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「漁師発!海と魚のお話」バックナンバー

0092010.08.31UP田舎から見たツーリズム

ツーリズムって…

夜明けの野母崎
夜明けの野母崎

 最近、よく耳にする言葉に「グリーン・ツーリズム」というのがあります。
 『緑豊かな農村地域において、その自然、文化、人々との交流を楽しむ余暇活動』だそうで、要するに「田舎暮らし」です。この活動は都会の人だけのものではありません。田舎に住む人たちに、都会から人とお金を運んできます。
 「コイツは野母崎の町興しに何とか使えないか」と数年前より構想を持っていました。過疎化、漁師の高齢化が進み漁業後継者もほとんどいなくなって、半ば諦めモードの我が郷土を元気にできれば(そして、収入アップ)…との思いからです。
 そして、6年前の漁師料理「おおとり丸」開店と同時に、まずは「定置網体験」をはじめました。

 田舎で初めてのことを立ち上げるには様々な障害がありました。しかし、続けることによりまわりの協力者も現れ、行政の後押しもあり、平成22年4月にはツーリズム組織、「のもざきヨカ隊」を立ち上げるに至りました。

ツーリズムへの高い壁

ナンバープレート
ナンバープレート3枚の「遊漁船」あと、船名表示も義務

 私が手がける体験メニューは仕事柄、漁業体験が中心です。農業体験がグリーン・ツーリズムなので、漁業体験はブルー・ツーリズムと呼ぶそうです。
 畑や山林で気軽にできる農業体験との違いは、大きくたちはだかる「許可」です。都会の人に漁業を体験してもらうだけで、いろんな許可をクリアしなくてはいけません。まず、「漁船に乗り込む」許可。意外ですが、漁業従事者以外を漁船に乗せるには「漁船登録」の他、「小型船舶登録」、「遊漁船業」の許可が必要になります。車で言うところのナンバープレートが3枚必要なんです。講習に始まり、県庁へ出向いての許可申請、保険への加入、安全装備の整備、場合によっては船の改造も。そして船の検査…。おっと、先輩遊漁船での乗船履歴も必要です(遊漁船第一号はどこで乗船履歴を取ったのか、私の中で、いまだに謎です)。
 実際に体験を受け入れるまでに、多額の投資と多くの時間と労力が費やされます。

定置網体験
定置網体験

 このことがブルー・ツーリズム普及の高い壁になっているようです。他にも、漁業権、港の施設の使用権などクリアすべきことがたくさんあります。  文部科学省、農林水産省、環境省は「ツーリズム」事業を推進しているのですが、海上交通の許認可を司る国土交通省はその気がないようです。「体験学習」という新たなカテゴリーに関する法令がないので釣り人を船に乗せる「遊漁船業」の許可でしか対応しないそうです。法改正の情報はまだ聞いていません。

ツーリズムの意外な効果

獲物の前で記念撮影
獲物の前で記念撮影

 こうして数々の障害(?)を乗り越えて、一般の人に定置網漁を体験してもらえるようになりました。前にも書きましたが野母崎は過疎化が進んでいます。ウチの乗組員も現役を一度引退した、いわゆる「年金組」ばかりです。最初は漁業体験というものを理解してもらえなかったし、都会の人との接点もありませんでした。しかし、いざ、自分たちの船に都会の人が乗り込んでくると意外にも積極的に「接客」をはじめました。
 網を引く掛け声もふだんより大きく、子どもたちの他愛のない質問にも(野母弁で)丁寧に説明しています。特に、女性が来るとテンションが上がる乗組員もいます。ジジイが男を思い出したとこが笑えます。みんな、私が何も言わなくても優秀なインストラクターになりました。帰り際はいつも「楽しかった!」、「また、来んね(来てね)!」とどちらも満足しています。

 既存の自然、文化、産業、暮らしで都会の人と交流するツーリズム事業は、都会の人が楽しむだけじゃなく、地元の人たちも楽しんで元気になる…そんな事業ではないでしょうか。
 これから、体験メニューを増やし、より多くの「年金組」インストラクターに参加してもらい、少しでも町興しになればと決意を新たにした今日、この頃です…。

 でも、思ったよりは儲かりません…。

朝焼けをバックに出漁する「年金組」の船
朝焼けをバックに出漁する「年金組」の船

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このレポートへの感想

とてまよくまとめてあっていい
(2011.06.19)

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