための講習会を実施し、資格制度を設けています。WIRESには、現在2,000名以上の資格保有者が登録されています。

 ニューサウスウェールズ州内で野生動物の保護活動に従事する際、この資格があると国立公園のレンジャーと連携することができます。資格を取るためには、ネイティブ(固有種)の有袋類をはじめとする哺乳類、鳥類、爬虫類など保護対象となる生き物たちの生態や保護する際の注意点などを題材としたトレーニングコースを受講し、学ばなければなりません。講習会の締めくくりでは、捕まえ方や餌の与え方、移送の仕方など、具体的な保護や介護についての実技やクイズ形式のテストなども行われます。
 資格を取得すると、証明書とIDカードが発行され、野生動物の救助と応急処置、介護飼育ができるようになります。資格取得後も、定期的に動物の種類別の講座が開かれており、自分が興味のある講座を受講することができます。

2010年のニューサウスウェールズ州大洪水の時に、丘に取り残されたカンガルーをボートで救助したWIRESのメンバー。(写真:(C)WIRES -NSW Wildlife Information Rescue and Education Service Inc )
2010年のニューサウスウェールズ州大洪水の時に、丘に取り残されたカンガルーをボートで救助したWIRESのメンバー。(写真:(C)WIRES -NSW Wildlife Information Rescue and Education Service Inc )

資格を取得すると発行される証明書とIDカード。
資格を取得すると発行される証明書とIDカード。

WIRESはどのように機能するのか

野生動物の救助用のバスケットと介護に必要なキット。
野生動物の救助用のバスケットと介護に必要なキット。

 WIRESの仕組みについて簡単に説明しますと、まず、野生動物救助の依頼を受け付けるコールセンターがあり、そこで傷ついた動物の発見者から電話を一括して受けるようになっています。救助依頼が入ると、オペレーターから最寄のメンバーへ連絡が届きます。電話を受けたら、救助対象がどのような場所でどの程度の状態なのか、詳細な状況を聞き、自分が救助可能であると判断したら、出動することになります。
 救助を行うメンバーは、保護した動物を入れるバスケットとタオル数枚、そして保護してきた後に必要となる介護キットを常に用意しておかなければなりません。介護キットには、動物の体温を維持するための湯たんぽ、体を傷つけないようにプラスチックでできたピンセット、そして、餌を口に流し込むためのスポイトと針のない注射器などがあります。これらは、資格取得時に証明書と共に支給されます。
 また、救助活動は基本的にボランティアです。日中は仕事をしている人が多いため、予め自分がWIRESのために動ける曜日や時間帯などを登録してあります。WIRESにはカナダやドイツ、アメリカなど、様々な国から移民してきたメンバーも多いのですが、このような仕組みをもつ団体は彼らの国にもないそうで、口を揃えて「すばらしい仕組み」と絶賛しています。

活動費の大半は寄付

野生動物の救急車を取り上げたオーストラリア国営放送
野生動物の救急車を取り上げたオーストラリア国営放送(ABCラジオ)の記事

 WIRESの活動費は、大半が一般の人たちからの寄付でまかなわれています。その他、週末や休日に大型ショッピングセンターや青空マーケットなどに場所を借りてバーベキューの屋台を出店し、販売することで得た収益も活動費に充てられています。屋台の出店の際も、販売員らはボランティアです。
 ボランティアに頼っているとどうしても平日の日中に救助に向かえる人が少ないため、最近では「野生動物用の救急車」を購入し、少額ながら有償【1】のドライバーを配置して運用を始めました。現在シドニー近郊では一台が稼働中ですが、台数を増やそうと、購入資金のための募金を受け付けています。この「野生動物用の救急車」については、オーストラリア国営放送(ABCラジオ)でも取り上げられ、活動の様子が話題となりました【2】


注釈

【1】有償ボランティア
 野生動物用救急車のドライバーとコールセンターのオペレーターは、平日も常に待機していなければならないため、まったくの無償ボランティアではありません。半分はボランティア的な扱いですが、一応給与が支払われています。
【2】オーストラリア国営放送(ABCラジオ)で取り上げられた「野生動物用の救急車」
WIRES Wildlife Rescue Van(英文)

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