メインコンテンツ ここから

「漁師発!海と魚のお話」バックナンバー

0052010.01.19UP魚食の心得

魚を食べる

 魚に対しての私の考えを思いつくまま書いてみます。
 今回は、思い込み、思い違いがかなり入っています。ご指摘、苦情はお手柔らかにおねがいします。

鮮度

イセエビ
煮干しに煮付け、フライ、天ぷら、オイルサーディン、アンチョビ、一夜干など、いろんな味が楽しめるカタクチイワシ

 よく、料理のレシピに「イワシをさばくときは手で開く」とあります。イワシとはいえ、獲れたては身がしっかりしているので手でさばく(開く)のはとても無理があります。私のとこではオイルサーディンを作る時も包丁を使います。「ちょっと弱ったイワシは…」と書き直してほしいものです。
 また「鮮度は目を見ればわかる」ともありますが、水揚げされた魚は鮮度保持のため氷水につけられます。あまりつけすぎると眼球が白く濁ってしまいます。目も判断の基準ですが例えば、体の硬直の状態(死後硬直になると市場では「コワリ」と呼ばれ鮮度が悪い魚と判断されます。)や臭いなどでも鮮度を見ることができます。
 それと、イカ類。特にイカの女王といわれるミズイカ(アオリイカ)は真水に弱く、雨、氷、水道水などがかかると鮮度にかかわらず、表面は色が無くなり身は白く濁ってしまいます。ちなみに海を泳いでいるイカは川の流れ込みなどちょっと淡水の混じった海域が好みだそうです。

刺身

刺身盛り合わせ
筆者自ら包丁を握る漁師料理の店「おおとり丸」の刺身盛り合わせ

 私の住む野母崎では刺身を「びえん」と呼びます。なんだか鼻が詰まりそうな呼び方ですが語源を調べると「無塩(ぶえん)」。この辺りでは以前、刺身を塩で食べていたのですが、塩を付けなくてもおいしい刺身のことをこう呼んでいたそうです。
 ちなみに刺身って、ホントは2日目がおいしいのですが、私が経営する漁師料理の店では当然、獲れたてを出しています。最高の味ではないのですが2日目の刺身って全国どこでも食べられるでしょ。(ここらでちょっと宣伝)

焼き魚、煮魚

 よく、テレビのグルメ番組で「獲れたてを焼いてまーす!」って港の岸壁でやっていますが、水揚げされたばかりの魚を焼くと、生体反応でしょうか、体は「く」の字に曲がり、身は骨から剥がれてとてもカッコ悪い焼き魚になってしまいます。同様の理由で煮魚だってなべの中でボロボロになります。火を通す料理だけは2日目以降がいいようです。

おいしい(?)魚とは

イトヒキアジ
氷水に漬けてあるため目が白く濁っていますが、鮮度は抜群のイトヒキアジ

 また、おいしいに「?」です【*】
 商売柄、いろんな魚を獲り、食べてきました。漁業の視察などで全国あっちこっちに行き、その土地の魚も食べてきました。そこで気付いたこと。「おいしい魚って自分の住んでいる地域の魚」だと思います。なんだか第一回目の「地産地消」の話に戻りますが。
 たとえば長崎の人が好む魚はコリコリ歯ごたえのある刺身、富山の人は「寒ブリ」など熟成された刺身、関東人はマグロなどのこってり刺身。富山の寒ブリも東京築地で食べたマグロも私の口に合わなかったから感じた一方的な意見です。
 これはその土地の食文化が大きく影響していると思われます。寒い地方の人は脂が乗った魚をよく食べ、南の人は白身のあっさりした魚をよく食べるようです。なぜ? そりゃあ、体が欲するものがおいしく感じるからでしょう。

 「地産地消」「トレイサビリティー」「フードマイレージ」「カーボンなんたら」…どんどん難しくしていくので身構えるし、無理するし、さらにそこで利益を生もうとする者も出てくるし。もっと普通に自分の住んでいるところで獲れた物(魚、野菜)を食べればいいのではないでしょうか?
 たくさんCO2を排出しながらやってきた食べ物より、近所の漁師、百姓の勧める魚や野菜が絶対おいしいと思います。

 極論ですが…“おいしい”ものだけ食ってれば、地球にはやさしいはずです。

このレポートは役に立ちましたか?→

役に立った

役に立った:6

このレポートへの感想

天草の牛深でもビエンと言います。
刺身を食べるは『ビエンばなめる』と言います。
野母崎と天草は近いから言葉が似ていますね。
(2016.11.01)

難しいカタカナ語が増える…同感です。
簡単な仕組みが良いのに、複雑にして利益を確保する流れが「エコ」不信を招いているのだと感じます。
地域で生きることができる社会が実現できたらと夢見ています。
(2010.03.20)

感想コメントはこちらから

前のページへ戻る