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「わが社のエコレポ」バックナンバー

0032013.04.16UP絵のある生活(くらし)が人生を変える-30年目を迎えるアールビバン株式会社-

身近に絵を飾って、心豊かな生活を ──アールビバンの提案

クリスチャン・ラッセン『Pathway to Heaven』
クリスチャン・ラッセン
『Pathway to Heaven』

西野健太郎『いっしょの時間1』
西野健太郎『いっしょの時間1』

 アールビバン株式会社は、主に量販タイプの絵画を取り扱った展示・販売を行っている。社名の「アールビバン(Art Vivant)」は、フランス語で「絵のある生活(くらし)」を意味するという。創業は、バブル期まっただ中の1984年。今年(2013年)の11月でちょうど30年目を迎える。
 創立当時も今も、日本では欧米諸国に較べて自宅に絵を飾るということが文化として定着していない。絵が見たいと思えば、美術館や百貨店の美術画廊などに出かけるなどしなくてはならないが、一般の人にとってはやや敷居が高く、日常的に絵画などの美術作品に触れる機会はそれほどない。
 アールビバンは、量販できる版画等の美術品を扱うことで、より多くの人に気軽に絵画を見てもらう機会をつくり、気に入ったものがあれば購入して生活の中に絵画を取り入れてもらいたいとはじめたのが、美術品の展示・販売会だ。会場は、主にショッピングセンターのホールなど家族でも足を運びやすい場所。週末を絡めた3?4日間などを会期に、全国各地で開催しているという。

 アールビバン株式会社でアートディレクターを務める阿部和比古さんは、絵のある生活(くらし)の効果について、次のように話す。
 「絵画などのアート作品は、なくて困るものではありませんが、気に入った絵が一つ目の前にあると、気持ちの安らぎや癒しをもたらしてくれます。高価な絵を投資目的で購入するのではなくて、自分の好きなものを身近な場所に飾ることで、大げさにいうと人生観が変わることもあるのです。アールビバンは、そうした生き方やライフスタイルの選択を提案していくことで社会に貢献していくことを会社のポリシーにしています」

エコロジストとしての生き方を選択するアーティストたちが描く、自然や動物の姿

シム・シメール『アイス ハウス』
シム・シメール『アイス ハウス』

カーク・レイナート『フェアリー フレンズ』
カーク・レイナート『フェアリー フレンズ』

 アート作品を扱う会社だから、事業内容として直接的に環境とリンクするところはそれほどないという阿部さんだが、取り扱っているアート作品の契約作家さんたちにはエコロジストが多い。
 作品のモチーフも、美しい自然を描いたものや、自然の中に佇む動物の姿や親子の情愛などをテーマにする絵などが近年は特に人気を呼んでいる。
 「環境をテーマにした作品を創作してほしいとお願いしているわけではないんです。自然や動物などをモチーフにするのも、作家さん自身の発意によるものです。自然や生き物への思いを持った作家さんがいて、その作品を好む購入者がいる。結果として、ここ10年20年の流れをみると、自然志向だったり人間と動物の調和をテーマにする作家さんたちが増えてきています」
 例えば、ハワイ在住のクリスチャン・ラッセンさんは、海洋生物やハワイの大自然の風景画を主に描いているマリンアーティストだ。来場イベントなどでも、絵を通して自然の素晴らしさ・かけがえのなさを感じたり目覚めたりしてほしいと、メッセージを発しているという。
 アメリカ人作家のシム・シメールさんは、サバンナやアフリカの自然を舞台に、厳しい自然の中ではぐくまれる動物たちの命のドラマを描いている。動物の世界を守ってほしい、地球の環境を壊さないでほしい、そんなメッセージが響いてくるという。
 妖精(フェアリー)を描いたりする人もいる。自然界の不思議さを伝え、それを大切にしていってほしいというメッセージだ。
 人気が高いということは、すなわちそうした作品に対する共感があるといえる。
 「事業の中で、特に環境や自然の大切さ、その保護について呼びかけているわけではありませんが、会員の皆さんや展示会の来場者の皆さん方は、これらの作品を通して、自然や野生動物について感じていることはあるんじゃないかと思っています」

絵を通してできる取り組み ?3.11の震災後の被災地支援として

2011年4月に初めて被災地を訪れた、マリンアート作家のクリスチャン・ラッセンさん

2011年4月に初めて被災地を訪れた、マリンアート作家のクリスチャン・ラッセンさん
2011年4月に初めて被災地を訪れた、マリンアート作家のクリスチャン・ラッセンさん

2012年9月に再び被災地を訪れたクリスチャン・ラッセンさん

2012年9月に再び被災地を訪れたクリスチャン・ラッセンさん
2012年9月に再び被災地を訪れたクリスチャン・ラッセンさん

 東日本大震災のことは、海外でも大きく報道された。自然をテーマに絵を描いている作家さんたちだから、自然災害に寄せる思いも強い。なかでも、前出のラッセンさんはこれまで2回、被災地を訪問している。震災前には展示会のイベントなどで何度も訪れていた地だ。
 最初の機会は震災直後の4月、ちょうど展示・販売会への出席のため来日予定があったのに合わせて、津波被害で苦しむ仙台市内の避難所を訪ね、簡単な絵を描いてプレゼントしたり、自費で制作したTシャツなどを届けたりしたという。
 再び被災地を訪れたのは、昨年(2012年)9月のこと。震災直後には視界を遮るほどだった瓦礫やごみの山は、驚くほどきれいに片づけられているように見えたという。瓦礫やごみの山を片づけなければ何も始まらない、でも片づけただけでは何も始まっていないという現実にも直面する。海岸近くの町や村に、震災前のような人々の暮らしは戻ってきていなかった。
 さまざまな出会いを得て、子どもたちを含む多くの人たちから新しい未来を目指す前向きなメッセージを感じたという。それと同時に、東北の美しい海とそこに広がる風景に心打たれ、その時に高ぶる感情をもとに新たな創作に取り組んだ。
 描き終えた作品を託して日本を後にしたラッセンさんは、後日、瞳を輝かせながら作品を見つめる子どもたちの姿を映像を通じて知ることになる。子どもたちの喜ぶ姿は、作者にとって最高のプレゼントになったという。

 3.11の震災後の取り組みでは、絵を通してこんなこともできるんだということが示せているようにも感じると話す阿部さん。今後も、絵のある生活(くらし)を支援するための事業を続けていこうと心新たにしている。

ラッセンさんが宮城県七ヶ浜町の子どもたちに寄贈した作品『TOMORROW』
ラッセンさんが宮城県七ヶ浜町の子どもたちに寄贈した作品『TOMORROW』

アールビバン株式会社 アートディレクターの阿部和比古さん
アールビバン株式会社 アートディレクターの阿部和比古さん


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  2. 002「“エコの価値”を交換するためのプラットフォームをつくり、日本の森と水と空気を守る」 -EVI推進協議会の取り組み-
  3. 003「絵のある生活(くらし)が人生を変える」-30年目を迎えるアールビバン株式会社-

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