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「知って感じる映画」バックナンバー

0062016.12.13UPワクワクの未来をイメージしよう

ドキュメンタリー映画はとっつきにくい!?

© MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINÉMA - MELY PRODUCTIONS
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 環境がテーマの映画、特にドキュメンタリー映画って、どうしても観る人が限定されちゃいますよね。
 そんななかでも、登場人物がメジャー級だとやっぱり注目度は上がるし、関心を持ってもらうには有効な手段です。元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏が出演して大きな話題となった「不都合な真実(2006年、原題;An Inconvenient Truth)」や、先日webで期間限定無料公開されたレオナルド・ディカプリオ出演の「地球が壊れる前に(2016年、原題:Before The Flood)」などが好例でしょう。
 きっかけは何にせよ、映画を観て行動に移す人がひとりでも増えればよいなと思う一方で、メッセージが真摯であればあるほど、目の前の問題の大きさに自分の無力さを感じずにはいられないという人も多いのではないでしょうか? 
 地球温暖化のこと、地球環境のことが自分の日常とどうつながっているのか、もっとイメージしやすいといいのになぁと思っていたら、こんな映画を見つけました。

フランスで異例の大ヒット

© MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINÉMA - MELY PRODUCTIONS
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 映画のタイトルは「TOMORROW パーマネントライフを探して」といいます。 「私たちが今のライフスタイルを続ければ、人類は破滅する」というネイチャー誌の論文(2012年)のことを友人から知ったメラニー・ロラン監督(タランティーノ監督作品にも出演している女優さん)が、解決策を求めて世界各地にそのヒントとなる活動を訪ねる…というもの。
 2015年にフランスで公開され、ドキュメンタリー映画としては異例の大ヒットを記録し110万人を動員。フランスのアカデミー賞と言われる「セザール賞」のベストドキュメンタリー賞を受賞しています。

わかりやすいテーマ構成

 この映画。始まってしばらくは、
  “気候変動と人口増加が人類滅亡へと導く。”
  “いま、氷河期と同じスピードで種が滅んでいる 人類はこのままの生活を続けると…”という感じです。
 同様の警鐘をならしてきた映画はこれまでも多々あるし、言い方は悪いですがそれほど新鮮味はありません。
 続いて「では、私たちはどうすれば?」ということで、世界各地の事例が章立てで紹介されていくのですが、そのテーマのたて方がわかりやすくて、事例もいわゆる「環境」に特化したものばかりでなく「未来の社会づくりに向けたヒント」という視点なのです。
 「農業」の章で紹介されたのは、かつて自動車の一大産業都市として栄えたアメリカ・デトロイト市民の自立の手段としての都市農業。「民主主義」がテーマの章では、インド特有のカースト制度を排し誰もが平等に地域のことを決める集会(グラムサバ)を紹介。

革新的なことだけがすごいわけではない

© MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINÉMA - MELY PRODUCTIONS
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 個人的にツボだったのは「経済」の章で扱っていた地域通貨“WIR”。環境系のドキュメンタリーで地域通貨といえば、1980年代に始まった地域経済活性化のムーブメントとして取り上げられることが多いのですが…映画では、なんと1934年から80年以上の歴史があり、いまも現役で運用中というスイス・バーゼルのWIR銀行をクローズアップしているのです。深読みしすぎかもしれませんが、「先進事例は必ずしも、これまで誰もやらなかった特別なことではない。ずっと前からやってたことなんだよ」というメッセージでもあるのかなと思うのです。

ワクワクする映画の見せ方

© MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINÉMA - MELY PRODUCTIONS
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 この映画のもうひとつの魅力は軽快な音楽に乗った演出。制作者が「この映画を観て未来を悲観するのではなくワクワクしてほしい」という意図で映画をつくっているのがわかります。実際、人はツラいことより楽しそうなこと、ワクワクすることのほうがやる気になるし、希望が見えると動き出しますよね。
 映像のつなぎ方や飽きさせないストーリー展開、わかりやすいメッセージも◎なドキュメンタリー映画になっていますよ。

すべての物事はつながっている

© MOVEMOVIE - FRANCE 2 CINÉMA - MELY PRODUCTIONS
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 映画の最終章、未来への扉を開くのは「教育」です。
 この映画の共同監督であるシリル・ディオンは、こう言っています。
 経済は社会的格差の元凶であり、地球破壊の最大の要因となっている。それゆえ、こうした状態を民主主義的に調整し、摺り合わせてゆかないといけない。でも、民主主義が正しく機能するためには、聡明な市民がいなくてはならない。そうなると今度は、自由で整った教育システムが必要になってくる……この世界に生き続けること、これら新しい時代の英雄たち──億万長者でもスターでもない、でも勇気にあふれ、素晴らしく人間的な人々を見てもらうことによって、なんらかのものを感じて欲しかったんだ。

 民主主義が正しく機能するために必要な教育…取材を受けたフィンランドの校長先生が語った「学校で学んで欲しいのはTolerance(寛容)です」という言葉が印象的でした。

 「TOMORROW~パーマネントライフを探して~」は12月23日から渋谷シアター・イメージフォーラムほか、全国で順次公開予定です。今年最後に観て未来をイメージするのもよいし、年の始めに観て気持ちを新たにするのもよいのではないでしょうか。

【映画情報】

第41回 セザール賞ベストドキュメンタリー賞受賞
監督:シリル・ディオン、メラニー・ロラン『イングロリアス・バスターズ』『オーケストラ!』
出演:シリル・ディオン、メラニー・ロラン、ロブ・ホプキンス、ヴァンダナ・シヴァ、ヤン・ゲールほか
2015年/フランス/120分/シネスコ/カラー/原題:DEMAIN /日本語字幕:丸山垂穂/
協力:ユニフランス・フィルムズ/配給:セテラ・インターナショナル/


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