メインコンテンツ ここから

「オーストラリアの野生動物保護」バックナンバー

0052013.02.19UP野生動物を絶滅に追いやる外来種

他の国には生息していない珍しい動物たち
他の国には生息していない珍しい動物たち

 オーストラリアには、有袋類をはじめとする固有の野生動物が多く生息しています。他の国には生息していない珍しい動物たちの種を存続させるために、様々な保護対策がとられていますが、最も重視されているのは外来種の問題です。

移民した西洋人たちが持ち込んだ外来種

移民と共に家畜が持ち込まれた
移民と共に家畜が持ち込まれた

 移民国家であるオーストラリアは、18世紀のイギリスによる植民地宣言を機に、たくさんの西洋人が入植しました。最初に到着した本国イギリスからの入植者を乗せた船には、人間以外にも、ウサギやニワトリなどの動物が食料として運ばれてきたほか、食料に紛れ込んでいたネズミなども意図せず乗り込んでおり、オーストラリアの地を踏むことになりました。

 時を経て、入植者が増加すると共に、運搬のための馬や牛、家畜としての羊や牛なども増えていきました。また、イギリスの貴族たちが、移住先でも本国で楽しんでいたキツネ狩りをするためにキツネや狩猟のための犬を導入したほか、大陸中央部の砂漠地帯を探検するための運搬用として中東諸国から連れてこられたラクダ【1】など、人間たちが持ち込んだ動物の種類はどんどん増えていったのです。
 これらの動物たちは、もともとオーストラリア大陸には存在しなかった動物ばかり。面倒をみきれなくなって放置されたり、逃げ出したりした外来種の動物たちは、今では野生化し、固有種の動物たちを脅かす存在になっています。

砂漠地帯での運搬用に持ち込まれたラクダ
砂漠地帯での運搬用に持ち込まれたラクダ

現在は捕獲され、観光や食用にも使われている
現在は捕獲され、観光や食用にも使われている

ペットが野生動物を襲う

飼い猫に襲われて傷ついた有袋類ポッサム
飼い猫に襲われて傷ついた有袋類ポッサム

都市部での生息数が激減している有袋類バンディクート
都市部での生息数が激減している有袋類バンディクート

 近年では、犬や猫などのペットが野生動物を襲うケースも増え、とくに人口の多い都市部においては深刻な問題となっています。
 シドニー近郊でも犬や猫に小型の有袋類やペンギンなどが襲われ、個体数が激減しています。また、ペットとして飼われていたウサギが野生化し、エサを含む生活環境が競合する有袋類のバンディクートが生息域を奪われるという事態になっています。自治体が、野生化したウサギを駆除するために毒入りの餌を置いたりしていますが、間違ってバンディクートが食べて死んでしまうケースもあり、まったく功を奏していません。
 一部の地域では、ペットによる野生生物への被害を防ぐため、地区全体を保護区とし、犬や猫をリードなしで屋外に出すことを禁じるだけでなく、新たにペットを飼うことを規制する自治体もでてきています。

野生化し、大繁殖しているウサギ
野生化し、大繁殖しているウサギ

ペットに襲われて営巣地が消滅し始めているシドニーのペンギン
ペットに襲われて営巣地が消滅し始めているシドニーのペンギン

遥か昔に人間が持ち込んだペットによって絶滅したフクロオオカミ

人間によって絶滅させられたフクロオオカミ
人間によって絶滅させられたフクロオオカミ

何万年も昔に人間によって持ち込まれたディンゴ
何万年も昔に人間によって持ち込まれたディンゴ

 オーストラリアに古くから生息する有胎盤類の中に、ディンゴと呼ばれる野犬がいます。現在では他の地域には生息していませんが、オーストラリア大陸の純粋な固有種ではなく、一説によると、3~5万年前にアジアから人類が渡ってきた際に、旅の友として連れてきたと言われています。
 野生化したディンゴは、大陸内で繁栄していた有袋類の一部と競合し、その結果、敗れたフクロオオカミ【2】が絶滅に追いやられたとされています。人間が持ち込んだ外来種によって、その土地の固有種が絶滅に追いやられる事態は、遥か何万年もの昔から起こっていたのです。
 しかしそのディンゴも現在では、その後入ってきたペットとの安易な交配などによって、純血種の存続が危ぶまれ、保護活動が活発化しています。人間の行為が生態系に及ぼす様々な影響と、その解決の難しさを痛感するばかりです。


注釈

【1】ラクダ
 オーストラリアで野生化したラクダは、ヒトコブラクダという種です。本来の生息域であった北アフリカや西アジアでは野生種が絶滅してしまい、もともと存在しなかったオーストラリア大陸で大繁殖しているという矛盾がうまれています。
【2】フクロオオカミ
 本土から海を隔てたタスマニア島にはディンゴの侵入がなかったことで、フクロオオカミの最後の生息地になりました。このため、タスマニアタイガーと呼ばれました。1936年、最後の1頭が動物園で死亡し、絶滅したとされています。なお、タスマニア島におけるフクロオオカミの絶滅は、西洋人入植後の狩りによるものです。

※次回は、農業対策として持ち込まれた外来種によって引き起こされている深刻な事態についてご紹介します。

このレポートは役に立ちましたか?→

役に立った

役に立った:27

このレポートへの感想

僕は、人間の手によって絶滅させられた動物達や勝手に人間が動物達の好まないような場所に連れて行かれている動物達がとてもかわいそうだとおもいました。
(2013.08.05)

わたしは、いじめられていて私よりも動物が、かわいそうです。ありがとうございます。
(2013.02.21)

このレポートへの感想をお送りください。
投稿いただいた感想は事務局チェック後に掲載されます。

ニックネーム
感想
 
送信する入力内容クリア

前のページへ戻る

【PR】

 

ログイン

ゲストさん、

[新規登録] [パスワードを確認]

エコナビアクションメニュー

【PR】

  • 東京環境工科専門学校 コラム連載中!

ご意見・ご感想はこちら

【PR】