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「現代狩猟生活入門」バックナンバー

0042010.02.25UP山で獲物と対峙する

遠巻きに獲物を確認

ワナに掛かったシカ
ワナに掛かったシカ

 ワナに掛かった獲物を見つけたら、まずは離れた場所から脚をくくっているワイヤーの状態を確認します。ヒヅメの先にかかっていてハズれそうになっていたり、ワイヤーがねじれて切れそうになっていたりする場合があるからです。
 シカの場合は、こちらに向かってくるということはまずないですが、イノシシは逃げられないとみると、人間の方に牙を向いて突進してきますので、万一ワイヤーが切れた場合は大変危険なのです。
 次は獲物の可動範囲の確認です。周辺の木にもつれてほとんど動けない状態の時もあれば、4mのワイヤーの長さを半径にした円のなかを自由に動き回っている場合もあります。
 これもシカの場合は危険度が低いので、そのまま間合いを詰めていきますが、イノシシの場合は、倒木を倒してワイヤーに絡ませる、別のワイヤーで他の脚や鼻を括って動けない状態にするなどしてからトドメを刺すのが確実です。そして、どんな場合でも必ず獲物には山の上手のほうから近づきます。下から近づくと重力を利用して突進されることになるので、ワイヤーが切れる危険性が高まります。

トドメを刺す

イノシシの心臓を突く
イノシシの心臓を突く

 ワナ猟師のなかにはトドメを刺すのに鉄砲を利用する人もいますが、私は銃を所持していないので棒で“どついて”獲物を失神させます。シカの場合は後頭部、イノシシの場合は眉間をどつきます。「棒で殴り殺す」と誤解する人がいますが、あくまでも失神させるだけです。無事獲物が倒れたら、次は血抜きを行います。これをおろそかにすると肉に臭みが出てしまいます。
 イノシシは意識が戻って暴れだすと大変危険なので、心臓をナイフで突きます。すると、大量の血が一気に溢れ出し、10秒ほどで絶命します。イノシシは手足が短く、血管も太いので、あとは頭を下にしておけば、かなりの血を抜くことができます。
 シカの場合は血が抜けにくいので、心臓を動かした状態のまま頚動脈をナイフで断ち切り、失血死させます。その間10分ほど、シカの横で待ちます。シカはだんだんと動かなくなり、最後にビクっと激しく動いたのち絶命します。この時間は、何年猟をやっていても何とも言えない神妙な気持ちになります。自分と同じくらいの大きさの哺乳類の命を、自分自身の責任で奪うという行為をもっとも実感させられる瞬間です。

内臓を取り出す

内臓を取り出し、冷やす
内臓を取り出し、冷やす

 血抜きが終わったら次は内臓を取り出します。よっぽど家に近い山で獲物が獲れた場合は、自宅に持ち帰ってからの場合もありますが、普通は山で行います。内臓もなるべく早く取り出し、肉を内側からしっかり冷やすことが肉を美味しく食べる上では大変重要です。股の間から胸元まで皮を割いたら、腹腔内に手を突っ込み、内臓を取り出します。獲物の体温は人間より高いので、その内臓は冬場の冷えた手には火傷をしそうなくらい熱く感じます。気をつけないといけないのは、膀胱と肛門につながる腸です。これらが破れたりしたらそれこそ大変なので、作業は慎重に行わないといけません。
 取り出した内臓は、ほとんどの部位が食べられるのですが、処理にかかる時間や労力の問題から普段は心臓とレバーを持ち帰り、残りは山に埋めて帰ることにしています。そうして残しておいた内臓は数日でキツネやタヌキが掘り返して、きれいに食べてしまいます。

しっかりと冷やす

水を貯めて冷やす
水を貯めて冷やす

 内臓を取り出せたら、あとはしっかりと洗って冷やす必要があります。
 毛皮や脂の層に包まれた獲物の肉は、少々冷水で洗った程度では全然内部までは冷えないので、その後は獲物を仰向けにしてお腹の中に水をためて冷やします。これである程度の熱が取れたと判断したら水を抜き、事前に自宅の業務用冷凍庫で凍らせてある水を入れたペットボトルを大量にお腹の中に詰め、モモやロースなどの部位には外側からも氷を当てます。あとは、獲物全体をシートで包んでおけば一段落です。

 では、次回はいよいよ解体・精肉作業に入っていきます。

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このレポートへの感想

今年から猟師(趣味)デビューします。
参考になります。
その道の先輩に実物も含め、色々と
見せてもらいましたが、迫力ありますよね
決して嘗めてはいませんが、早く対峙して
みたいです。
(2015.11.04)

みんな考えたことあるか?
スーパーとか、吉野家とか
もともと生きてたんだぜ
それを殺して食ってるんだ
残酷だけどおいしいよな
(2015.02.24)

最低だって。自分の手を汚さず恩恵だけ受けてる偽善者かゆとりですね。
(2014.05.12)

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