米国Priceline Group (Nasdaq:PCLN)のグループ企業で、アジア大手のホテル予約サイトAgoda.comが、環境問題に対する意識の高い個性豊かなアジアのホテル6軒をシリーズでご紹介しています。
最終回となる今回は、タイからのレポートです。「北方のバラ」とも称されるタイの古都チェンマイは、自然豊かな都市として人気の観光地のひとつですが、未だ貧困に苦しむ地域も存在します。今回紹介するホテルは、環境への配慮と周辺コミュニティーの支援に力を入れている内陸のホテルです。
このホテルはコントロールが比較的簡単な離島ではなく、内陸に位置しながら整った環境保全プログラムを持つホテルです。タイ北部にあるマンダリン オリエンタル ダラ デヴィが環境問題と持続可能な観光に関するリーダー的存在であることは、マンダリングループが詳細に企業責任を示した72ページもの冊子を見れば納得するでしょう。
60エーカー(約73450坪)の田園地帯に建てられ、田園は今も自然のまま残っています。持続可能な生活を目指すホテルの最大の特色は、地元のメジョー農業大学と提携して開発した3000平方メートル(約907.5坪)のオーガニックガーデンです。このガーデンはホテルのレストランだけでなく、毎日、近隣のドンチャン寺院の800人の貧しい子どもたちに食材を提供し、さらに寺院が収穫物を毎週の市場で販売して収入が得られるよう支援しています。また、ホテルの敷地周辺では、時期によって場所を変えながら水田作業が行われているため、ゲストは目を見張るような伝統的有機農法による田植えや稲刈りを体験することができます。もちろん、排気と水の消費の削減も大きな目標となっており、ホテルに宿泊したゲストは、環境に配慮したアクティビティがもたらすメリットについてさらに知見を深めることができるはずです。
この4回のコラムを通して、業界をリードする世界のエコホテルについて、そのコンセプトや実際の活動をご紹介してきました。環境に配慮したホテルの運営は、もはや一時の流行ではなく、ホテルはその構想段階から環境への影響を考慮するようになり、同時に、ホテル利用者のエコに対する関心もますます高まってきています。
「かつては小さな環境フットプリントや資源保護を指して「環境に配慮したホテル」と考えられていましたが、近年はさらに、ゴミの回収、周辺コミュニティーの持続性を促進する手法の開発なども含めて考慮されています」とAgoda.comのCEOロバート・ローゼンシュタインは語ります。
多くのホテルが環境への影響をできる限り排除しようと試みていますが、ビジネスと環境問題への取り組みを本当の意味で両立できているホテルはまだほんの一握りだと言えるでしょう。しかし、手軽な技術やエコ素材の発達、そして新しいアイディアや対策によりエコ活動の壁は低くなり、多くのホテルが環境被害を最小限に抑えながらも快適な滞在を提供することができるようになってきました。これからホテルを選ぶ際は、そのホテルの環境への配慮や活動にも目を向けてみてはどうでしょうか。いつもとは一味違った旅になるかもしれませんね。
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